形式:単行本
出版社:集英社インターナショナル
日本のような全国民に強制される生涯不変の番号を他分野で活用するような番号制度を採用している国は、G7には「まだない」が事実だ。これほどまでにグローバルスタンダードを謳いながら、日本政府がモデルにした国は、実は小国エストニアである。エストニアが電子政府に取り組み始めたのは、長きにわたるソ連による統治の歴史がきっかけだった。KGBから一方的に監視されるだけだった社会よりは、電子政府で初めから全面ガラス張りにしてしまった方がマシだ、お互いに監視しあえば国民と権力も対等になれるに違いない、という考えから来ている。
問題は政府による説明と実際に行われている現実とが違っている事だ。このエストニアをモデルにマイナンバーなどと言いたがる日本の政財官界は、自分たちの情報は公開する事なく、国民を一方的に「監視するツール」としてマイナンバーを扱おうとしている。ところで隣の国韓国にも住民登録制度というものがある。この制度の起源は1942年に朝鮮総督府が出した「朝鮮寄留令」だった。戦後になって朴正煕大統領がこれを踏襲し、現在の制度へと改変されてきた。エストニアも韓国も、結局、番号制は国民を監視・支配してきた「名残」だったという訳だ。
① 「インテリゲンチャ」 = 社会のことを憂うる知識階級。大衆の対義語となる。 ② 「アネクドート」 = 政治風刺の小噺。 共にロシア語であるが、とりわけ後者は何度頭に染み込ませようとしても誤入力してしまい困っている。何度も実践で使用することでモノにしたいものだ。 最後に、本書で紹介されているアネクドートでお茶を濁して終わりとしよう…… 冷戦まっただ中のソビエトにおいて、赤の広場の真ん中で1人のソ連人が叫んだ。いわく「フルシチョフは暗愚だ」。憲兵がただちに駆けつけてその男の身柄を取りおさえた。男は痛み
に顔をゆがめながらも問う。「罪状は何だ?やはりアネクドートではお馴染みの国家反逆罪か?」。すると憲兵は不敵な笑みを浮かべながらこう答えたという。「フフフ、お前の罪は国家機密漏えい罪だ」。
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