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脳内異界美術誌 幻想と真相のはざま (怪BOOKS)

感想・レビュー
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東北旅行に行く前に「『供養絵額』から見る遠野の深層」のみ再読。 あの世とは河岸を変えた現世であるという遠野の人々の生死観を伝えるとともに、明治の風俗が細部まで克明に描かれた貴重な風俗史料でもある「供養絵額」。 仙台藩と盛岡藩の藩境にある遠野は金山を抱え、さまざまなヒトが往来するモザイク文化を形成していた。江戸末期〜明治30年頃の遠野は京都・大阪・江戸という大都市に開かれた交易地であり物質的に豊かな都会でもあった。→
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→柳田國男はそのような側面をスルーし、遠野を山深い「異界」として描き、世間にはそちらのイメージが定着することとなった。南方熊楠に見せていれば…と悔しがる荒俣宏。 対談相手の学芸員さんが山形県出身とのことで、最上三十三観音、特に第一番若松寺などで見られるムサカリ絵馬との違いからも供養絵額に見られる遠野の信仰の独自性(遠野には地蔵信仰がほとんどないp.203、近年まで火葬ではなく土葬p.204)を紐解いていて興味深い。

10/30 23:16
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ちなみに荒俣氏は2010年6月に刊行された『荒俣宏・高橋克彦の岩手ふしぎ旅』の元となった旅(2009年10月〜12月)で供養絵額を知り、翌年2010年3月刊の角川「怪」vol.0029にてこの対談を行なっている(『岩手ふしぎ旅』の発売前に!)。その後2016年『荒俣宏妖怪探偵団:ニッポン見聞録』でもまた善明寺を訪れているようだ。

10/30 23:17
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らむだ
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季刊ムック『怪』初出の文章を加筆・修正し、序と導入を加えたものを一冊にまとめたもの。口絵に示されている猫と戯れる童女の供養絵額には、奉納した遺族の思いや願いが感じられ胸が詰まる。松沢病院コレクション・アウトサイダーアート・供養絵額・橘小夢。
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ナディ
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ネタバレ面白い。さすが荒俣さん、と対談された方々。文章多くてきついかな、と思ったがぐいぐい読めた。絵を描く行為には時に深い集合意識を反映したものを産み出したり、はたまた内面を描いたりとあるが、突き抜けてみたい。
びわこっこ

暗闇を突き抜けて、新しい作品に期待しています!💪(*^-^*)v

06/17 08:41
ナディ

ありがとうございます🎵

06/17 12:20
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sugimi
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ネタバレ実感はあるのにぼんやりとして見えないものに、人間は形を与えて見えるもの(怖い絵)を創造してきた。架空のお化けの絵に怖いリアリティを感じるのは、それが怖さの実感から生まれたものだから。本書では様々な怖い作品とその原型を探っている。実感を共有していなければその作品はよくわからないものに留まってしまうと思うが、何かしら感じるということはその作者と実感を共有しているということか(誤解はあるだろうが)。
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hiro6636
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図書館。触りだけ。
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くさてる
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さまざま「異様な美術」の紹介と解説の一冊。さすが荒俣宏、という感じで圧倒された。こういうのを博覧強記というのだと思う。とりあげられている橘小夢、供養絵額、アール・ブリュット、どれもが魅力的なのだけど、個人的には「幻想アート」の実践として紹介された山田維史氏の絵がとても好きなので、対談が読めて嬉しかった。偶然展覧会に来たサラリーマンに「あなたはなぜ、わたしの悩んでる夢を絵にして暴き立てるんだ」と抗議されたというエピソードが素晴らしい。面白かったです。
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HANA
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アール・ブリュットや遠野の供養絵額、橘小夢といったあまり表の美術史に出てこないものをキーワードに狂気や土俗、脳といったものと美術の関連を読み解く対談集。商業主義の奴隷となった現代美術に比べてアール・ブリュットは大好きなのであるが、そういう自分からすれば冒頭の松沢病院コレクションと春日武彦、京極夏彦は圧巻。『ドグラ・マグラ』思い出させるなあ。後はアール・ブリュット以外の供養絵額とか橘小夢が面白く読めた。後者は未発表の作品が多く見れて満足だし、前者は土俗の迫力を再確認。こういう脳内の迷宮彷徨うような本は好き。
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Hiroh
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ネタバレ供養絵額に興味を持って。江戸末期に遠野に現れる死絵。死者の未来を描いている。他地域では、未婚で死んだ若者に花嫁をあてがった結婚絵馬がある。けれど、遠野の絵額では使者はそのままで満ち足りている。ペットに囲まれた子供。新しい技術である寒暖計のある部屋にいる娘。また遠野では地蔵信仰がほとんどないというのも面白い。遠野は実は繁華な地であり、『遠野物語」には絵がかれていない都市性を以達なのだ。他は松沢病院に残された「アウトサイダーアート」がすごかった。自分で文字を作ってしまう人。山下清の実像?も興味深い。
Hiroh

