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狩りの時代

感想・レビュー
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秋 眉雄
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登場人物のほぼすべてが妙なくらい結び付きの強い親戚関係という、今の僕から見ると、その昭和半ば的な感じは辛うじて憶えてはいるけれど、やっぱり何だか少し居心地の悪さを感じてしまう、そんな一冊でした。そういう背景の中、差別についての考察が個々の立ち位置からまっすぐそれぞれ自分個人に向かわず、かと言って外へ外へと向かうこともなく、親戚という身内へ身内へ(ある意味、親戚という個人へ)と向かう物語。難しいですね。辛うじてそんなようなことを思いました。他の作品も読んでみます。
秋 眉雄

『創おじさんたちが来たことに気がついたのか、ピアノを弾いているヒロミおばさんがちらっと口元に笑みを浮かべ、達おじさんと創おじさんに向かって頭を下げた。創おじさんは顔を赤らめ、いかにもうれしそうな笑いを顔にひろげている。恵美子はとっさに床に眼を落とした。』

02/10 01:51
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ぼび
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4/5
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スリカータ
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登場人物の殆どが親戚という本は珍しい。しかも親戚が大勢いて名前も似ているので、相関図が欲しいところ。ダウン症で15歳で亡くなった兄、ナチス・ユーゲントの記憶。太宰治の娘である津島佑子さんの遺稿と知らずに読みましたが、時系列があちこち飛び、親戚の多さに辟易して、あまり頭に入って来ませんでした。病床に臥せって執筆されたそうで、前回読んだ眉村卓さんの遺作も然り、死期が近い人間の特性なのか支離滅裂な緊迫感があります。ある程度の校正や推敲が必要だと思いました。
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ひいろ
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★★
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トム
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初めての津島佑子。ラストシーンは永一郎と作者がリンクし、凄みを感じた。
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レイコ
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自身の、障害を持つ兄とヒトラー・ユーゲント。 所謂差別を軸に、文学的に切り込みたかったのだろう。その思いは伝わった。しかし序盤よりあまりの登場人物の多さ、その人物達のキャラの曖昧さ。そんな中さらに取り敢えず主人公の絵美子の行動は理解不能。障害の兄の死に関して復讐したかったのか?そう思いながら読み始めたが、途中ヒトラーの政策。その辺はまだ百歩譲れるが、ラストの原発云々に続く後書き。もうアレもコレも 崩壊していてダメだった。あちら寄りの思考が、より悪い形で表現されただけになり残念でしかない。
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ろく
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太宰治の娘で、ダウン症の兄を持っていた作者が障害と差別を題材に書いたと聞いて、とても期待して読んだけれど、正直、思っていたよりも観念的で、その点ではやや期待外れだった。登場人物が全員血のつながりがある人ばかりなので関係がぱっと掴めず、時間軸もあちらこちらに飛ぶので、「差別」という軸を意識しつつ読むのは難しく感じた。遺作であり、未完ということなのでしかたないのかもしれないけれど。ナチス・ドイツの障害者に対する「安楽死」について本を読んでみようと思えたのは収穫かな……。
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さんくん
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遺作ということですが、障害をもつ自らの兄との関係という私的なモチーフと、ヒトラーユーゲントとの出会いと差別という時代の趨勢とが合流して一つの証言として巧みな構成の上で成立していることに唸らされます。ヒトラーという記号としての悪と、個人に向けられ一生の記憶に残る傷を残す私的な悪と。最終章の語り手の操作による幻想的なスピーチは、しかし原子力開発への、そしてその時代の精神への告発として、時代と個人の記憶が結びついていることに、厳粛な印象を受けました。
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チャロ
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☆4
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ソフィ
