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昭和天皇の戦後日本――〈憲法・安保体制〉にいたる道

感想・レビュー
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澄川石狩掾
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昭和天皇のイメージが大きく変わった。 彼は敗戦後、そして日本国憲法になってからも(つまり「象徴」になってからも)、アメリカとの関係を中心とする政治に大きく関与していた。その中で彼はひたすらに天皇制の存続を画策していた。 本書を読んで、はっきり言って昭和天皇は「クズ」だと思った。彼の後継者・明仁が戦争を反省し、戦跡を訪問したのも父親の尻拭いという側面が大きいのだろうと思った。
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ジュンジュン
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近年刊行された「昭和天皇実録」を紐解きながら、戦後における天皇制の危機(憲法改正と東京裁判→天皇制の廃止と訴追の危機、共産主義の脅威→安保体制へ)二つに重点を置いて考察する。描き出されるのは人間昭和天皇の生存をかけた生々しい姿。何よりも、即ち国民の命よりも天皇制の存続を追求する姿。本書は著者にとって集大成的な意味があるのか、最後に安倍政権の考察を付す。
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フンフン
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『昭和天皇実録』の記述を踏まえて、昭和天皇の戦後の歴史に果たした役割を明らかにしている。『マッカーサー回想記』の誤りの例として、東京裁判が天皇とマッカーサーの初会見の翌年に設置が決まったことを挙げているのは、著者のほうが誤っている。戦犯処罰の方針はポツダム宣言に明記してある。マッカーサーは、第一次大戦に師団長として従軍し、降伏後のドイツに進駐して、ドイツ皇帝が国民を見捨ててオランダに亡命した経過を間近に見聞していた。占領軍の最高司令官に会見を申し込んだ天皇の意図は、命乞いであろうと思うのも無理はない。
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canarykanariiya
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…占領(憲法改正と東京裁判)と冷戦という二つの危機から天皇制を守るため、昭和天皇自身が新憲法での象徴天皇制の下、いかに政治的に立ち回ったか(!)を『昭和天皇実録』も参照しながら論じています。…象徴天皇がこうした意図を持って行動していたということだけでも驚きに値します。 https://canarykanariiya.hatenadiary.jp/entry/2018/11/27/142520
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睡眠学習
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戦後間もない頃、昭和天皇は「天皇制」を護持するためにどう振る舞ったのか。ソ連を始めとした共産主義への恐怖心から「天皇制」維持のためにアメリカを頼るという決断、戦後も度々ソ連への脅威を繰り返し主張していたことなどを「昭和天皇実録」などから読み解く。そして、昭和天皇は東京裁判を支持していたことや今上天皇は更に踏み込んで平和への思いを度々口にしており、現行安倍政権との違いを明らかにする。 この本が譲位表明の「おことば」の前に書かれているので底に触れられなかったことだけが残念に感じる
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犬養三千代
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昭和天皇が独自ルートを模索し、外交に力を尽くしてきたことはおぼろげなから知っていた。しかし、この本は具体的にそれを指摘している。 マッカーサーとの会談も浪花節ではなく(自分の命と引き換えに)ではなく冷静なリアリストぶりを発揮していた。 東京裁判を「真剣、真面目に深く自らを反省する処」と規定していたことは目からウロコ。 明仁天皇は安倍首相の妨害、批判に耐えて慰霊の旅 戦争の総括をされているのだなと。 次期天皇となる皇太子はどの立ち位置を目指すのだろう?
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K.Hajime
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一言でいえば「君臨するし、時たま統治にも干渉する」昭和天皇の政治行為の内実が、『実録』の読み解きもあって説得力を増している。戦前戦後と一貫しているのは、決して単なる天皇自身のエゴイズムではなく、『万世一系の皇統』を絶やしてはならない、もしその危険性がある時には政治に介入すらする、というリアリズムに徹した君主の責任ある姿。それがために沖縄は一貫して「捨て石」となってきた。1972年の返還も、包摂的排除から排除的包摂への変更に過ぎない。紛れもなく戦中・敗戦時の戦争責任、戦後にまで及ぶ戦争責任の主体なのだ。
K.Hajime

むろん昭和天皇の戦争責任を解き明かす事だけが、本書の関心事ではない。副題にある「『憲法・安保体制』にいたる道」を語る戦後史である。著者豊下氏が岩波新書で出した『安保条約の成立』や福永文夫著の中公新書『日本占領史』より、テーマが絞られていて、遥かに明晰だ。外交・政治に関心も広げる「豊下史学」なるものの入門書として、新書で出すべきではなかったか。もちろん装丁の出来は荘重でいいのだけど、定価が2400円(+税)というのは、まあ、おじちゃんおじいちゃん世代に妥当、というべき?

