読書メーター KADOKAWA Group

狼煙を見よ:東アジア反日武装戦線“狼"部隊

感想・レビュー
26

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
take
新着
ネタバレとても興味深い本だった。70年代に連続企業爆破テロを起こした東アジア反日武装戦線について。階級的視点ではなく、労働者の賃上げ闘争すら戦前の植民地支配、戦後の海外進出企業の現地での抑圧の上で成立しているとして、日本人である特権を否定して闘っている点で、当時の過激派左翼とは異なる思想。手段や結果は許されないが、アイヌや沖縄、朝鮮、台湾などでの侵略や収奪に心を痛め、その基盤で経済大国化する日本に矛盾を感じ、見て見ぬ振りが出来ずに行動して爆破犠牲者の発生には懊悩する若者の熱気、未熟さ、誠実さ、純粋さが感じられた。
0255文字
isbm
新着
★★★☆
0255文字
かふ
新着
著者はもともと革命よりも生活が大事という豆腐屋だったのだが、商売が挫折してその根本を考えると社会悪があるというのでフリーのライターになった。その著作『豆腐屋の四季』を読んだ大道寺が著者に興味を持って連絡してきたのだという。著者は革命思想よりも大道寺と母の関係について深く掘り下げている。もともと日本人は心情左翼的なところがあったのだが。爆弾テロリストや赤軍派のリンチ事件などでそいう心情も無くなっていく。著者が大道寺の犯罪を肯定することは出来ないのだが母親の苦しみは理解できる。
かふ

そんな情緒的な面に訴えるところがあると思うのだが全共闘闘争から孤立してテロリストになる心情も書かれていると思う。ただあまりにも一途だったり、杜撰だったりするのは若さなのかなと思う。それはテロリストの中でも性格はそれぞれ個性があり、彼は人間の弱さについて描くのだが、テロリストの中にはそういうことは革命の下に置き去りにされていく。一番のショックだったのは、大道寺あや子が北朝鮮へ行ってしまうことだろうか。母はそれが現代っ子だと思うのだった。

10/07 11:49
0255文字
r
新着
大道寺将司に句集があるという。読まねば。
0255文字
PCsasa
新着
本著に書かれたようなテロの時代がこの国にあったことに素直に驚かされる。しかも、逮捕された同グループのうちの3名がハイジャック事件の人質交換で釈放され、うち2名は現在も逃亡中であるという事実もにわかに信じられないが、先日病死した桐島聡の件で、現代と地続きであることを生々しく実感させられた。若者たちがこの国に矛盾を感じ、必死に抵抗していた時代から、更に悪化の道を辿るこの国の姿を、著者はもちろん、かつての革命戦士たちはどのように眺めているだろう。彼らのような義侠心を持つ若者が今この国にどれだけいるだろう。
0255文字
マリリン
新着
三菱は失敗であっても被告人たちを日本は裁けるのか? 東アジア反日武装戦線「狼」班による三菱重工爆破等について書かれたノンフィクション。一般報道とは一線を画した内容が衝撃的だった。桐山襲『パルチザン伝説』を読み、彼らが何故行動を起こしたのか知りたかった。侵略・植民地支配・強制連行、経済侵略によりGNP大国と化した日本。やったことの結果だけみて裁くのではなく、歴史的流れや戦い続けてきた人柄や背景を...。拘置所での人権侵害的処遇は暴力でしかない。知らなかった彼らの心情と事件の側面を知ることができた。
マリリン

大道寺将司にはアイヌに対する贖罪意識があったという。日本の民衆は、血で肥え太った企業もろとも滅亡させられる。爆弾などとは桁違いに大規模に...。過激な言葉だが全否定はできないと本作を読み感じた。著者の松下氏と大道寺とのやり取りで書かれた本作に対し、大道寺が強く要求したのは供述調書の撤回。何故なら検事の作文(不正確・意図的な嘘)。罪に真摯に向き合う様や、獄中からの手紙の内容も書かれている。殺人の意図は本当にあったのか? 真に裁きを受けなければならないのは誰か? 死刑の判決の流れになった理由に言葉をなくした。

