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東欧の想像力

感想・レビュー
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綾瀬恵理@稚読者
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東欧各地の傾向および作者たちの特徴、作品の概観ができる。また、邦訳なしの作者の紹介もあり「現代東欧文学ガイド」として良い。そして日本語しか読めない私めとして、悲しいのはそれぞれ邦訳が少ないことである。即ち、松籟社の書籍を購入し売れる実績を作れなければならないということなのだ…。
綾瀬恵理@稚読者

東欧(中欧)を祖とする作者たちは、自国や故郷の政治的な状況と不可分である。ここ10年程で作者の政治的主張を忌避する者が着々と増加しているが、それは平和な、侵犯のない、民族間抗争のない、公的な差別のない日本ぐらいにしかない特徴であると確信に至る。尤も、忌避されるのは、政治的主張が中高生レベルで、多国間の折衝など考慮せず、「平和!」「日本は戦争する!」という主張が大部分であるというのもあるとは思うのだが。

05/07 16:31
綾瀬恵理@稚読者

名は伏せるがミロスラヴ・クルレジャの紹介者はとてつもない悪文であった。衒学的な語を多用し、小説の概要は主観的で、一体彼がどれほどの影響を与え何を現したのやらてんで伝わってこない。小説内であればその文でも構わないのだが、小説家を広く説明する文でこれはないのではないか。ブンガクを極めたかたちだと思わざるを得ない。

05/07 16:43
0255文字
Fumitaka
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「東欧というのはあるのか?」という問いかけに対し、地政学ならぬ地詩学という言葉に触れ、「文化圏としてはある」とする(pp. 14-15)沼野充義先生の序論。西欧とロシアやオスマン帝国との狭間にあり、歴史の「主人公」になることなく(クロウトヴォル。p. 26)、ある程度の歴史を共有してきたというのはそうでしょう。民族と文化が一つの地域の中にモザイク状に多様に織り込まれ、「もっとも複雑な」「最小限の領土に最大限の多様性」(クンデラ。p. 17)がある世界は、まさにカルパチア・ルーシの状況でもある。
Fumitaka

スロヴァキア独立国の支持者だった作家ヨゼフ・ツィーゲル=フロンスキーは、遺作の中で「スロヴァキア国民蜂起はソ連の策略」と主張していた(p. 97)とのことで、イヴァン・ポープとかの「ワルシャワ蜂起と同様に、主導権を地元に取られたくなかったソ連が援助しなかった」という見解とは全く異なっている。どうなんでしょう。ただスロヴァキア国民蜂起には行き場のなくなったヴラソフのロシア解放軍とかも関わっているので、「ソ連が援助した」ってことはないんじゃないでしょうか。わかりません。

03/10 15:40
Fumitaka

カダレが「反体制知識人」ではないという井浦伊知郎先生の重要な指摘(p. 164)。日本語wikiだと今でも「体制とは仲が悪かった」みたいに書いてあるの、あれは「東欧圏の作家が必ず反体制派だった」という一種の幻想だよな。事実カダレは公然たる反体制派の硬骨漢トレベシナを非難したこともある(p. 169)そうで、東欧そのもののように単純ではないものである。あと冷戦中にロンドンでブルガリアのスパイに暗殺されたマルコフも作家だったのは知らなかった(p. 191)。まだまだ日本に入って来ていない作家がいる。

03/10 15:41
6件のコメントを全て見る
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ポレポレ
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東欧(中欧)各地の近現代文学の在り方と、それぞれの代表的な作家を紹介した一冊。 こちらの読書欲ならびに本の購買欲が大いに煽られた! ★★★☆☆
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柴助
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この地域はイデオロギーのはざまとして存在したり、全体主義に抵抗してきた特徴がある。「東欧とは何か」について様々な問いを組み立てていて面白い。東欧諸国の作家と作品が概要や特徴と共に収録されているので、入門書としてぴったりだと思う。
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ふかわ
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知っている作家は、ポーランドのスタニスワフ・レムとチェコのカレル・チャペックとヤロスラフ・ハシェクぐらいだった。松籟社は「東欧の想像力」シリーズを刊行して東欧文学を翻訳しているので、何か一作品でも読んでみたい。また、高野史緒編の「21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集 時間はだれも待ってくれない」を読んでみたい。
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micamidica
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20世紀以降の東欧文学について、ざっくりとひととおり解説された本です。それぞれの領域の専門家が解説を書いておりほんとうに幅広い。東欧か中欧か呼び名に困るところもしっかり序説で説明されています。チェコ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア等、東欧ときいて思い浮かぶ国以外にもユーゴスラヴィア諸国、オーストリア、東ドイツ、果てはトリエステまで。イディッシュ文学にも触れ、文学史とはこんなにおもしろいのかと気づかせてくれました。難点は、紹介されている作品の邦訳が少ないことでしょうか…非常にもどかしいです。
micamidica

