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怪異と身体の民俗学: 異界から出産と子育てを問い直す

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てつこ
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図書館で見つけた本。幾つかの研究成果をまとめたもの。怪異や妖怪などの伝承から、日本人の身体観、身体技法を深掘りしていく。前半は出産や子育てにまつわる習俗を整理し、それらを取り巻く意識の変化を紐解いている。出産時の仰臥位は妊婦に負担が大きいらしい。後半は怪異と身体がどのように関連付けられてきたかというお話。昔の日本人は、自分とその他の世界の境界は皮膚ではなくて、身体の周囲も含めて捉えていたと思われる。
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西野西狸
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ネタバレ胎児分離や胞衣、乳歯の処理など出産や育児とかかわりのある身体観を文献や地震のフィールドワークから論じる。少し異界という語と過去への憧憬的な部分もある気もするが、むしろ近代以降までおこなわれた身体にまつわるものへの意識や身体の使い方の変容というのが短い間に(といっても100年以上はあるが)起こったというのは興味深い。特に分娩台の導入と実際の出産姿勢への矛盾などは、かつての出産がすべて正しいというわけではないが、科学的な出産というものが必ずしも合理的とは限らないと言うことがわかる。
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ひなぎく ゆうこ
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妖怪ウブメからプリキュアまで。興味深かったのは分娩台の構造について。重力に逆らったあの姿勢が妊婦さんにとって楽な訳がない。
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夜間飛行
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かつて日本中で行われた「胎児分離」埋葬の習俗は、産死者の腹を割いて胎児を取り出すという凄惨なものだったが、「姑獲鳥」や「子育て幽霊」の伝承を僧たちが広めることによって次第に呪法や藁人形に代替されていったらしい。それと共に産死者が血の池地獄に落ちるという母に焦点をあてた信仰から、呪法により墓中出産された児が高僧に育つなど赤児に焦点を当てた話に変形していったようだ。私の好きなゲゲゲの鬼太郎の源流もここにあったのかと膝を打った。出産や子育てや軀にまつわる民俗と医療の話を読んで、命の重さをずしりと感じさせられた。
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綾
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第四章 抜けた乳歯の行方☞私が子どもの頃には、抜けた乳歯を、上の歯なら下へ、下の歯なら屋根の上へ投げた。親にそう言われたからで、マンションなら無理だ(我が家は一軒家だった)。上下を交叉させるのは一種の魔除らしい。乳歯を異界に投げ入れ、子どもの丈夫な歯の生え変わりを祈った。乳歯入れの存在は知っている。「リュクスな思い出」だそうだ(何じゃそりゃ)。親にとっての思い出作りが、母性の新たな呪いにならなければいいが。これみよがしの「母親の愛情の証」は、母親にとっても子どもにとっても、呪いである。
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テツ
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古来(現在もか)、出産は命がけの行為だった。そして産まれた子も七歳までは神のうちという諦観が生まれるくらいに死にやすい存在だった。生命が誕生する瞬間は異界、冥界ともアクセスしやすい。人間はそうした危険を何代も何代も繰り返し乗り越えてきて現在に至った。忘れがちだけれど産まれて生きていることってわりと奇跡的な出来事なんだよなあと再確認。民俗学的な考察はどんな内容でも面白くて読み込んでしまう。
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Y
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身体と異界を結びつけるという面白い試み。女性の生活は今も十分とは言えないけれど、昔に比べると改善されつつあるのかなとは思った。おんぶから抱っこへの変遷についての考察も興味深かった。農業自体に大きな変化が訪れたことによって子育て文化が大きく変わっていったことから農業の影響はおおきいのだなと思った。狙われやすい身体の部位の話で出てきた交叉する部位は日本では比較的狙われやすいという話も面白かった。あとがきにてちらっと出てきたパラオの子育ての話がかなり興味深くて、いつか1冊パラオについて書いてほしいと思った。
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HANA
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日本人が体を通してどう異界と向き合ってきたか、を検証した一冊。前半は出産と怪異の関わり合いが中心で「胎児分離」すなわち出産時に妊婦が死亡した場合、埋葬に際して子供を取り出すという行為の変遷で一気に興味を持っていかれる。その他にも産女から水子への変遷や胞衣の処理方法、乳歯をどうするか等の移り変わりが論考の中心となっている。死亡率の変化や衛生によって、それに対する考え方も変化するというのは実に面白い。他にも分娩台の需要や妖怪・怪異に狙われやすい身体部位、背中と異界等どこを取っても興味深い話題ばかりであった。
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qbc
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インポート
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