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桜島 日の果て 幻化 (講談社文芸文庫)(Kindle版)

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かふ
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大江健三郎と古井由吉の対談の中で言及された小説梅崎春生『幻化』読んだ。梅崎春生は第三の新人の手本になった作家。古井由吉が言うには一人称「私」が志賀直哉らの自然文学のようにただ描写するのではなく、それが死の淵を覗いているという。つまり「私」は死者の姿を見ていて、そこに自分の姿を重ねている。そして梅崎春生にとってそれが遺作となったのだ。死の淵が彼岸である旅人の私はかつての特攻隊の友の元へというような挽歌なのだろう。「幻化」とあるが「幻花」とも読める。それは献花なのだ。特攻隊という者らがいた時代への。
0255文字
Ken.T
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15年前に読んだときは消化不良でミステリー読んでいう方が刺激があった。しかし最近手に取ってみると、何かこみあげてくるものがある。 これが完成したのは1965年、梅崎自身が50年の生涯を終える時だ。この時期は日本の高度経済成長期真っ只中であったのだが彼には釈然とない気持ちがあったろう。戦後民主主義にデタラメを感じたのでは? 私もここ数年の技術革新の恩恵を受けながらも年齢のせいか少し哀愁を感じることがある。最後の「しっかり歩け。元気出して歩け」、これは職業作家、自称純文学者が生み出せる台詞ではない。
0255文字
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桜島 日の果て 幻化 (講談社文芸文庫)評価100感想・レビュー2