03/19 02:28
マリリン

警視庁公安部側から書かれたこちらも読んでみたい https://bookmeter.com/books/7586894

03/19 03:23
0255文字
mj
新着
1974年、三菱重工など連続企業爆破の凶行に及ぶ犯罪者達、東アジア反日武装戦線。徹頭徹尾犯罪者に寄り添ったノンフィクション。予断にまみれ硬直した思考をする犯罪者の姿が浮き彫りになる。読書経験が豊富ではない私にとっては新奇な手法で興味を持って読むことができた。この犯罪者の言い分は、あの国とあの国とあの新聞社の言い分と重なる。生まれて最初に見たものを親と思い込むガンのごとく、最初の知的感動を正として追求し修正できない気質だったのか。
0255文字
タ カ ヒ ロ
新着
桐島聡の件を機に読む。50年前、自分が生まれる前の事件であるが、テロは許されることではない。
0255文字
Satoshi
新着
桐島聡逮捕からの病死のニュースを見ながら、東アジア反日武装戦線について知らないことが多いと思い、本書を購入した。日本帝国の東アジアでの加害の清算が大企業への爆弾テロだったのだろうか、もっと異なる方法があるのではと思いながら読み進める。三菱重工爆破では死者が出たことで動揺し、自殺用の青酸カリを持ち歩くなど、そのアンビバレントな純粋さが痛々しい。
0255文字
蝮
新着
桐島聡氏死去を機に読んだ。東アジア反日武装戦線「狼」が天皇爆殺を実行しようとする部分など、手に汗握る。三菱重工本社爆破事件ではたくさんの方が亡くなった。その犠牲を理由に、彼らの行動は単なるテロルとされている。しかし著者は問う。死者にこだわる限り、そこからは一歩も動けない。死者にこだわるという一見誠実な立場は、実は思考回路を閉ざすことになるのではないか―。大道寺あや子氏は今どこで何をしているのかが気になる。有罪判決を受けていない推定無罪の者たちが、なぜ留置場や拘置所でこんな人権侵害を受けるのか。考えた。
0255文字
z
新着
桐島聡追悼で久々に再読。共産党はもちろんのこと新左翼セクトすら救援に関わらなかった「極悪」ノンセクトとされる東アジア反日武装戦線だが、この本は「さそり」の黒川芳正が獄中から監督し製作したドキュメンタリー映画『母たち』と対になるような作品(どちらも発表は1987年)。大道寺将司の母の、息子や事件、死刑に対する考え方や行動の変化が印象的。 朝鮮などの植民地支配や太平洋戦争をいつまでも清算できない日帝本国人のひとりとして、心して読むべき名著である。
0255文字
tegi
新着
社会の不正義や暴力に怒りを抱きつつも、自分の生活で精一杯、という人ほどえぐられるのではないかと思う。正義の達成のために、どこまでの犠牲が許されるのか?(不正義による犠牲が日々生み出されているのだから、その問いを止めることはできないはずだ) 公害問題に取り組んでいた著者が、自身とテロリストたちの「激情」の近さに愕然とするくだりなど、わたしも強く共感してしまう。そして中盤で明かされる、彼らの真の目標を狙う意味も理解できてしまうのだ。
0255文字
小暮 宏
新着
“狼”が三菱重工を爆破したのは武器の製造メーカーだからというのが直接の理由だが、そのほかのかつて日本が軍事的侵略した東アジアの経済的再侵略に加担している企業群にも爆破が繰り返されたのは知らなかったし、その先に天皇も標的に入っていたのも知らなかった。もっとも理屈からすれば当然そうなる。 爆破によって一般人犠牲者が出てしまったことに悩むのは甘いといえば甘いので、そんなことに頓着していられる企業群国家権力に対峙するには弱いのもわかる。
0255文字
ミヤビとライライ
新着
1974年の三菱重工など連続企業爆破事件を起こした犯人たちは当時25,6の若者であった。朝鮮への侵略と植民地支配、アイヌ民族や沖縄への同化政策などで膨張し繁栄を続けたこの国。多くの人を虫けらのように扱い、命を奪ってきたのに、敗戦後も最高責任者を含め為政者や関係企業は何ら責任を取っていない。そんな義憤が引き金となった。彼らの主張に共感を覚えたが、結果は市民殺傷のテロ。手法は完全に間違えていた。しかし彼らの問題提起は半世紀近くたった今も未解決のまま。この国は過去と向き合うことから逃げ続けている。
ミヤビとライライ

著者は「豆腐屋の四季」を書いた松下竜一氏。獄中で同書を読んだ大道寺死刑囚からの手紙をきっかけに事件に興味を持った。手紙にはこうあった。「『人民』や『大衆』といってしまう時、個々の生活者の特殊性は見えなくなってしまいます。ぼくが『豆腐屋の四季』に感動し涙を流したのは、決して『大衆』としてくくってすますことのできない生活を見せてもらったから。ぼくが人民とか大衆とくくってしまう中に松下青年の生活があった訳だし、三菱で死傷した人たちも含まれます。ぼくはそういったものが全然見えなかったのじゃないかと思いました」