タイポばかりですみません。Ipadの勝手に変換する仕様に慣れていません。

10/02 17:57
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petitlyz
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【図書館で借りた本】博覧強記 荒俣氏の対談や写真のほかカラーページもあり、充実した内容。アウトサイダーアートに関する大西暢夫さんとの対談が個人的に興味深かった。グランマ・モーゼスの展示をずっと以前に見たことがあるのだけど、それと近い印象の絵が紹介されていた。惹きつけられる。売ろうとせず見せようともせず営みのように生み出される作品群には感銘を受ける。できれば手元に置いて何度も見てみたい。
0255文字
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さまざまな分野の専門家との対談で、生物的な反応や実感を伴う”恐ろしさ”と、図像というバーチャルとの境界を探索していく本。「恐ろしい」絵画を消費可能な所謂”アート”として扱うことへの著者の戸惑いも感じアート論?としても興味深かった。序文、茂木さん・山田さんとの対談に、心の中の”恐ろしさ”をアウトプットする際のヒントがあるように感じて面白かった。“幻想と真相のはざま”という副題が宝島社のプロレスムック本みたいで好き。
6呎5吋es

p.273 そういう意味からすると、近代画家はみんな健全になって、ダッドのような殺人事件などに走らずに済んだともいえます。だから、モダンアートはそういう本当に重かったものを、文字通り「アート」という軽さにすくい上げた。私は美術の悪魔祓いだったと思います。ピカソなどを筆頭とする。アートを軽い狂気、軽い深刻さ、軽い前衛でファッションに大成させた。

12/21 14:06
6呎5吋es

p.24 また悪いことに、現代のモダンアートはとても貪欲で見境がなく、こうした野生の想像力や表現力をも積極的に吸収してしまい、現代美術のための再生エネルギーにするのである。

12/21 14:06
5件のコメントを全て見る
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ルナティック
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絵画といっても多彩で多様。そして何を規準とするのか。いや規準など必要ないのだろう。目当ては供養絵額だったが、満足できた。東北といえば遠野でも、思い込みだった遠野の新たな事実が分かり、スゲェ!と感嘆。また橘小夢のことは初めて知った。うん、幻想であり美しい。口絵のカラーに感謝。そして松沢病院コレクションには圧倒される。見せる人もいない。作者は亡くなったら無用のものとなる品々。でもそれこそが芸術なのか?
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ilya
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興味深い。「言葉」は本来神から与えられたもの。特別なものを自ら作り出してしまう創作言語。
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ソニックゆうすけ
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アウトサイダーアートについてを中心に、健常者でも、そのような作品を描けるかなど、興味深い議題を集めた幻想的対談集。ゴッホは、精神を病んでいたともいわれるが、絵画技術的に破綻してはいないとのこと。珍しい角度で幻想美術を論じていて、興味深い1冊でした。
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水無月・R
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新聞の書評で知り、タイトルと荒俣先生に惹かれて読み始めたのだけど、絵の解説ではなくアウトサイダーアートについての本だった。理解が難しいながらも一生懸命読んでいたら、最後の章で橘小夢という画家の話に。全然知らなかった画家だけど、すごく好みです。橘小夢の作品には物語性がある、という荒俣先生の説に納得。退廃と幻想が入り混じった「作品」は、確かに私に響きました。
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almondeyed
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面白い。供養絵額なんて知らなかった!アドルフ・ヴェルフリ展を見に行った直後に読んだので、あの絵を解読する手立ても説明されていて、為になった。
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たっきー
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ネタバレ取り上げるのは美術と医学。関連性のないように思えるが、医学の進歩が美術にリアリティを与えてきた。そして精神病院である松沢病院の日本精神医学資料館の紹介。春日武彦医師は良い薬のおかげで今は妄想が熟成されないという。次の「アウトサイダーアート」とは外縁者つまり理性や合理から疎外された者のアートである。心霊絵画や心霊写真、精神病者のアートを指す。茂木健一郎との対談で幽霊を見て怖いのはミラーニューロンを通して自分の心に映されるからで、自分が幽霊になっているような気になるからだという。
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ayako
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アートにもいろいろなジャンルがあるのね〜
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保山ひャン
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松沢病院、アウトサイダー・アート、脳科学、供養絵額、山田維史、橘小夢。アール・ブリュットを中心に、異様な美術の発見史をインタビュー&トークをもとに編まれている。まさしく、新たに発見されたと呼ぶにふさわしいラインナップで、探せばまだまだいろいろあるんだな、と思わせた。
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