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処女作『パルタイ』の翌年に書かれた著者初の長編。フランス文学やモダン・ジャズ等、60年代初頭の時代の雰囲気が濃厚に感じられる作品だ。折しもアート・ブレイキー来日が火をつけたファンキー・ブームの最中だが、作中の主人公はオーネット・コールマンやチャールズ・ミンガスを好んでいる。当時の倉橋由美子の好みでもあろうが、この姿勢は後年の『聖少女』までつながっている。ただ、それらに垣間見られる左翼勢力への批判的眼差しのようなものは本作では意外なほど目立たない。鎌倉、特急つばめ、京都と、旅行文学でもある所が私には楽しい。

ナイス ★3

コメント(0)2023/02/22

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数日の旅の間にひとりの少女の幼少期からの性的体験を通じた変容を描いている。確かに表現方法は全く違うが一種の少女小説であることに違いない。吟味された表現がエロスを昇華させている。様式がどうであろうとそんなことは瑣末なことに過ぎない。それにしてもこの時代に既に男女の関係性をこのように看破していた知的鋭敏さ。それがやや自意識過剰で鼻につく人もいるだろうけど。

ナイス ★1

コメント(0)2022/05/14

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