形式:文庫
出版社:新潮社
形式:単行本
形式:Kindle版
出版社:情報なし
“中庭ではまだ幾人かの兵が身体を動かしていた。負傷した場所を気遣うように、ゆっくりと。日向ぼっこをする老人のように、ゆっくりと。眞田は火口の紙がちりちりと燃えていくのを眺めながら、「人間、生きているうちに吸える煙草の本数は、限られているね」短くなった煙草を、平地へ放った。―(本文より)”
戦争の記憶も、場所もだんだん失われていく中で、戦争を経験していない世代がその恐怖や悲しみを想像して、書いて伝える。そこに意義があるのだと、同じく戦争を経験していない私なりにそう思った。
また、牧歌的な風景とはいえ物資は欠乏しており、マラリヤに罹った兵隊たちが次々になす術もなく死んでいく。そうして風前の灯火となった正気や生命が次々にこと切れていく地獄の「転進」シーン。結末も含めて極めて真っ当で真っ直ぐな戦争文学という印象だった。ただ、文章力は高く構成も悪くないと思うものの、何か新しさのようなものがあるかと言われると微妙で、受賞できなかったのもやむなしという感じか?
いっちさんとの119冊同じ本を読んでいました。ただいっちさんは再読している本もあるようなのでもう少し少ないでしょうか。こんなことをやるのは初めてです。(笑)
100名山さん>コメントありがとうございます。119冊ですか!すごいです。好きな本の傾向が似てるんですかね。
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“中庭ではまだ幾人かの兵が身体を動かしていた。負傷した場所を気遣うように、ゆっくりと。日向ぼっこをする老人のように、ゆっくりと。眞田は火口の紙がちりちりと燃えていくのを眺めながら、「人間、生きているうちに吸える煙草の本数は、限られているね」短くなった煙草を、平地へ放った。―(本文より)”