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朝鮮民衆の社会史 現代韓国の源流を探る (岩波新書 新赤版 2030)

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mirun
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記録に残りにくく、また概念としても曖昧になりがちな民衆史を扱う点で非常に良かった。指導者中心の運動だけではなく民衆の躍動をとらえる下からの運動を考えるべきというのはどの国の社会史も必要な視点ではないか。 面白かったのは、朝鮮が儒教をヘゲモニー宗教にしつつ基底には巫俗信仰を強固に抱えている話。映画等でもキリスト教との習合を見て不思議だったが、なるほど…という納得があった。また、ヘゲモニー宗教としての儒教というのは、却って民衆に儒教倫理の内面化を強める傾向もあるようで、社会と宗教の微妙なバランスを感じる。
0255文字
Satsuki
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ネタバレ李朝期朝鮮を儒教国家とし、一君万民思想の儒教的民本主義が特に民衆の政治運動に影響を与えたとする。甲午農民戦争、甲午改革、大韓帝国もこの文脈で解く。しかし同時に著者は、儒教はヘゲモニー的教学だったが民衆を中心に異なる宗教や信仰があったと繰り返す。また両班の肥大化や勢道政治は一君万民思想とは真逆で、著者の主張は牽強付会にも見える。ただ本書結論部で著者は、儒教的民本主義という分かち合い型志向と、真逆の私欲的這い上がり志向という相反する論理が混淆したのが朝鮮の社会だったと述べており、そうなら腑に落ちる気もした。
0255文字
転天堂
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韓国時代劇ドラマの補習として読了。中国から移入された儒教、とりわけ朱子学がヘゲモニーを握った支配層と社会であったが、民衆は巫俗や仏教、道教などを捨てたわけではなくそれらを信仰しながらも、支配思想をも受容し支配階級である両班にあこがれるという意識も持っていた。このあたりは明治維新をきっかけに旧士族になりたがった近代日本人にも通じるところがあるように思えるが、筆者は上昇志向とともにユートピア的な平等思考という相いれない思考が朝鮮社会の民衆に共有されていたとしている。
0255文字
takao
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ふむ
0255文字
我門隆星
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記録に残りにくい民衆(両班、良民、常民、賤民)を網羅的に記載した力作。
0255文字
A.Sakurai
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私は古墳時代への興味が強いので朝鮮半島の歴史は三韓時代ぐらいしか知らない.それも政治史なので李氏朝鮮の民衆史となるとさっぱり.なので岩波の広告で見かけて読んでみた.隣国なので細切れの事物は見聞きするが,その原因や成り立ちなどの解釈は「へぇ」の連続.儒教(朱子学)の考え方が良くも悪くも大きく影響し,一方で古くからの身分制や信仰が基本レイヤに残ってひねった表現型となって現れる.上昇志向と平等志向の併存.極端な女性蔑視.妓生の独特な在り方.キリスト教と巫俗の関係.植民地時代の反乱の特性などなど.
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朝鮮民衆の社会史 現代韓国の源流を探る (岩波新書 新赤版 2030)評価57感想・レビュー6