07/06 18:52
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myjstyle
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敗戦直後の近隣国の憎悪と共産化の波の中で、国家分裂や報復の危機が迫っています。アメリカが権原のない天皇の意見を聞いたのは、(占領政策と軍事戦略上の)国益と合致したからでしょう。本文の書き方ですが、発言を引用する場合、何時・誰が・どこでされたものかはくどい程注記が欲しい。推論が結論の形になり、繰り返される個所も気になりました。右傾化が危惧される中で本作が活発な論議を呼んで欲しい。多様な意見が共存する社会こそ安心できる世の中です。
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小鈴
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新憲法により天皇制は存続されたが、次の危機は共産主義の台頭であった。早期撤退を考え、アジアのスイスとして日本を捉えるマッカーサー元帥に対して反共基地として駐留維持したいワシントン。日本においても考えは割れていた。国連による管理、もしくは米軍撤退を前提に駐留するにしても日本が有利に交渉したいとする吉田首相(&白洲)と解体した日本軍では安全保障ができないと考える天皇(&鳩山ら)。米軍で天皇制維持をはかるため、象徴のはずの天皇はマッカーサーや吉田の頭越しにワシントンに米軍駐留の意志を伝えるのだ。
小鈴

そうまでして守ろうとした天皇制が、まさか共産主義ではなく、男子が産まれない、ということで系統が途絶えようとしているなんて、なんという皮肉だろうか。。。

07/03 08:19
小鈴

沖縄は米軍管理ではなく、国連の信託管理という手法もあったことを踏まえると、当時の選択肢の可能性と問題点は検証しなければいけない問題ですね。未だに禍根があるわけだし。沖縄は中国やソ連に占領されるよりは米軍の方がましという冷徹な判断があったんだろうけれど。

07/03 08:23
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小鈴
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敗戦直後、天皇の戦争責任の問題の戦いがあり、天皇制維持と戦争放棄(9条)をセットで受容したことで責任を不問とするギリギリの戦いがあった。つまり昭和天皇は積極的に9条を受け入れているのだ。また、昭和天皇に責任が問われないように、GHQは極東委員会が発足される前に急いで憲法案を作った。明治憲法を前提とした日本案(いわゆる松本案)に対して昭和天皇は「現実的ではない」と否定している。
小鈴

天皇退位問題。東京裁判前に退位すると訴追される可能性があった。また、退位しても皇太子が若いため摂政をつけなければいけないが、そうすると弟の高松宮となるものの高松宮は軍との関係も強く、当初開戦派であったのに途中で反戦派に翻って戦後はそれを主張していたわけで、昭和天皇の責任に厳しく論争してるわけで、昭和天皇としては絶対辞められなかった。

07/03 08:30
小鈴

天皇のブラックな側面。東条が自殺を図ったとき、生死の確認に行っている。これは、死んでいたら責任を負うべき最高責任者がいなくなるわけで、自分に責任が及ぶのではないかと気が気ではなかったのでは。もちろん、東京裁判の判決をきいて、天皇は泣き腫らしてるわけで、彼らを思う気持ちはあるだろう。だけれど、天皇制を自分の代で終わらすことは許されない、その一念で様々な矛盾を呑み込んで、生き残るための戦術をとっている。

07/03 08:37
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小鈴
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新憲法の制定と米軍駐留を前提とする安全保障に昭和天皇が深く関与していたことを十二分に知ることができる。実録の公開で研究が進んだわけだが、これはもっと多くの人に知られるべきことだと思う。 押しつけの憲法でも安保でもなく、昭和天皇の意志が影響して選びとられたものだ。天皇制を存続させるために憲法を超えて政治行為して選びとったものだ。
小鈴

第Ⅰ部昭和天皇の〈第一の危機〉ー天皇制の廃止と戦犯訴追、第Ⅱ部昭和天皇の〈第二の危機〉ー共産主義の脅威、第Ⅲ部〈憲法・安保体制〉のゆくえー戦後日本の岐路に立って

07/03 09:01
小鈴

2015年刊行のこの本は、安倍政権の歴史認識や安保関連法案への危機意識が強いわけだが、第二部までの綿密な議論に対して、第三部はやや拙速な面もあり残念。批判は冷静に。第二部までの結果を踏まえれば、もっと効果的に批判ができるだろう。こんな批判は一国民としては気が引けるが、安倍ちゃんや日本会議らに伝わる言葉として語るには「昭和天皇はそのような認識ではない」とどや顔で言ってやればよいと思うの(笑)。それが一番ショックなんじゃないでしょうか。