邦訳がある作品をきちんとリストアップされているところも素晴らしいです。読みたい本の邦訳がなくて英訳本を買ってしまったけれど果たして読了できるでしょうか…。

02/21 17:59
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笠井康平
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まだ邦訳がない著者の紹介がいくつもあって貴重
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スターライト
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「東欧」といっても共通する社会背景(多くはロシア・ドイツの占領・干渉の歴史を持ち、第二次世界大戦後は社会主義国となった)を持つものの、言語の違いや文化の違い等多様である国々。それらの国が生み出した豊かな作品群を紹介したブックガイド。最初に各国の紹介がなされた後、具体的に個々の作家についてみていくのでわかりやすい。被支配の歴史を持つことから楽天的な作品はないが、社会の現実を冷徹に見つめ、時にシリアスに描き、時に風刺をこめて発表された作品には、いわく言い難い魅力を感じる。気にかかった作品は読んでいきたい。
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はこちゃん
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『古典の雑誌』で紹介されていた本。東欧文学がガッツリわかってたのもしい。ただ、今は北欧で手一杯なのでパラパラとだけ?東欧旅行を決めたら必読書。出久根育さんを魅了するチェコ、行ってみたいです✨
0255文字
アドソ
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東欧諸国の作家とその作品を辞典形式で紹介。知っている(聞いたことがある)作家の項だけ拾い読み。巻末のコラム「ラテンアメリカ文学と東欧」では、西欧から見たラテンアメリカと東欧の地理的・政治的な環境の類似点が指摘されている。
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みみみんみみすてぃ
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(本当は全部目を通せてません) ありとあらゆる東欧・中欧と呼ばれる国に存在する/した、おもに20世紀に生まれた文学者を丁寧に紹介。例えばセルビアなら、その国の成り立ちや社会背景などの説明から入るので、非常に的確な知識を享受することができる。今のところ、本書のおかげでダニロ・キシュやポーランド文学、ハンガリー作家に早速ハマってしまっている。有名どころのクンデラ、ブルーノ・シュルツ、イムレの入門でもいいし、もっとマニアックな作家でも日本訳で読める参照も付いているので有難い。素晴らしい一冊です。
みみみんみみすてぃ

東欧を知るということは、ヨーロッパを知るということでもあります。ノーベル文学賞を受賞したヘルタ・ミュラーや最近亡くなったギュンター・グラスなどの「複雑な出自の」作家も取り上げられますが、ヨーロッパからなぜたくさんの文学作品が生まれるか、本書はその理解にとても役立つと思います。

10/11 00:54
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柳瀬敬二
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南はバルカンから北はバルト三国まで広がる「東欧」。この地域は、激動の20世紀の中でドイツとソ連の2つの全体主義、そしてホロコーストを経験した。東欧にとっての文学とは、思想・国家の激しい変遷の中で揺れる自己のアイデンティティや過去の戦争犯罪と向き合うことであり、政治、社会的なニュアンスの極めて強いものであった。いわゆるマイナー原語が入り乱れる地域ゆえに未翻訳の作品が多い中、これだけの広大な未知の世界が存在することを教えてくれるこの本は極めて貴重だろう。
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miyu
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この集大成。素晴らしすぎて二の句が告げない。世に問いたいものが明確という点で松籟社は出版社としての矜持を持つ数少ない存在だ。多少高価であろうと自腹を切って買う価値は十二分にある本ばかり。予想外に東欧(中欧というべき?)の書物を読み耽りお気に入りにしている自分に気がつく。直近ではシンボルスカの詩を読んだし、レム、フラバル、クンデラ、イムレ、キシュ、カダレ、ハントケ、グラス、ミュラー、レンツなど数え上げるとキリがない。しかしそれ以上に数多のまだ我々の知らない素晴らしい作家がいることをこの本を読んで再認識した。
miyu

