→ひらりひらりと舞い落ちるもみじのイメージを重ねて京都のうつくしさを語ったパートにはひしひしと愛を感じる。 さらに、この作品は三姉妹の話である。京都に複雑な感情を抱える末っ子凛とは、また別の面から京都で生きる人間のたくましさ、ささやかな幸福がバランスよく語られ、一切飽きのこない構成も良い。個人的には長女綾香を応援したくなるが、断然おもしろいのは次女羽依のパートだ。→
→p.91、〈京都の伝統芸能「いけず」は…〉から始まる章はこのリズム感といい、京都の外の人の期待するエンターテイメント性といい、出会った瞬間ににやっと笑わずにはいられない名文である。
→ ひらりささんとは真逆なのだけれど例えばわたしは他人に自己開示がうまくできず、つい自己を閉じて傷つけてしまうことがコンプレックスで、でもそういう自分の一番の弱さだと思っていることとその根っこかもしれないこと(母親との関係とか)について、たとえ自分にしか聞こえない形だとしてもひとつずつ言葉にすることってなかなかできない。この本の後日談のようなWEB記事で、恋愛の失敗はよく話されるけれど女友達とのやらかしはあんまり話さないよね…ということが言われていて本当にそうだなあと思った。いまだに→
→いまだに誰にも言えずにいる女友達との関係でできた傷口がわたしにもある。し、それをずっと引きずって乗り越えられずにいる自分が心の中のどこかでずっとうじうじしている気がする。恋愛とかみたいにある種の着地点が(社会的に)用意されている関係ではないところで、人に向き合っていくということの難しさと、だがそれゆえに人生は物語性を帯びるのかもしれないということを考えた。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます