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人生の踏絵

感想・レビュー
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okatake
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遠藤周作氏の文学講演録。 氏の代表作「沈黙」「侍」「スキャンダル」それぞれについての講演や「文学と宗教の谷間から」と題した連続講演会を集めたものです。 小説家として、キリスト教者として、自らの小説の成り立ちやその意図、欧米の著名な作品をキリスト者としてどう解釈し読んだのか。 遠藤さんの心の奥に踏み込んだものです。小説をどう読むのか、大きなヒントに溢れています。 良書です。
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アルピニア
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遠藤氏のキリスト教文学に関する講演をまとめたもの。特に「文学と宗教の谷間から」の章では、作家の視点での文学評論が展開されていて、とても興味深かった。氏がずっと考え続けていたという「弱虫」と「強虫(氏の造語)」の問題が心に響くのは、私もまた弱虫だからだ。憐憫になびく弱虫。しかし「憐憫」は「愛」ではなく「逃げ」だと氏は言う。さらに信念を貫いた「強虫」には懊悩はないのかと問う。憐憫の肯定、あるいは信念の賛美では終わらせず、さらに心の深みへと潜っていくのが氏の作品なのだと思う。また「深い河」を読みたくなった。
アルピニア

登場した作品「テレーズ・デスケルウ/フランソワ・モーリヤック」「事件の核心/グレアム・グリーン」「モイラ/ジュリアン・グリーン」「狭き門/アンドレ・ジッド」「田舎司祭の日記/ベルナノス」「霊魂の城/アビラの聖テレジア」「沈黙」「侍」「スキャンダル」

07/23 14:46
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のんちゃん雲に乗る
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p127 ジッドは狭き門でキリスト教とプラトニックラブを風刺し批判するために(カトリックは肉欲を否定しない)書いた。小説技術的に巧いがズル賢いやり方。ジェロームの側から書いているからアリサが何を考えているか読者にはなかなかわからない。小説の鍵は最後の方にある。妹ジュリエットが「さあ目を覚まさなければいけませんわ」 アリサはジェロームが与えたイメージのせいで清らかさや美しさを装わなくてはならなかった。ジェロームは女の気持ちを見抜けないほど鈍感でありエゴイストでもある。
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Gotoran
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”狐狸庵先生”こと、遠藤周作がキリスト教文学について語った講演を収録した講演集。自身のいくつかの作品や国内外の様々な作品を紹介しながら、文学と宗教、人生の救済と奥深さをユーモアを交えて分かりやすく語られている。紹介されている数々の作品は、どれも紹介の仕方がとても興味深かった。読んでみたいと思わされる作品が多々見つかった。まずは、未読の『ルーアンの丘』、『侍』から読んでゆきたい。
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TB
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ネタバレC図書館本。11月から遠藤周作7冊目。『深い河』から入って『テレーズ・デスケルウ』読んだんだけど、本書を読んでから『テレーズ』に来た読者家さんたちも多かったので、私も読んでみた。よかった。講演形式で楽しく解説してくれるのがありがたい。『テレーズ』の読み方、私は「宗教感はない小説」としか読めなかったが。「心理の混沌としたところこそ、キリスト教的世界」「人間の無意識の中へ神様が滑り込む余地を見ている点」「テレーズは生温さから出て、熱い状態に一歩踏み出したのだ」。「神の恩寵=救い」が必要な人を描いたということ?
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すけんこ
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同じ時代を生きたかった。遠藤周作に入信!!!
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ψ根無し草
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内容そのものは生前行われた講演会の書き起こしなのだがこれを読んでようやくクリスチャンである筆者が教えに抗うかの如き「神の意沈黙」を書き続けたのか、信仰とは一生縁がないであろう自分がなぜ遠藤周作と言う作家に惹かれるのかの答えが出たと思う。この本のキーでもある「テレーズ・デスケルウ」と「狭き門」はいずれ読む事になるだろう。
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ぷるぷる
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講演集。「色あせたものくたびれたものに心惹かれるのが愛。愛には才能と努力と忍耐が必要。人生も同じ。苦しくても捨ててはいけない。道徳や常識や社会から拒絶されるものが人間の中にはある。それは意識の下に抑え込み隠してしまいもする。しかしそれはプラスのものを人間に与えるのではないか?抑え込まれている自分こそ本当の自分ではないか?道徳や社会的に良くないことも宗教的倫理で言えば別の考え方があるのでは?抑え込まれている自分、道徳や社会から否定される自分こそ神が助けようとする対象ではないのか?」 ゆっくり考えたいですね。
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yszk
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遠藤氏の1966(「沈黙」発表年)~1986年(「スキャンダル」発表年)の講演録。一度だけ講演を高校生?の頃聞く機会があったが、その時は医療の思いやりがテーマで、正直それほど印象に残るものではなかった。 やはり小説家が自身の作品や、影響を受けた作品について語っているのは面白いなぁ。タイトルもそっちを前面に出してくれた方がいいのに。これだと人生論ぽい気が^^;。 ・『沈黙』ができるまで:40代前半で、沈黙への社会の反応も語っている。
yszk

