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永遠でないほうの火 (新鋭短歌シリーズ25)

感想・レビュー
38

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よ
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ネタバレ「こころにも膜があるならにんげんのいちばん痛いところに皮ふを」/「煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火」/表題作のずば抜けた良さ。
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ユキ
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ひかりひとつ奏で終えても(ほら ふるえ)にんげんは詩のちいさな湊▼ 月を洗えば月のにおいにさいなまれ夏のすべての雨うつくしい▼ 葉月尽いとしいひととふるさとと青には青の挨拶がある▼ 解説で東直子さんが語るように、光、水、青のイメージが通底していた。完全には理解できないけれど胸の奥にちいさく響いてくる歌だと感じました。
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桃カステラ
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2016年発行。よく逃げる風景だから信号が光りっぱなし   さびしい海だ▲新聞を閉じれば雨の記事ばかり浮かんでにがい青の叙情が▲駅長が両手をふってうなずいて ああいとしいね、驟雨がくるね▲煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火▲だんだん痩せてゆくフィジカルなぺんぎんが夢の中にも来る、ただし飛ぶ▲ひかりながらこれが、さいごの水門のはずだと さようならまっ白な水門▲雪の舟とけてこれから花の模写 始まらないから終われなかった
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PIYOBLACK
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井上法子さんの短歌を読んで思うのは、風景や物事に対する感じ方がとても他人とは思えないということ。彼女の出身地であるいわきには、一度だけ訪れたことがある。海が近いところが、自分の地元と似ているのもあると思う。この歌集を読むと、張り詰めていた気持ちが、すっと楽になる。「煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火」何年も前から、一番好きな現代短歌です。
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石ころ
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難解。雰囲気としては美しさを感じるものの、具体的な情景を浮かべるのは難しい歌が多かった気がする。
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のな
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短歌集。季語や難読漢字などわからない言葉が多く調べながら読み、その分さらさらとではなくじっくり味わえた。一つひとつの短歌が一つの詩であり、一つの世界がわき起こる。更に他の短歌と響き合い、互いに意味を補いイメージを重ね合う。新鋭短歌シリーズ25、とのこと。同シリーズをもっと読んでみたい。
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有機物ちゃん
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水や光の表現が神秘的でキレイ。意味はわからないけど抽象的というか哲学的というか、この歌集は切実な祈りのようなものかもしれない。『すぐ溶けるくらげのために夜を敷きこどものままでそこに居たこと』これもよくわからないけど絵本の水彩イラストのような幻想的な情景がイメージできてかわいくて好き。
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Marie
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ネタバレこうしていてもほら、陽だまりはちゃんとある 戻ろう めぐるときのさなかに 一番好きだった歌
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双海(ふたみ)
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ネタバレ「渚から戻っておいで 微笑みも雪の匂いもわすれずおいで」・「いつまでもやまない驟雨 拾ってはいけない語彙が散らばってゆく」
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れお
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〈もうずっとあかるいままのにんげんのとおくて淡い無二のふるさと〉、〈押しつけるせかいではなくこれはただいとしいひとが置いてった傘〉、〈夕映えのせかいでひとりぽっちでもうどんをいとおしくゆがくんだ〉、〈こころにも膜があるならにんげんのいちばん痛いところに皮ふを〉、〈しののめに待ちびとが来るでもことばたらず おいで 足りないままでいいから〉、〈綴じるように触れ合うように羽を梳き、愛は日照雨のようにしずかだ〉すき。
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まゆこ
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ネタバレ【辛口注意】好きなんだけれど、何かが残念な感じ…。うまく言葉に出来ない。哲学的、なポーズを取っている風に感じてしまう。歌がすんなり入ってこない。好きな歌もあるんだけどな。
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茅野
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ずっとそこにいるはずだった風花がうたかたになる みずうみに春/(ぼくは運命を信じない)たましいの約束だからきっと歌える/ふでばこに金平糖をたんと詰め 光路(会いにゆくのよ)光路/ここはわたしの国じゃないけど踏む銀杏 またおまえから数えてあげる/よくねむる病気になってさみしくて睦月おかえりなさい。花野へ/こころにも膜があるならにんげんのいちばん痛いところに皮ふを/煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火/箱舟にお乗り、と言ってたましいを手放すいちめんのお花がこわい
茅野