07/03 09:13
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さくらさく
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上々。
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koji
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著者は、平成天皇の基本的立場-①憲法遵守、②戦争の過去を痛切に反省、③「アジアの中の日本」を何より重視、④国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄への寄与を切望-に何より賛同します。一方昭和天皇は、象徴天皇もなんのその、憲法改正、東京裁判、安保条約という日本の戦後体制に能動的に関与していった天皇として対称的に描かれます。まさに昭和天皇は立憲君主です。本書は、著者の立場が明瞭で読み易く、平成天皇の立ち位置には共感を覚えますが、一方昭和天皇の評価が正当か疑問を払拭できない点も多くあります。書評が難しい本でした。
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よしひろ
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激動の昭和。東条英機、白洲次郎、吉田茂など、いろんな人間と関わり、今の日本の屋台骨を築いた。マッカーサーとの対談は、迫力がある。
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勝浩1958
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内外の共産主義から天皇制を守るために米軍駐留が絶対条件であったので、昭和天皇は沖縄を犠牲にしたと言えるのでしょう。そして日米地位協定、すなわち行政協定は議会を回避でき、事務当局レベルで処理することによって、全土基地化と自由使用を可能にしています。だから、日本は独立国家とは言えないでしょう。安倍政権は日米地位協定の撤廃や抜本的な改正をすることなく”戦後レジーム”からの脱却を声高らかに唱えていますが、全くもってお笑い草としか言いようがありません。茶番の最たるものです。なんなんだろうこの国は。
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tu-ta
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ようやく読了。昭和天皇への資料に基づいた的確な批判の切れ味は鋭い。戦後の沖縄を犠牲にしたいびつな安保/憲法体制のスタートの過程は非常にわかりやすい記述だ。 しかし、他方で明仁天皇への評価はどうだろう。昭和天皇が憲法を平然と犯してまでも守ろうとした『皇統』について、彼は憲法を遵守して守っていこうとしているのだが、その前の天皇の犯した過ちの上にある現在の体制を前提として、こんな風に明仁天皇を評価していいのかどうか気になるところ。
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Sumiyuki
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昭和天皇(リアリスト裕仁)の暗躍を踏まえると、「戦後レジーム」の端緒がはっきりする。1970年代に革新自治体が躍進した際、「政変があるか」と下問するほど彼には「内乱への恐怖」があった。戦後、天皇制の危機に瀕した彼は、占領統治に天皇が必要と考えるマッカーサーと緊張関係を孕みながら、戦犯から逃れるため画策する。「イタリア方式」によりソ連の関与を恐れたマッカーサーは、日本国憲法の制定を急ぐ。東京裁判では天皇制を守るため、東条英機に責任を押し付ける。また日本はヴェルサイユ条約において「勝者の裁判」を認めていた。
Sumiyuki

@「自主憲法」「独立憲法」と占領期の遺産としての植民地的な日米地位協定が併存するというこの歪なナショナリズムはどこから来るのだろうか。おそらくは、日米関係を「騎士と馬の関係」として捉え、「立派な馬」に成り切らんとするところに「自主性」を見出そうとする。(中略)「占領時代の基本的な仕組み」そのものである日米地位協定の撤廃や抜本改正を提起することなく、「自主憲法」の制定で日本の「独立」を果たすなどということは、文字通り絵に描いた餅と言う以外にない。

11/20 14:22
Sumiyuki

@昭和天皇にあっては、沖縄の主権の問題や「沖縄の安全」よりも、日本本土の防衛に主眼があったと見るべきであろう。

11/20 14:33
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coolflat
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保阪正康の発言に膝を打つ。曰く“天皇は平和主義者でないし、戦争主義者でもありません。彼にとって一番大事なのは「皇統(皇室を中心とした日本の歴史)を守ることです。そのために必要とあれば、一生懸命に戦争する。戦争をして「このままでは皇統を守れない」と思えば、懸命に終戦の道を探る。それが実像です”と。昭和天皇が怖れたのは、東京裁判で自身が裁かれる事と、内外の共産主義による天皇制打倒という脅威。故に天皇は天皇制維持のため、何よりも米軍駐留を欲した。沖縄を捨て石にして。天皇制を防御する安保体制=安保国体の成立である
coolflat

右派は東京裁判を「勝者の裁判」と批判する。ところでヴェルサイユ条約227条は、カイザー(ドイツ皇帝)訴追条項を規定していたのだが、日本はこれに署名したため「勝者の裁判」で裁判官としてドイツ皇帝を裁いていた可能性があったと言う。ドイツ皇帝は亡命したため「勝者の裁判」は開かれなかった。しかし「勝者の裁判」の裁判席に日本が名を連ねていたのは事実であり、戦争に勝利した場合は「勝者の裁判」に与しながら、敗北した場合はそれを非難するのか、という問いかけの答えが用意されていなければならない、という筆者の主張に納得がいく

10/10 12:27
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