後半は『侍』と『スキャンダル』の発表時。現在宮城県に住んでいるので『侍』は特に印象が強い。そして本人の「戦後初の仏への留学生」としての経験も重ねられている。そしてこの講演のラストに、「次の小説では自分自身へガタガタと揺さぶりをかけてみたい」と語っている。 その結実の『スキャンダル』は昔読んだけどわからなかったような。年を取った今、もう一度読んでみようと決意。

11/12 16:54
yszk

追記:内容の一部が下記で読めます。 https://www.bookbang.jp/review/article/519923 宗教と文学の谷間で https://www.bookbang.jp/review/article/518689 ある小説が出来あがるまで 『沈黙』から『侍』へ

11/14 21:17
4件のコメントを全て見る
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Ai  Camo
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結構気さくに話されてますね。色々な作品の背景や海外作品の読み方を紹介されていて手を伸ばしたくなりました。
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鈴木貴博
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遠藤周作先生の講演集。非常に面白い語り口で、興味深い話をされており、楽しみながら深いものを知ることができる。言及された様々な作品も読みたくなった。 阿川先生の交友録の狐狸庵先生ここにあり。
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ミカ
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海外の作品(勿論翻訳モノ)を読むとき、作者は当たり前だけど日本とは違う文化圏で育ち、そこでの常識を持っているということを頭に入れた方がいいのだろうな。その一方でそういった隔たりを軽々と乗り越えて 夢中にさせられる作品もある。本作みたいに解説頂くと楽して深められる。
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乱読家 護る会支持!
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遠藤周作さんの講演集です。映画化された「沈黙」と、性欲と信仰についてのお話。 日本でクリスチャンとして生きるのは、やはり文化や価値観、思想体系の違いがあり、なんとなく辛い。遠藤周作さんは、「捨てない」事を決めたらしい。 長崎で踏み絵を見て、「沈黙」につながったらしい。 生きている以上、信仰はなくても今迄の自分の生き方や価値観を「踏み絵」にしていかざる時はありますわなぁ。 そして、性欲と信仰についての内容。 僕も、性に多感な時にクリスチャンになったので、自分の性欲には「悪と罪」を感じてきました。
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マイ
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キリスト教作家。そういうジャンルがあったということを知らなかった。キリスト者でありながら、賛美するのではなく、スケッチするようにキリスト者を書く。文学とは何か、思い知らされた思いです。
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jorge70
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うん、新しい世界に触れた気がする。「沈黙」をはじめとしたキリスト教思想の濃い小説についての講演会集。唇を噛み、人は皆人生の踏絵を踏んでいる。それに抗うのは立派なことだが、その拘泥により道を踏み外すこともあるだろう。些細なことだが、正月に食べる雑煮へのこだわりはよく聞く。餅は丸、汁は透明、具は鶏とほうれん草。海外に住んでも日本人は染みついた習慣から簡単には抜け出せない。自分にも気づかない自分がいる。小説家は迷いに迷っている人間。迷いがなければ小説を書く必要はない。
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Viola
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遠藤周作の講演集。実際にはないが、テレビなどで話は聴いているので、口調や言い回しが想像できて臨場感のある記録集だ。話がうまい!読みながら笑ってしまう。キリスト教と海外文学、というテーマの講演では著者訳『テレーズ・デスケルゥ』をキリスト教の救いの面から解説。良い行いに対してではなく、悪や弱い面にこそ救いの手は差し伸べられるのだ、という読み方には刺激を受けた。キリスト教の背景がない日本で、描写に聖書を織り込んでも気づかれない、という愚痴はなるほどさもありなん。グレアム・グリーンの作品も読んでみたい。
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トッシー
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ネタバレ遠藤周作氏の講演集。著書「沈黙」「侍」「スキャンダル」のほか、「外国文学とキリスト教」というテーマでは「テレーズ・デスケルウ」「事件の核心」「モイラ」「狭き門」などについて話されています。「人間の最もいやらしい部分、弱い部分、どうにもならないところを通して、神は語りかけてくる。あるいは神が自分の存在を証明してくる」(p119)「弱虫は周囲を傷つけたくないのです」(p162)「人が素晴らしいことをやる時、エゴイズムは必ず混じるでしょう。これは人間の業みたいなもの」(p178)といった言葉が心に残りました。
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今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
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踏絵を踏んだ人しか背負えない十字架がある。その重みに耐えて生き続けるしかない人にしかできないことがきっとあったはず。
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BebeCherie
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I wanted to read this before reading Samurai. I should reread it. This book is interesting as it's basting on his speech.
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trazom