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津島佑子② 最初は、嫁ぎ先で聞くその家のつらつら話を聞かされているような印象だった。衝撃的だったのは、圧倒的に優生な存在に出会ったときに、人はみずからを貶めるようなことをしてしまう、こんな形の混乱もあるということ。その危険性。読書会なんかで取り上げて、いろんな人の感想を聞いてみたくなる本だった。
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こばまり
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交錯する多数のおじやおば。しかし誰一人として縋って甘えられるような存在ではないのだ。ざらりとした手触りを残す、薄気味悪い小説だ。差別と優生思想をテーマにこれが作家の絶筆と知り、その意図を推し量りつつ読んだ。推し量り過ぎてくたびれた。
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eureka0951
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作者の病死で未完の作品。太宰治の子であると読後知り驚いた。昔観た大島渚の『戦場のメリークリスマス』を思い出した。
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ましろ
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一括りでは語れない差別の根がある。傲慢に陥る私たちの姿がある。そんな光景を見る様々な出来事、簡単に覗けない人の心を巡らせ、人間の本質の変化を迫る問いと答えの狭間を物語はたゆたう。出来事は曖昧に過ぎ去りながらも、記憶や言葉の感触、痛みは忘れられない。言葉に拘ることも、自戒の感情も、どの悪にしても、誰しもどこかに身に覚えがあることをはっと思い知らされる。人間が人間である限り、差別のない社会はなくとも、その根が深くとも、人間であるならば、そこにある痛みへの理解と、人間が制御できないものへの恐れは持ち続けたい。
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ホワン
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差別大国日本の読者としては、日本にいたら日本人って ことでは差別れることまずないしする方だから。白人コンプレックスの方向から切り込んでたのは新しかったからこっち 掘り下げたら良かったのに。日本人がもっとも向き合いたくないことをテーマに挑んた気概には頭が下がりますな。めっちゃ差別してる側なのに、ここにならぶ私含む日本人共の感想の他人事感ときたら…ね 何年も前の感想にいいねツイて何かなと思ったら 愛国バカがイライラしてるっぽいので祐子ナイッシュ☆と思いました
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千穂
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津島佑子さんの遺作。病床にて執念で書き続けたとのこと。主人公絵美子の兄は障がいを持つ。従兄弟から発せられたフテキカクシャと言う言葉に蟠りを持ち続ける。ユダヤ人虐殺といってもアンネの日記くらいしか思い起こせない自分はつくづく不勉強だと思った。
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Willie the Wildcat
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潜在意識。自覚もなく記憶にも残らずも、心底に潜む。問題は、受け取り方が発信側・受信側で異なる場合。特に、精神状態により不安、恐れなどが自他不信にも繋がる。戦時下の日米独に始まり、災害や病を通して垣間見る心底の暗部。但し、これも人間の真理の1つと受け止める必要もある。私自身、本著記載のUSでの差別は体験。正直いちいち気にしていたら、多国籍国家では生きられなかった。翻って日本も同様。(批判を恐れず言えば)読後、追求し続けると自分を追い詰めるような気がした。悲しき現実、でも理想では生きられないのではなかろうか。
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Sosseki
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太宰の娘、きっと普通の子供が味あわない苦労もして育ったことだろう。障害を持った兄へ向けられた「不適格者」という言葉に怯え、復讐を誓う絵美子の半生、家族、そして三世代の親族達も描かれている。エピソードの時期が前後したり、構成や推敲が必要なのだろうが、家族の愛、しがらみ、支え合い等が、感傷的を排し、淡々と綴られている。震災・原発事故まで触れられ、作者の信念が感じられる。
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ブルーハート
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津島佑子さんの最後の作品。私には重くて未消化になってしまった。
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猫草
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狩る人間と 狩られる人間の間に何があるとういうのか?
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hirocyan
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時間が交錯し読みづらい。後書きが、この本の基本的な考え?
