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叢書「東アジアの近現代史」 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ (叢書東アジアの近現代史)

感想・レビュー
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[A lie]
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★★★★☆
0255文字
バルジ
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「中華」の辺境世界から勃興した清朝4百年の通史。社会史と政治史を巧みに織り交ぜ、「大清帝国」の興亡を描く。明における多元社会の失敗した統治を見習い、在地の権力と皇帝の権力を上手く組み合わせ、漢・満・蒙・回・蔵の多元化した社会に君臨した皇帝は乾隆帝の時代に盛世を迎える。しかしその繁栄の裏で滅亡への足跡が確実に忍び寄る。急激に増大した人口に時代遅れとなった統治機構、弛緩する地方統治に伴う相次ぐ大規模反乱と正に亡国の道をひた走る。滅亡の原因は一つではないが、近代世界と華夷秩序の相克が果たした役割は大きい。
0255文字
崩紫サロメ
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「多元が多元のまま共存する体制を築いた」ことを清朝の使命とし、その達成を前半で確認し、後半でその崩壊、つまり、西欧が作り上げた国民国家体制の構築を描く。近代国民国家においては一定の国土・領土という範囲に均質な国民が存在し、領土内の多元的共存を許さない。画一・同化を強いる近代の中で清朝はそのレゾンデートルを失っていく。本書は日中韓を中心に東アジア近現代史を見つめ直すシリーズの第一巻に相応しいオーソドックスなものではないだろうか。
0255文字
田中AD
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タイトル通りだった、著者の本を何冊か読んでるのでよく理解できる。秀吉の出兵は明の政策に反対で清朝の始まりもその続きとは朝鮮出兵は明の亡国に影響は少ないと思ってたら、明の政策に反対していた勢力の一連の動きの1つだったのか、逆?だったかな。
0255文字
見もの・読みもの日記
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清朝は、前代の明がつくりあげた「朝貢一元体制」(華夷秩序)の機能不全に対し、それぞれの地域に適応した関係を個別に選択し、多元的な共存体制を構築することで平和と繁栄を実現したが、「国民国家」という一元体制に敗れ、消滅した、というのが著者の見取図。「清朝が新たに創造したものは少ない」と言われるけれど、私はこの王朝が好きである。
佐々木 一博

清朝は北方民族でありながら中華の領土を最大にしたわけだし、統治がうまかったと考えるべきと思います。

06/28 01:41
0255文字
Satsuki
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清朝の通史だが、教科書的に個々の事件や発生年を追うというより、世の中がどう変動したかという流れを重視している。また、「辺境」が清の版図に入ったり「属国」関係を結んだりまた離れたり、という点にも多目に紙幅を割いている。筆者は、「盛世」を誇ったはずの乾隆帝及びその治世に対してやや手厳しい。満洲人の漢人への同化と言えば単純だが、筆者はそれを、それまでの清朝は自らを「外夷」と自覚し、旧来の「華」「夷」二分法的な秩序原理を克服していたのに、乾隆時代に旧態依然の「華」「夷」二分法に回帰してしまったと言い換えている。
0255文字
Rico_bosin
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16世紀から20世紀の国際状況と,国家権力と地域社会の関係の結び方から見る清朝通史。論点が一貫しているので読みやすく,強烈な説得力がある。その説得力に飲み込まれすぎないことが肝要か。
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まえぞう
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岡本先生の清朝史概観です。コンパクトによくまとまっていると思います。この著作が東アジアの近現代史というシリーズのなかでどのような意味をもってくるか、続巻が楽しみです。
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nagoyan
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優。本書は、二度の日中戦争(豊臣秀吉の文禄・慶長の役と日清戦争)を画期とする東アジア秩序の形成と崩壊を清朝の統治者たちの苦闘とともに描く。明の「朝貢一元体制」の矛盾を克服しえたのは、夷であった満州族が中華たらんとした清朝の柔軟な統治にあった。清朝は、清朝に背かない限り在地在来の秩序を尊重し、貿易においても華夷秩序を離れた互市による交易を認めた。しかし、対内的な統治の弛緩、対外的な緊張の中、一方では統治権力の地方委任が進み、他方では吐蒙や新彊の自治は失われた。日清戦争後、植民地化の危機に対応できず倒れた。
nagoyan

本書の内容と離れるが、在地在来の秩序を尊重したオスマンとも通じる「帝国」的統治を思い起こした。君主の尊厳(中華世界の天子、イスラムの庇護者(スルタン・カリフ))が逆におおらかな統治を可能としたのか。もっとも、蒙古を退けた民族主義と中国伝来の中華思想が結合した明代に範をとるかの現代中国の統治者はとても「おおらか」とはいえそうにもない。

06/10 07:10
0255文字
鈴木貴博
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ヌルハチの興起、明清交代から辛亥革命までの清朝の通史を世界史の中に位置づけて概説。現在に直接繋がる歴史とその背景が、興味深くよく理解できる。
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宣和堂
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岡本センセの清朝通史本。清朝がいかにして17世紀からのアジア社会の矛盾と対峙して領土を拡大し、20世紀初頭に崩壊したのかが主眼。外夷たる清朝がいかにして中華社会を凌駕し、最終的には飲み込まれていったか…とも言い換えられる。雍正帝、嘉慶帝については手放しに褒め称えるのに、乾隆帝と漢人知識人には手厳しい内容は個人的に楽しめた。あと、あとがきで清朝は明清史、清朝史、近代史のジャンル分けがされていて「お互いの位置づけを意識せず理解せず、相手のことをほとんど知ろうとしない態度の多い」っていうのは本当なのかしら…。
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さとうしん
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内容的には著者岡本隆司氏のこれまでの著書のダイジェストというか、上澄みを掬った感が強い。特に後半部は、清朝における「領土」「主権」等の概念を論じたりと、近刊の『中国の誕生』のダイジェストとなっている。新しい知見はそれほど盛り込まれていないが、国際関係や外交を中心として見る清朝史としてはよくまとまっていると思う。
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叢書「東アジアの近現代史」 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ (叢書東アジアの近現代史)評価60感想・レビュー12