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作家が死んで20年たって、こんな「新刊書」が発行される。新潮社が主催した遠藤先生の講演を集めた本だが、これがなかなか、深くて重い。「外国文学とキリスト教」の講演を読むと、遠藤先生が、小説家として、どれほど深く文学を読み解いておられたのかがわかる。この人は、こんなにいっぱいのことを考えて小説を書いていたのだと、改めて、思い知らされる。
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あきむら
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生前の講演を文章で読んでも、面白そうで聞いてみたくなりました。また遠藤周作を読んでみようかと、「沈黙」を読み始めました。
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 あんドーナツ
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遠藤周作さんの本を何年ぶりに読んだだろう。所々に見えるユーモア、昔読んだエッセイにいっぱいちりばめられていたのを思い出しました。何十年も前に読んだ作品ををもう一度手に取ってみたいと思いました。きっと今日とは違う私に会えるような気がします。早速、本棚に手を伸ばす私がいます。
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kyoko
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キリスト教信者でない証として踏み絵が使用されていた時代、踏み絵を踏まずに殉教した信者は後世まで英雄扱いされて、沢山資料が残っているが、恐怖のあまり、自分を守りたいがために転んだ信者についての資料はほとんど残っていないらしい。そんな「弱い者」を主人公として書いた小説、「沈黙」のご本人の講演内容。私は、同じ書籍を繰り返し読み味わう、という行為はせず、ただ消費していただけなのかもしれない。ご自身、キリスト教信者にも関わらず、神の存在を問うてることにただ疑問しかなかったが、こういうことだったのか。なんと深い。
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kanata
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「彼ら(転んだ人)も人間である以上、私は彼らに声を与えたかったのです。彼らを沈黙の灰の中から呼び起こしたかった。沈黙の灰をかき集めて、彼らの声を聴きたい。そういう意味で『沈黙』という題をつけました。(P19)」困難に救いを与えてくれない神の沈黙ともかけたらしい。この本は連続講義録集プラスαの構成で、著者の前書き後書き、編者の言葉は一切なし。喋ったことを作品に当てはめて読みたい。『沈黙』、長崎に思いを馳せて。
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まる
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海外の文学作品を通してキリスト教を語るというテーマの講演内容を本にしたもの。抹香臭さなんて微塵も無く、だが、深い。他の作品も読みたくなって、まんまと狐狸庵先生の策にハマる(笑)。
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それいゆ
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映画「沈黙-サイレンス-」が公開中ということもあって、最初に「沈黙」を執筆したときのエピソードが紹介されています。先日、瀬戸内海放送から、映画公開が話題になっていることもあって、岡山・香川の隠れキリシタンについての取材を受けました。高山右近が潜伏したと推測される小豆島の各所を取材記者に案内しました。伝承が残っている2か所の説明は上手く編集し、分かりやすく紹介してくれていました。この度右近は福者に列福されましたか、今後右近ゆかりの地に巡礼に来られる人たちが増えそうです。
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Ryoichi Ito
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「沈黙」,「侍」,「スキャンダル」などの自作と幾つかの外国作品を題材に人生を語る。遠藤周作は講演の名手だ!
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アンリ
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美しいものに惹かれるのは熱情であって愛ではない。神は不完全なものをこそ大事にする。それを愛という。だから離婚は禁じられており、自殺もまた同様。なぜかというと、人生もまた綺麗なだけのものではないから。そういう人生から逃げてはいけないから。 …という内容だった。まとめると。ただ、そういったものをどうやって大切にすればいいのか、また明らかに捨てた方がよいものもあるのではないか、といったことの解はなく今後の課題かもしれない。 でも確かに、神にはすべての人間を愛してほしいかもしれない。
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いるか
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『沈黙』の著者である遠藤周作氏の生前の講演などをまとめたものです。長崎で遠藤氏が偶然目にした踏絵、その板にはべっとりと脂足の形が残っていて、そこからインスピレーションを得て『沈黙』を書いたそうです。また、現代にも踏まなければならない踏絵があると言います。思い起こせば私もたくさんの踏絵を踏んできました。意識的に踏んだり、知らないうちに踏んでいたり。「罪のなかにこそ救いの可能性がある」という一文が心に残りました。
いるか

ひなきちさん、では『おバカさん』はどうでしょう。

02/07 06:19
ひなきち

ありがとうございますm(__)m読みます(^^)/

02/07 06:58
7件のコメントを全て見る
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ゆーや
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2017年5冊目。遠藤周作の講演録。作品を読むだけでは分からなかった著者の人柄(特にユーモア)がよく分かる。『沈黙』は原作を読み映画も観に行ったが、タイトルの意味は、信者の苦しみに対する「神の沈黙」であると、そこで思考が止まっていた。本書の中でもう一つの意味、華々しい殉教者とは違い、汚点として葬られてしまった「踏み絵を踏んだ弱き人たち」に対する「歴史・教会の沈黙」が語られていた。弱虫に対する眼差し、惨めな者にこそ向けられる愛。遠藤周作が持ち続けたテーマが、掲載されている講演の中に色濃く映し出されていた。
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