淡くて青くて好きな感じだった

01/05 18:01
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糸くず
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東直子さんも解説で述べているとおり、短歌を読んでいるというより現代詩を読んでいる感覚に近い。短く研ぎ澄まされた言葉で書かれた超現実的な風景は閉じた世界になりがちだけども、井上さんは原風景としての「ふるさと」を目指して書くことで、歌の世界に広がりを持たせている。「望郷は砦ではなく剥きだしの目に海よりの風がしみるよ」堅牢な〈砦〉の中ではなく、〈剥きだしの目〉でもって感じ取る。そのことが井上さんの短歌の美しさを支えている。「煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火」
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トマス
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序文をブランショの引用から始めるだけあって、「どこにもないところであり、いたるところである」哲学の香りのする歌集。頻繁に登場する火、水、光などのモチーフが美しい世界を創成する。神秘に満ちた空気感があり、塚本邦雄が歌作のきっかけというのも頷ける。
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ちぇけら
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ねえきっとあなたははだか 波斯にいるという孤独の狩人よ。冬の青よりも夏の青のほうがあまりに青くて青いので、わたしはそれらを燃やそうとした。貼っては剥がした水玉のシールから水がこぼれるように、ないたよるに。折り紙の鶴よ、燃える赤で、するどく戦慄け。「煮えたぎる鍋を見すえて だいじょうぶ これは永遠でないほうの火」永遠のように遠いところからきこえるこえがまっすぐで、濃霧でにごった朝をかきわける。それは、ずっと昔、わたしがつぶやいたことばに似ていた。わたしたちをつつみこむあめは優しいから、そっと傘をとじよう。
ちぇけら

月を洗えば月のにおいにさいなまれ夏のすべての雨うつくしい/ほの青い切符を噛めばふるさとのつたないことばあそびせつない/押しつけるせかいではなくこれはただいとしいひとが置いてった傘/どんなにか疲れただろうたましいを支えつづけてその観覧車/すぐ溶けるくらげのために夜を敷きこどものままでそこに居たこと/綴じるように触れ合うように羽を梳き、愛は日照雨のようにしずかだ

05/20 22:25
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桜井夕也
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期待されてつらかったね蕾 泣かないように春雷を蒔く/それぞれの影を濡らしてわたしたち雨だった、こんな雨だった/<どんなにか疲れただろうたましいを支えつづけてその観覧車/しののめに待ちびとが来るでもことばたらず おいで 足りないままでいいから/枕木を踏まずにあゆむ夜の路(みち) こわがらないで 光る? ちょっとね
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yumicomachi
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全体が喩であるような、抽象度の高い短歌が並ぶ。一首一首はたいへん魅力的だし、一冊を通じて繰り返しあらわれる青、海、かわせみ、ふるさと、そして火のイメージが読了後印象深く残る。が、正直なところ読んでいるときは少し疲れを感じた。〈押しつけるせかいではなくこれはただいとしいひとが置いてった傘〉〈煙草屋の黒猫チェホフ風の吹く日はわたくしをばかにしている〉のような、いわゆる「景が浮かぶ」歌に出会うとほっとする私は、いささか古いタイプの短歌読者なのかもしれない。2016年刊の第一歌集。監修は東直子。
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ディディエ・メラ
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初々しい言葉と少し演歌っぽい言葉とがカオスのように同居する。前者には強く惹かれつつ、後者の演歌っぽさが時々鼻につく瞬間を否定出来ず。書籍で読んで気に入ったらKindleでも購入しようかと思ったのだけど、そこまでモチベーションが維持出来ず…。もっと言葉がこなれて来るのをそっと待ちたいと思う。くれぐれも演歌っぽさが熟達することのないように、と祈りながら。
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erie
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長いこと欲しかったのだが、先日一時帰国の折にようやく購入。彼女の歌には大変ユニークなもの、寂しいものから寂しいものにだけ届く優しさのようなものを感じる。重い言葉と透き通った言葉、漢字とかなと音のバランスが絶妙。表題作のような雰囲気が続くのかと予測していたが、終盤、激しく荒く重苦しい歌も掲載されており(しかし独特の透明な空気感に救われており、不思議に重すぎない)、これもよい。こういうのももっと読んでみたいと思った。
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さいとうさと
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きみがきみでなくなった日の遠い崖 かじかんでどうしても行けない/井上法子 再読、というかもう何度目かわからない。今回は気になる歌を書き写しながら読んでみた。今までうまく読めなかった歌がすっと入ってくることがあって、それがうれしい。
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一冊の作品として統一性があって読みやすかった。以下引用。 かわせみよ 波は夜明けを照らすからほんとうのことだけを言おうか/もうどこにも寄らない。淡い風を抱き、駆けだしてゆくところか 夏は/それぞれの影を濡らしてわたしたち雨だった、こんな雨だった/車窓から航路がみえる青いから痛むんだろうこの蜃気楼/夕映えのせかいでひとりぽっちでもうどんをいとおしくゆがくんだ/〈おかえり〉がすき 待たされて金色のとおい即位に目をつむるのさ/ためらわず花の匂いのゆびさきに 頬に ほとばしるわたしたち
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わっぱっぱ
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寂しむような、愛おしむような、なぐさめるような青の世界。短歌というよりは詩のようで、容易には読み解けないけれど、微細な水分が知らず触れてくる感じで好き。 抽象的な表現・重複するイメージは、そのまま閉ざされてしまいそうに繊細な作者の内界。それが、多用される呼びかけによって読み手へと開かれるとき、馴染んだ世界が新しい眺めに変わる。美しいです。
みも

「微細な水分が触れてくる感じ」美しい喩えですね…なんかうっとりしますよ(#^^#)

