形式:単行本
出版社:白水社
心理学者一家が直面する、家族の崩壊と再生「あたしファーンが恐いの」幼い日の自分のひと言が、家族をばらばらにしたのだろうか。この記憶はどこまで本物なのか。心理学者の一家が直面する、愛と崩壊と再生の物語。2014年マン・ブッカー賞最終候補作2014年PEN/フォークナー賞受賞作「あたしファーンがこわいの」幼い日の自分のひと言が、家族をばらばらにしたのだろうか――。ローズマリーはカリフォルニア大学で学ぶ22歳。無口で他人とうまく付き合うことができない。かつては心理学者の父と主婦の母、兄と、双子にあたる姉ファーンのいる、おしゃべりな子だった。だが5歳の時に突然祖父母の家へ預けられ、帰ってみると姉の姿が消えていた。母親は部屋へ閉じこもり、父は酒に溺れる。大好きだった兄も問題児になり、高校生の時に失踪してしまう。ローズマリーがこの大学を選んだのは兄の手がかりを捜すためだった。アメリカでは1930年代から60年代にかけて、動物を一般家庭に持ち込んだある衝撃的な研究が現実に行なわれ、一家もその被験者だった。この作品は特殊な状況を背景として、家族を失った一家が、家族愛とは何なのかを問い、絆を取り戻そうとする姿を描く。動物と人間、人間の記憶の不可思議さ、きょうだいの愛憎、親子関係の難しさ、友人関係の悩みやいじめ問題など、さまざまなテーマが、幾重にも伏線を張りめぐらして精緻に織り込まれた、愛の物語である。[原題]We Are All Completely Beside Ourselves
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