形式:単行本
出版社:集英社クリエイティブ
形式:Kindle版
出版社:集英社クリエイティブ/集英社
どちらも、しかも政府対応に対して批判されるべきなのだ。⑷こういう問題では国民が声を上げなければならないが、結局、沖縄問題として収斂されるだけで、列島の人々(候補者も含め)は気にも止めない。マスコミも沖縄を除き、「赤旗」だけが頑張っているというのでは始末におえんだろう。⑸加えて、政治家(官僚では限界がある)が、国民の利益・安全のために日米地位協定をもう少しまともなものにすることに殆ど汗を掻かず、官僚もそれを手助けしているとは言い難い。こういう政府の軍隊はシステムとしては日本国民を守るためのものではない。
かかる疑念は払拭されないであろう。日々の個々の末端自衛隊員の小さな営為ではなく、大局的観点でルールチェンジに挑んでこそ、システムとして軍隊が信に値する存在と化すはずだ。
「横田ラプコン」と言う言葉をはじめて知りました。
■備忘記■ 『誰もさばけないコントラクターと自衛隊』 イラク戦争で暗躍した民間軍事企業ブラックウォーターは米国務省が委託していた。ここでは国防省ではなく国務省管轄であるため軍属にはならないというのがツボだ。こうした軍属ではないが軍隊に随伴する民間請負企業をコントラクターという。そしてブラックウォーターの社員がイラク戦争で民間人を殺害する事件を起こした。だが地位協定によって刑事免責特権を付与されているためイラクの国内法では裁けない。更に軍隊に直接雇用されていないので軍法でも裁けない。つまりは無罪放免である。
翻ってPKOに従事している自衛隊員が万が一不祥事を起こした場合はどうなるか?まずPKO地位協定によって受入国は第一次裁判権を放棄しているため、自衛隊員を国内法では裁けない。さらに自衛隊は軍隊ではないため軍法が存在せず軍事法廷で裁くことも出来ない。よって自衛隊員は何物にも裁かれない。これはブラックウォーターの社員が無罪放免裁されたことと類似したロジックだ。「不届きな駐留軍人は軍法会議で厳粛に裁かれる」ことが前提となり地位協定というものは機能している。だがその前提が崩れた場合には駐留活動自体が危うくなる。
改善を果たしてきた。一方で、日米地位協定は、未だ占領期と大きく変わらないまま。この不平等な地位協定こそが、沖縄の基地問題の本質であるとする。米軍基地の7割が沖縄に集中しているがために、日本本土では可視化されにくいが、主要な当事者たる沖縄では今なお反基地運動が続く。両者が分断されることは、米軍を利することに他ならず、右も左もアメリカの掌の上でいがみ合っている、との表現(伊勢崎先生の好きな言い回しですね)。日本全体の国民運動が盛り上がらなければ、他国のような地位協定見直しは難しい。
こういう内容を非常に分かりやすく、論理的に書かれているのが本書のすごいところ。ロシアとの領土問題まで、このテーマに関わってくるのか!と目からウロコでした。
政権交代して変えようとしたが変えられなかったのは国民の関心が低いからだ(鳩山のやり方にも問題ありますけどね)。00年代には自民党内にも改定の議連があって、その幹事長は河野太郎であった。今は外務大臣なので期待している。
伊勢崎賢治さんの本を読んで、自衛隊が海外出兵し、ジブチに地位協定を締結しているのだから「軍法会議」を設置すべきだという意見に賛成していたのですが、憲法76条で設置禁止しているんですね。初めて知りました。9条だけでなく76条のしばりがある。 ○軍法会議のない「軍隊」:自衛隊に軍法会議は不要か >>
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