02/07 07:14
0255文字
yuki
新着
「狼をさがして」という韓国映画を見てきたというお友達からもらったままずっと読まずに置いてあったのですが、読み始めてびっくりしました…。この時代の空気は分からないのですが主人公となった大道寺さんのお母さまや仲間の女性たちに共感してしまいました。暴力は決して許されることはありませんが、日本の戦前・戦中・戦後史のもう一つの見方を教えられた気がします。
0255文字
モスラ
新着
テロをおこした本人たちが、死者がでたということにすごく動揺し、結局そこから突き崩され自白していくことに一番びっくりした。なんであってもテロをすればどこかで死者が出てしまう可能性はあると思うのだけど……。そのアンバランスさが悲しいというかなんというか。直接行動を起こしていないまわりの人たちが次々と自死していくことその数の多さにも驚いた。しかし、現代日本が抱えている多くの問題は、いまだに明治維新後、戦後、天皇制、植民地問題諸々の総括がたりないというか中途半端だからだと思う。
モスラ

あと、大道寺母が義理のお母さんというのもびっくりした。この狼たちの母親を撮ったドキュメンタリーがあるそうなので見てみたい。捕まった直後から、支援活動が迅速に発足していた、考え自体には共感するひとたちが多かったとの一文に救われる思い。

04/22 03:39
0255文字
竹園和明
新着
三菱重工本社爆破事件を起こしたテロ集団の中心人物・大道寺将司があの惨劇を引き起こすに至るまでを追ったルポ。この男、根っからの荒くれ者では決してない。親思いで正義感が強く、アジアの貧困国の為に出来ることはないかと考える生真面目な男。そのアジアに進出する日本企業は自社の利益のために各国の人々を蹂躙していると考えるに至り、彼らに鉄槌を下すべく武力制圧の方向へ進む。繁栄の陰で涙を流す人々を救いたい想いがどこかでデフォルメされてしまった悲劇ではあるが、逮捕後の我が子を見守る両親の姿があまりにも不憫すぎる。
おかむら

これを公安側から見た「狼の牙を折れ」(だったかな?)門田隆将のやつ、併せ読むと面白いですよ。

09/23 06:48
竹園和明

おかむらさん、ありがとうございます。

09/23 07:08
3件のコメントを全て見る
0255文字
Jun Aoyama
新着
同じ事件を扱った門田隆将の狼の牙を折れを読んだので、事件の概要は分かっていたが、こちらは実行犯側からの視点ならなので、全く趣きが違う内容。 爆破事件はテロ以外何物でもないので、全く許容できるものではないのは当然として、作中に何度となく、実行犯らの思想や意図を受け入れる記述が出てくるのは、この時代の空気を知らない者には理解しかねる。 確かに、今の日本の繁栄が色々な人々の犠牲の上に成り立っているのは分かるが、どの時代にもどの世界にもある事で、それを持ってしてテロに走るのを純粋だとか擁護するのは同意出来ない。
0255文字
halfpint
新着
東アジア反日武装戦線 狼 の話。
0255文字
あまたあるほし
新着
しかし、テロリストを取材するというのは大変だろうなぁ、と。自分自身の言葉に取り憑かれて、殺人を正当化していく過程が恐ろしい。
0255文字
けいこう
新着
小説みたいで面白かった。というか片岡の扱いや、レインボー作戦の描き方、さらには幾度となく言及される著者本人の心情などをみるに小説といってもいいくらいかもしれない。いや、つまりノンフィクションやルポタージュとはまた違うのではないか、というくらいのつもりで、なのだけども。この逡巡する著者と、大道寺将司の母親の存在が犯人らとの緩衝材になって、僕なんかはあっさり犯人らに感情移入してしまうのだけど、この緩衝材としての著者すなわち語り手を考えるに、ギリギリで誠実であるかのように振舞っていても、十分肩入れしているようだ
0255文字
おかむら
新着
1974年の三菱重工本社爆破事件を始めとする連続企業爆破事件。東アジア反日武装戦線のノンフィクション。最近あさま山荘、よど号と昔の過激派の本を読んできて、次はコレ。非常に面白い!70年前後の学生さん達の真面目さと幼稚さと上から目線がイタイ。本気で革命。今はテロリストって遠い国の話だけれど、当時は日本国内がこんな感じだったのかー。ただ、彼らの主張は、今大層右寄りになってる風潮の中では、真っ当に思えてしまう。そういえば門田隆将がこの時間を公安側から書いたノンフを以前読んだけど、また読み直したくなったー。
竹園和明

これも読まなきゃいけない!

10/06 21:09
おかむら

松下竜一さん初読みでした。ってかもうお亡くなりになってるのね…。この本復刻版みたい。今の時代に出すってとこに意味があるように思いました。しかもとても読みやすい!

10/07 08:02
0255文字
Admiral2009
新着
新装版。世に不安を与えることで社会構造が変わると思う勢力は、社会から支持を得られると本気で思っていたのだろうか?
0255文字
ヨシムラ管
新着
良作バトル小説
0255文字
全26件中 1-26 件を表示
狼煙を見よ:東アジア反日武装戦線“狼"部隊評価65感想・レビュー26