形式:文庫
出版社:密林社
形式:ライトノベル
出版社:講談社
形式:Kindle版
出版社:情報なし
読友さんの感想→積ん読→シュクメルリ美味しかったの勢いで読んでみた。
グルジア凋落の王とされるルスダンですが、当初はモンゴル襲来など世界情勢が悪かったのでは…と思ったものの、はやりタマラ女王の王の器がデカかったのかな、と読了後考えが変わりました。これを読んでタマラ女王が亡命政権トレビゾンド帝国の建国も援助していたことを初めて知り驚愕。キリスト教国家として西方ローマとも連絡を取りつつ、東ローマ帝国とも縁戚関係になり、アイユーブ朝のサラディンとも友好的関係をキープ…ってすごい外交感覚だよな、と。タマラ女王の物語もどこかにないものか…。
【ネタバレ】一方で、ジャラルッディーンの保護下に入ったディミトリは心の奥底でグルジアを救う手立てを考え続け、伝書鳩でルスダンに敵の機密を教え、ジャラルッディーンの前で毒を飲んで死ぬ。ジャラルッディーンも称えた、ディミトリがルスダンへの愛を貫いたことがこの血なまぐさく悲しい物語で一番の救いだろう。ディミトリの毒と、冒頭の女王が服毒する毒草を選ぶシーンがつながるところなど、女王のディミトリへの愛情が深く感じられて悲しくも感動した。ラストシーンの甘やかな幻想と、女王としての決意も見事だ。
世界史の教科書には、モンゴルやイスラームの侵攻などは、侵入を受けた方のことはほとんど書かれておらず、それらの国々がどんな文化や歴史を持っていたかは分からなかった。そういう意味でも、価値のある小説だ。
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