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自由民権運動 〈デモクラシー〉の夢と挫折 (岩波新書)(Kindle版)

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ヒナコ
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板垣退助らが起こした自由民権運動は、個人が共同体に埋没していた近世社会が崩壊し、個人が剥き出しになっていく近代へのリアクションだった。本書は、明治政府の中枢からこぼれ落ちていった武士たちと、明治維新にまつわる戦争で立身出世をはたそうとした周縁的な民衆たちの権力闘争の一幕として自由民権運動をとらえ、その成立から収束にいたる過程を分析している。→
ヒナコ

だが、国会開催をそれぞれの結社が運動化する際に、自由民権運動の活動家たちは、民衆に対して「国会が開催されると俸禄がもらえるようになる」とふれこんでいた。その結果、運動として大義名分を失った自由民権運動は、周縁的な人たちによる騒擾を引き起こしてしまうことになる。→

07/27 17:30
ヒナコ

こうした自由民権運動に関する著者の評価は、かなりドライなものである。しかし、国会の開催が自分たちの解放につながると信じて自由民権運動にオルグされ、結果として武装蜂起を起こした人たちに対する著者の視点はそれなりに暖かく、落伍者たちによる失敗した運動の歴史を読むのも悪くないと思えた読書だった。日本の民主主義の原点のように語られがちな自由民権運動であるが、本書を読むとそのイメージは180度変わるだろう。

07/27 17:30
3件のコメントを全て見る
0255文字
Eiki Natori
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自由民権運動は、薩長独裁政治に対する反発から民主主義を勝ち取るための運動だというイメージを持たれがちだ。でもこの本によると違った側面が浮かび上がる。江戸時代の階級社会が崩壊し、戊辰戦争で活躍しながら冷遇された人たちを始め行き場を失った人たちの新たな「袋」を作るためのものだったと。お上から国会開設が通達された時、目的達成したとは思わず、「俺たちが別の国会作る」となり、県との対立、武力衝突、逮捕、内紛などで、運動が疲弊して終わった。秩父事件の指導者が博徒というのも興味深い史実だ。
0255文字
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