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日本憲法史 (講談社学術文庫 2599)

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7

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TSUYOSHI
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本書の特徴は、全400頁のうち約3分の2が帝国憲法とその付属法の制定史に割かれていることだ。このことは、近代日本において、憲法典と各種付属法典からなる「実質的意味の憲法」が果たした意義を重視する筆者の認識を雄弁に物語っている。帝国憲法は全七章七十六条で構成される簡明なもので、その理念を体現する施策の多くを法律に委任していた。それゆえ、各種付属法典は憲法典を補足し、一体となって憲法秩序を形成する。従って、各種付属法典の成立史は、日本憲法史を論じる上で切り離せない重要な一側面を占めている。⇒(1/3)
TSUYOSHI

⇒立憲制の導入により、日本は他アジア諸国に先駆けて国民の自由と権利を保障する国となった。そのことを評価しつつも、筆者は帝国憲法と各種付属法典が孕む問題点を突く。とりわけ、法律のほかに、緊急勅令と独立命令という立法形式が存在し、しかもそれらの内容が憲法典から白紙委任されていたことを問題視する。そして「国体明徴運動」以降、合理的批判精神が後景に退く中、分権的な権力構造を拡大解釈した軍部が台頭し、政党も自主的解散の道を選んだことをもって、帝国憲法下の立憲制は終焉したと宣言する。⇒(2/3)

04/07 11:57
TSUYOSHI

⇒現行憲法の成立過程について筆者は、通説である「八月革命説」には与せず、成立過程に瑕疵はあるものの、サンフランシスコ平和条約の発効=主権回復の日をもって現行憲法の効力が追認されたとする「法定追認説」の立場を採る。現行憲法の運用史についての論及は多くないが、この新たな憲法の下においてもまた「実質的意味の憲法」が国家のあり方を規定してきた。その歴史と意義、問題点、改革のプロセス等については、飯尾潤氏の『日本の統治構造』や待鳥聡氏の『政治改革再考』等の書籍が参考になるだろう。(3/3)

04/07 11:57
0255文字
Caracal
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長い鎖国後の諸外国と締結された条約から始まる日本の憲法史。非常に興味ある内容ではあるが、一度では読破できたとは言えない難解度。文章が硬い上に、密な内容である。長い日本憲法史の中で、やはり思うことー日本という国で自由と平和を享受できているのは、幾多の先人たちが努力をして作ってきた憲法という最高法規があるため、そして、極東委員会に対し断固とした姿勢で突っ走ったマッカーサー元帥の天皇制維持への思いだ。再度の挑戦を誓って今回は読了とする。
0255文字
行商人
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元々、幕末維新の歴史に興味があったが、徐々に立憲君主制や議会制民主主義などに対象が移行した。本書はその好奇心を大いに満たしてくれたが、今の自分にはかなり専門的であるため、一度読んだ程度では歯が立たなかった。折を見て読み直す。あと、伊藤博文著「憲法義解」も読みたい。
0255文字
politics
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明治憲法から日本国憲法までの通史。特徴は明治憲法及び議院法等の附属法の審議・制作課程が丹念に描かれており、その運用における問題点なども挙がられている点だろう。特に議院法や財政法制定課程等も詳しく述べられており、憲法史ならではと感じた。また、明治憲法も現行憲法と同様に、附属法等の「実質的意味の憲法」の重要性は変わらないことも重要な点だろう。
0255文字
えだげ
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明治憲法はもっと評価されていい
0255文字
bookman0307
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「大津事件は、生まれたばかりの明治立憲制にとって、いわば強い国家性の要求に抗してでも貫かれるべき規範性・法治性の要請を内外から試された最初の事件であって、司法権の責任者としては適切な判断であったといえよう。」(P315)
0255文字
ikeikeikea
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有斐閣から出版されていた同名書の文庫化。明治憲法から日本国憲法まで憲法史を憲法付属法も含めて論じた1冊。明治憲法の制定、運用については手厚く書いているが日本国憲法のソレについては大して論じられていないので注意が必要。憲法改正案特別委員会で宮沢俊義が「憲法全体が自発的にできているものではない」とぶっちゃけてしまう状況なので論じる事があまりないからであろう。明治憲法については制定時の議論も描かれていて興味深い。臣民の権利と憲法に記載するべきでないと述べる森有礼に立憲主義の意義を述べ批判する伊藤博文が素晴らしい
0255文字
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