01/31 18:47
わっぱっぱ

わぁみもさん、嬉しーヾ(〃^∇^)ノ 美しいのはこの歌集ですよ。ひとりだったり行き場がなかったり勇気を出せなかったりといった弱さ寂しさ不甲斐なさをこんな情緒にかたどられては、生きるしかない。そんな感じです。いつも温かいコメントをありがとうございます(*^-^*)。

01/31 21:35
0255文字
pio
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よかった。難解やけど、心に残る。何回も読み返したい。
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青色
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タイトルが最高に良い。青い印象のものとか雨とかのモチーフなんかが好きなので本を通してそういう印象みたいなのがあってとても素敵だなと思った。とても好きです。もっとたくさん作品を見てみたい。
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いいの
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こわくないぬくもりですか雨のようで涙のようでずっと拭けない/期待されてつらかったね蕾 泣かないように春雷を蒔く/どうしても花弁をほぐすのが苦行どうしても悪になりきれぬひと/しののめに待ちびとが来るでもことばたらず おいで 足りないままでいいから/日々は泡 記憶はなつかしい炉にくべる薪 愛はたくさんの火/朝 といいあしたは光る途方もなくひかる toi,toi,toi(きっと うまく いく)
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キシ
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タイトル買いしました。だって「永遠でないほう」って…!!!まるで永遠な火もあるみたいに思えた。それを見た瞬間に自分の中にある火は消えるものという認識が壊れてとても気持ちが良かった。言葉は自由なんだから、そういう実生活でのこうあるべきという認識を壊す表現をどんどんしていくべきなんだと思う。
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kaizen@名古屋de朝活読書会
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井上法子 短歌 かわせみよ波は夜明けを照らすからほんとうのことだけを言おうか 抱きしめる/ゆめみるように玻璃窓が海のそびらをしんと映せり 波には鳥のひらめきすらも届かないだろうか海はあたえてばかり みずうみと海とがあった輝きのゆたかな抱擁をしっていた 渚から戻っておいで微笑みも雪の匂いもわすれずおいで ずっとそこにいるはずだった風花がうたかたになるみずうみに春 耳でなくこころで憶えているんだね、潮騒、風の色づく町を #返歌 台風の雨風怯えこころでも耳でも潮騒時空質量
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pon
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運命にしだいにやさしくなりひとは災いとしてすべてをゆるす 水晶をけずったような対話だね まばゆい夏の岸を離れて 研げば研ぐほど自分のほうが傷ついて氷のようにひかる未来は 背筋が伸びました。
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みやや
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強烈なポエジーの乱打戦!完全に虜になりました。
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すずき
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抽象的な文体の作品が解釈の圧倒的な多様性を生んでいる。扉にモーリス・ブランショの「非人称的」な言葉についてのパラグラフがあるのが象徴的。
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カイオン
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水の表現がとても良かった。独特の余韻に長い時間酔ってしまう歌集。同じ歌でも、1年後読んだら違う印象を受けるであろう、解釈の多様性を内包してるところもすごいと思った。
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はち
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水、光、火など、抽象的な言葉が並ぶ歌集。短歌というよりは現代詩を読むような感じで、一首単位で味わうよりは連作単位で読んだ方が理解しやすいのではないか。残念ながらこの歌集の良き読者にはなれそうにないのだが。モチーフが繰り返し提示されるのでうっとおしくなりかねないが、言語感覚が優れているのか、すっと読めてしまう。でもそれで読んだと言えるのかな?と自分に問いかけてしまう。要再読。
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hirom
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有名な「ふいに雨」の歌を含めて沢山のこの歌人さんの短歌をまとめて読めるのがとても幸せだ。火、雨、風などのどちらかというと抽象的な語句が多く本当は難解な歌なのだろうが、読み進めるのはわりと容易で、一つ一つの歌が誰かに呼び掛けてくれている気がする優しい歌だ。短歌は一人称の短詩だといわれる訳だが、この歌人の歌はモノローグに落ち込まないところをぎりぎり保っていて、他者に向かって開かれているように思う。繊細な感性が読み手に心地よい素敵な歌だとおもう。表紙・装丁は唐崎昭子さん、これまた大好きなイラストレーターです。
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内藤銀ねず
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書肆侃々房『新鋭短歌シリーズ』の中で、笹井宏之『八月のフルート奏者』と並ぶ収穫だと思う。短歌研究新人賞次席となった表題作を含む、著者の処女歌集。歌人には大きく分けて歌評を書きやすい歌人と書きにくい歌人がいて、このひとは後者。歌評を書きやすい歌人の作品は、言って見れば分かりやすいということ。歌の分かりやすさとは、逆説的に読者に甘えられないと言ってもいい。その点で井上法子さんは歌人仲間だけでなく広い読者を想定していると思う。短歌に関わりを持たない人にこそ読んでほしい歌集のひとつ。
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永遠でないほうの火 (新鋭短歌シリーズ25)評価53感想・レビュー38