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yazue
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時間が進んだり戻ったり、少々頭が混乱した。差別について著者が描いたという遺作。全体的に重苦しい空気の漂った作品だった。「狩りの時代」というのはナチスの頃から今なお続く、他者を何らかの理由で差別し攻撃する人間と、「狩られる側」の弱者を表現したものなのかと思った。
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hisakodosu
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狩りの時代とはなんぞや?人物の登場や時代が行きつ戻りつ兄を軸として進んで行く手法は自分自身に問いかけられているようだった。ドイツと日本の違いに気づかされた事象があり考えさせられた。
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amanon
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内容はともかくとして、「これが本当の遺作か」という思いに囚われる。ただ、病魔と闘いながらの執筆だったためか、文章に勢いが無く、弱弱しささえ感じるのが気になる。また、他の作品とかなり内容が被るため今一つ新味に乏しいのも痛い。仮に著者が十分満足が行くまで推敲することができたら、違う魅力を帯びることになったのだろうか?そう思うと改めて著者の死が惜しまれる。とりあえず一応完成した形で世に出たことを喜びたい。生前の著者は本書のテーマは「差別」だと娘に語っていたそうだが、そのテーマとストーリーに乖離がある気がする。
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鳩羽
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絵美子にはダウン症の兄がおり、十五歳のときに亡くなった。しかし従兄弟達の誰かが囁いた「フテキカクシャ」という言葉が、何十年も心にわだかまっていた。しかし、入籍までしても、絵美子はなかなかそのことを問いただすことができずにいた。……登場人物が多く、ほとんどが親戚姻戚で、それぞれの視点で自由に時間が行きつ戻りつするので、とにかく把握しにくい。モザイク画のような話。手さぐりで読んでいくと、差別の嫌な手触りに時々触れる。けれど、それをすべて取り除くことなんてできないのでは、という暗い気持ちになる。
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みか
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2017年3月4日読書会課題本
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Machiko
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ネタバレ学生時代にW村上・詠美・ばななで洗礼を受けた世代だが、その後、町田・小川・川上・平野とスルーして、専ら文芸は翻訳モノと決め込んで来たが。この系があったか〜と鉱脈を掘り当てた気分…ってか、楚々とした倉橋由美子の感あり。 ヒトラーユーゲントのエピソードって、フィクションだったらかなり悪趣味だし、相当なデリカシーを要求されるネタだと思うけど。更に早逝したダウン症の兄に大勢の家族親戚を巻き込んで、仙台・東京・東海岸にパリへと飛び回り、時代も親の幼少期から交錯させ、見事な一大叙事詩に仕立て上げたもんだ。
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K
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時代が行きつ戻りつし、次々と増える登場人物の把握で、前半は考えつつ読んでいたけれど、後半はぐいぐいと引き込まれた。あとがきにも書いてある通り、差別とはなにか、人間とはなにかを問うお話。人間はそうとは知らずに差別し、区別し、選別する。憧れと差別は表裏一体となって人々の意識を翻弄する。幼い頃に囁かれた一言の呪縛から解放される術を見つけられずにいる主人公が、痛々しかった。
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funuu
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日本人の奥にある「差別」あるいは「区別」を浮かび上がらせている。その感情を強く否定せず物語は進んでで行く。たぶん、「区別」を無くすことは無理なんだろう。ヒトラー化しないように、差別感情を飼いならすしかないのだろう。最期は人間は全て、死の前は「ひてきかきクシャミ」になる。ヒトラーも「ひてきかきクシャミ」として死んだ。トランプ氏も、手法は似ている。人間の差別感情を煽り大統領として登場。
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トト
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とにかく凄くいい本です。あとがきまで含めた一つの作品として、いい本です。とにかく、読んで、感じてもらいたい本です。
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kiri
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差別に関する内容と書評で読んで知っていましたが、もっと生々しい現実を知っているので、「静かで、生活感が希薄な」印象を受けました。
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あ げ こ
