形式:単行本
出版社:河出書房新社
そんな情緒的な面に訴えるところがあると思うのだが全共闘闘争から孤立してテロリストになる心情も書かれていると思う。ただあまりにも一途だったり、杜撰だったりするのは若さなのかなと思う。それはテロリストの中でも性格はそれぞれ個性があり、彼は人間の弱さについて描くのだが、テロリストの中にはそういうことは革命の下に置き去りにされていく。一番のショックだったのは、大道寺あや子が北朝鮮へ行ってしまうことだろうか。母はそれが現代っ子だと思うのだった。
https://note.com/aoyadokari/n/n8733cc53cf87
大道寺将司にはアイヌに対する贖罪意識があったという。日本の民衆は、血で肥え太った企業もろとも滅亡させられる。爆弾などとは桁違いに大規模に...。過激な言葉だが全否定はできないと本作を読み感じた。著者の松下氏と大道寺とのやり取りで書かれた本作に対し、大道寺が強く要求したのは供述調書の撤回。何故なら検事の作文(不正確・意図的な嘘)。罪に真摯に向き合う様や、獄中からの手紙の内容も書かれている。殺人の意図は本当にあったのか? 真に裁きを受けなければならないのは誰か? 死刑の判決の流れになった理由に言葉をなくした。
警視庁公安部側から書かれたこちらも読んでみたい https://bookmeter.com/books/7586894
著者は「豆腐屋の四季」を書いた松下竜一氏。獄中で同書を読んだ大道寺死刑囚からの手紙をきっかけに事件に興味を持った。手紙にはこうあった。「『人民』や『大衆』といってしまう時、個々の生活者の特殊性は見えなくなってしまいます。ぼくが『豆腐屋の四季』に感動し涙を流したのは、決して『大衆』としてくくってすますことのできない生活を見せてもらったから。ぼくが人民とか大衆とくくってしまう中に松下青年の生活があった訳だし、三菱で死傷した人たちも含まれます。ぼくはそういったものが全然見えなかったのじゃないかと思いました」
あと、大道寺母が義理のお母さんというのもびっくりした。この狼たちの母親を撮ったドキュメンタリーがあるそうなので見てみたい。捕まった直後から、支援活動が迅速に発足していた、考え自体には共感するひとたちが多かったとの一文に救われる思い。
これを公安側から見た「狼の牙を折れ」(だったかな?)門田隆将のやつ、併せ読むと面白いですよ。
おかむらさん、ありがとうございます。
これも読まなきゃいけない!
松下竜一さん初読みでした。ってかもうお亡くなりになってるのね…。この本復刻版みたい。今の時代に出すってとこに意味があるように思いました。しかもとても読みやすい!
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