形式:単行本
出版社:朝日新聞出版
形式:文庫
形式:Kindle版
形式:その他
出版社:Audible Studios
でも最後、裁判員としての仕事を終えた里沙子は、明るいものを纏っていて、安堵もした。水穂を自分に投影して辛くて濃密な、裁判員の時間を経て、「白いワンピース姿の水穂」(の幻影)に別れを告げていた。あれは里沙子自身のなんらかの明るい希望を示唆していたと思いたい。
判決によって、子を虐待死させてしまった水穂ではあるけれど、その背景(そこまで追い詰められてしまった経緯)についても、判決の中で触れられていたこと、それは、里沙子にとっては、(理解者である)角田さんの身代わりのような存在でもあったのかな?それが、里沙子を覆っていた重たい蓋を、少し開けて、空気の流れをつくってくれたきっかけの一つに、なったのかな。。
自分の話をしてしまうと、里沙子の母親はまるで私の実母のようだった。読んでいて苦しくなるくらいに。アメリカに移住した理由のひとつとして物理的距離を取りたかったから。距離と文化と言葉の壁で自分を守ることができている。里沙子は文香を育てることできっと自分の過去のトラウマと向き合うことにもなるのだろう。里沙子の夫との関係も、母親との関係をなぞるようなもので気の毒だった。どこにも里沙子が里沙子らしくいられる場所がない。六実さんが里沙子にとっていい影響になればいいなと思った。
自分が今まで蓋をしていたことが蘇って、今までたくさん逃げてきたことを思いだす。もちろん彼女にとってそれは防御でもあったわけで。そんな経験、自分もたくさんあるなと共感せずに居られなかった。
夫婦間の役割分業についてもよく描かれているし、昨今の価値観やそこから離れに居座る親世代までうまく描かれているし、その価値観の違いへの気づきや言語化も頷きが止まらない。女性は読むとかなり深みを感じるんじゃないか。男性の意見も気になるが読み終えられなさそう笑笑 誰かが魅力的な登場人物がいないと感想を述べていたけど、この小説がいかにリアルかを述べたに過ぎないよ、、、この作者すごいすごい
いいねありがとうございました。お子さんいないとは驚きでした。私はこの本で子を持つことが怖くなったので…。私も時折里沙子に違和感は感じましたが、大抵は共感してました。
柚利さん、コメントありがとうございます。角田さん、お子さんいらっしゃらないとは、驚きですよね。作家さんってすごいなと思いました。私には子供がいますが、産んだ後で後悔しても子育てをやめるわけにはいかないから、難しいですね…。子を持つか持たないか、本当に難しい選択だと思います。
この機能をご利用になるには会員登録(無料)のうえ、ログインする必要があります。
会員登録すると読んだ本の管理や、感想・レビューの投稿などが行なえます