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そこここにある。身遠い話などでは決してない。自分が普段、平然と生きている今。無縁であるはずがない。心当たりがある。身に覚えがある。読み進めるにつれ、徐々に増えて行く。平然と生きる為、見ない振りをして、自分がやり過ごして来た類の事。考え終えたつもりになって、自分がうやむやにして来た類の事。目の当たりにすれば、複雑で、根深くて、どうしようもなくて、うまく掴み取る事が出来ない。どうやってもまとめる事が出来ない。一体どうすればいいのか。あまりにも難しい。けれど気付いてしまった為にもう、自分は逃げ出す事も出来ない。
あ げ こ

考え続けるほかないのだ、と思う。どれだけ難しい事であっても。向き合う事をやめてはいけないのだ、と思う。そうやって生き続けるほかない。

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あずき
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とにかく差別は根深いものだ。心の中に常にある。いくらそれを嫌っても、端々に何らかが滲み出る。障害者への、異文化への、ただ自分を受け入れてくれない他者への攻撃性。それを認めるところから始まるのか。
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更紗姫
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登場人物はほぼ親族のみ。同郷でもない父方と母方のおじ・おばが、これ程相互に関わり合うのは珍しいと思うが、年の近い従兄妹が多いのは羨ましい。近しい親族からの無理解こそが、差別として最も心に傷を残すのか。後半40ページは畳みかけるように誰彼のさまざまな思いが噴出し、息が詰まった。遠い過去の陰口にまつわる屈託、金髪碧眼の美少年への憧憬、原発事故ひいては日本国への無念まで。カズミの叫び声が一番胸を抉る。親の因果が子に報う?娘の頃の憧れが子供の障害の原因と考え続けてきたの?あまりに痛ましい、可哀そうに。
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佑依-Yui-
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太宰治の次女、津島佑子初読にして絶筆。死の床にて、筆を握る力が残っている限りと推敲に推敲を重ねた彼女が遺したのは、ダウン症であった兄への差別問題だ。親戚が耳元で囁いた恐ろしき単語の記憶、そして伯父や伯母がヒトラー・ユーゲントに出逢い抱いた憧憬と深い後悔の念が、交差する様に描かれる。そのスパイラルの中心に確かに存在する軸に、著者は一体何を据えていたのかを考えさせられた。この原稿が世に出る事を望んでいたか否かに関わらず、読者の心に爪痕を残す筆力はひしひしと伝わり…個人的には、再読が課題として残る作品となった。
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田中峰和
新着
金髪碧眼の美しい少年を組織したヒトラー・ユーゲントと出会った3人の子どもたちの記憶が物語のキーになる。子どもたちには憧れを含む強烈な白人コンプレックスとして残る。ヒトラーによって洗脳された優性思想は、3人の成長後、彼らの子どもたちにフテキカクシャという言葉で甦る。絵美子は同世代の従弟からこの言葉をささやかれるが、言ったのは晃なのか秋雄か思い出せない。絵美子は晃の子を流産し、秋雄とは入籍までするが、この差別用語が彼女を苦しめる。ダウン症の兄への発言として許せない絵美子。無意識な差別を含め考えさせられる作品。
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mabusi
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登場人物の繋がりを頭の中で整理しながら読んでいました。差別はどこにでも、気づかないぐらい簡単にそこらじゅうにある。息苦しい世界の中、敏感にいたい。
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ソングライン
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幼い頃、障害を持つ兄を不適格者という差別用語で呼ばれたことを心の傷として持ち続ける主人公。遠い昔、主人公の母が幼かった頃、甲府駅に降り立ったヒトラー・ユーゲント達との関わりがその始まりでした。絶筆である本作は、自分のルーツへの問いかけと人間の作り出す差別への怒りが伝わってきます。
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conyTM3
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著者がガン闘病中に綴った作品ということで、ところどころ切れ切れな印象が拭えない感があるが、それゆえリアルな感じもする。じんわりと怖い人の感情の話かな?
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yumiha
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津島佑子の遺作である。心してじっくり読ませていただいた。「Unfit」訳すなら「不適格者」が、ダウン症の兄とヒトラー・ユーゲントを結びつける。ダウン症の兄との日々を絵美子(津島佑子の分身?)は何度も思い返す。甲府駅にやってきたヒトラー・ユーゲント一行に心惹かれたがゆえに呪縛され続けた伯父と叔母。そこから浮かび上がる「差別」は多面的で入り組んでいる。だが、「差別」はたやすく「狩られる者」を見つけ出す。そして、それが人間さらには生き物の生存本能につながっているのだと思う。人間の醜さ愚かしさの由縁を問い直す。
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