形式:新書
出版社:朝日新聞出版
形式:Kindle版
“入管法政府案で問われている本質は、極めてシンプルなものだった。国家権力が恣意的に命の線引きをし、その線より向こう側の人びとの命には何が起きても構わないかのようにふるまうーーそのような社会が、本当に私たちにとって望ましい社会なのか、ということが突きつけられていたのだ(本文より)”
“華やかなファッション業界も、最先端を謳う自動車、家電メーカーも、実直な「ものづくり」を連想させる建設業界や農林水産業も、いまや実習生をはじめとする外国人の労働力なくしては成り立たないのに、まるで初めからそれが存在していないかのように、とりすました表情を崩さない。そしてーー私たち消費者は実習生がつくった服を「さすが国産は丈夫」だと喜んで身に着け、実習生がつくった野菜や果物を「国産は安全」だとして口の中に放り込む(本文より)”
…加わっていく。」(221-222頁)◆「在留期限が超過しただけで」という物言いは不用意ではないか。入管行政に深刻な人権侵害があり、現行のルールを適用するにはあまりにも理不尽な個々のよんどころない事情がある(という人をクローズアップする)のはわかるが、それを「在留期限を守ることは重要でない」と主張していると取られてはいけないのではないか。こうした点を外国人排斥派に突かれているのではないのか。「多数はきちんとルールを守っている。ルールが実情に合わず非人道的な部分もあり、苦しむ人もいる。そしてごく少数、(続
ルールを悪用したり守らない人がいる」という、他の社会的ルールと同様の現実的な認識のなかで、非人道的な部分について、特に社内的な理解の拡大と制度の改正が必要であることを示しておかなければならないのではないのか。
171頁。外国人技能実習制度。内実は「労働者」以外のなにものでもない。にもかかわらず「実習生」なるいかにも非正規の臨時雇用を連想させる呼称であるのは、日本政府が一貫して「移住労働者」の存在を認めていないからだ。わが国では日系人などの例外を除き、特別な技術を持たない単純労働者を海外から受け入れないといった方針を堅持している。米国務省が毎年発表している「世界の人身売買の実態に関する報告書」では、2007年度版から毎年、日本の実習制度が「人身売買の一形態」「強制労働」であると指摘するようになった。
215頁。なかには本当に実習生を「わが子同然」思っている経営者だっているかもしれない。だが、「ウチの子」といった物言いは、やはり危うい。実習生が労働者であるといった前提が崩れることになる。過酷な労働環境も「家族なのだから我慢しろ」といった文脈にすり替えられるおそれがある。本来、経営者と労働者は対等でなければならない。それが正常な労使関係というものだ。だが疑似家族を演出することで、あるべき労使関係は、支配・服従の関係に変質する。現行の実習制度はそうした家父長的な優越意識と搾取のシステムを経営者に与えやすい。
外国人労働者に頼っているから差別してはいけない、わけではなく、役に立っていようといまいと人間だから差別してはいけないのだけどさ。 けど技能実習生の制度とかで労働力を散々搾取しながら差別はするって都合よすぎだよね。
その結果、糖尿病であることを訴えられずに殺されたスリランカ人のような事件が起こる。日本の将来のことも鑑みて早急に対処するべきである。
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