とりあえず、ベルンハルトに対する自分の中の偏見を捨てて、長編を読もうかなと思った。そして松籟社が出してくれる東欧の本を少しずつ読むしかなさそうな、そんな現状でしょうか。なにしろ翻訳本は売れないらしいし、東欧?ナニソレ?美味しいの?とでも思う人が多いだろうから。

07/09 11:16
miyu

「邦訳なし」に読みたい本が多すぎるんですけどね。

07/09 11:33
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Tonex
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現代東欧文学のガイドブック。ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィア、アルバニア、ブルガリア、ルーマニア、オーストリア、東ドイツなど国・地域別に代表的な作家を数名ずつ紹介。イディッシュ文学、ドイツ人の故郷喪失をめぐる文学など国・地域の枠に収まらないテーマについても網羅。東欧文学の世界も広くて深い。
Tonex

読んだことがあるのは、ポーランドのスタニスワフ・レム、チェコのカレル・チャペック、ミラン・クンデラ、ヤロスラフ・ハシェク、ハンガリー出身のアゴタ・クリストフくらいで、あとは名前も聞いたことがない人たちばかり。

07/02 01:20
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mikechatoran
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ずっと手元においておきたい本。できれば、何年か毎に改訂してほしい。いわゆる東欧(中欧)諸国だけでなく、東ドイツ、統一後ドイツ、南欧、フランス、南北アメリカの東欧文学、イディッシュ語文学などにまで目配りされていてすばらしい。
きゅー

ですよねー。この本は何度も改訂されてじわじわと味が出る一冊に思えます。

06/10 17:31
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きゅー
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東欧(中欧)文学のガイドブックとして今後何十年も力強い友になってくれそうな一冊。冒頭の沼野充義の「東欧文学とは何か?」からすでに渾身の出来。その後ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、ユーゴスラヴィア、アルバニア等々の東欧文学史と、作家紹介が続く。執筆者による熱意のこもった紹介文は殊に貴重だ。このような形で東欧の作家を概覧する機会はめったにないだろう。また、邦訳作品リストも非常にありがたい。邦訳なしの作家もまだ数多いが、今後この本が改訂されるにつれ少しずづでも翻訳が進むことを期待したい。
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とよぽん
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まず、東欧について自分がいかに無知であるか、知らされた。西欧とロシア(ソ連)に挟まれている地政という観点では、むしろ中欧と呼ぶ方が妥当だという記述に、とても納得できた。そして、中欧諸国の民族や国家がこれまでに受けた不条理や暴力の数々に改めて驚いた。母国語を使えない状況でも、フランス語や英語を使って、あるいは安全な国に亡命して、文学による表現を捨てなかった東欧の作家が多数紹介されている。自分だったら、日本語でない言語を使ってまで詩や小説、評論などを書こうとするか?・・・否。
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踊る猫
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二度の世界大戦やナチズム、社会主義やホロコースト……そういった苦難を乗り越えて成長し、一方では東欧に生きる自分たちとはなにかを問い直す内向きの民族主義やナショナリズムとして成長を遂げ、その反面でポストモダン顔負けの実験が繰り広げられて来た東欧文学。その東欧文学の近年の目覚ましい収穫が本書では相当に分かりやすく整理されている。私は素人の読者に過ぎないので本書の素晴らしさは評価し難いが、兎も角も「今」東欧文学を読むことが有意義であり、あるいは端的にとても「楽しい」ことであるということが本書を読めば如実に分かる
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niam
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これがあれば、むこう50年は東欧文学の読みたいものリストには困らない。そのくらい充実した一冊。
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のび太
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東欧にこれほど多くの作家がいたことに驚きました。大学の文学部の授業のテキストに利用できると思います。解説書の様な辞典の様な本で役に立ちます。
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