宮城県警シリーズ二作目。 東日本大震災で行方不明となった家族の遺体が見つかったと言われ、それが全くの別人だったら…。 津波に飲み込まれるさまを目の当たりにして、変わってしまったかつての同級生たちの境界線はどこで引かれたのか。震災がなければどんな人生になっていただろうと考えてしまう。

誰からも愛されたい、というだけでこんなに計算しつくした言動や仕草が取れるものなのだろうか？ 小説世界と現実世界を重ね合わせて自分の救いを求めるところは共感できなかったけど、世代のせいかしら。でも自分を心配してくれる友人と逢えたのはうらやましい。逢みたいな人がいればいいのに、と思いました。

宮城県警シリーズ二作目。 東日本大震災で行方不明となった家族の遺体が見つかったと言われ、それが全くの別人だったら…。 津波に飲み込まれるさまを目の当たりにして、変わってしまったかつての同級生たちの境界線はどこで引かれたのか。震災がなければどんな人生になっていただろうと考えてしまう。

阿部定事件は知ってはいたけど、事件を起こした奇特な女性という認識しかなかったのが、この本を読んで生身の女性に変換された。出会った瞬間から求め合い、一時も離れられない。すべてを自分のものにしたい。そうやって起こした事件の本質が、当時の阿部定に関わりのある人の証言から明らかにされていく。どこまでが事実でどこからが創作なのかがわからなくなるほど、読み応えがあった。

51歳の愉里子は肉体を伴う仮りそめの恋が趣味。それだけ聞くと派手な中年女性かと思いきや、茶の湯を嗜む女性で意外に感じた。 心も伴う恋の訪れ、三角関係やセクハラ問題等々、50代の性が飾られることなく描かれている。 段々と衰えを感じる年代で、親の介護問題も抱えながら自分らしく生きていく感じが良かった。

初読みの作家さん6篇の短編集。 ゾワゾワする話あり、ホッコリする話ありで楽しめました。さくっと読めるとこも良かった。特別縁故者と祝福の歌が特に好きです。