形式:文庫
出版社:筑摩書房
出版社:朝日新聞
『魏志倭人伝』に出てくる「一大率」を魏が任命したとする説を松本清張が唱えていたが、著者がこの点を手厳しく批判したようで、連載中の雑誌編集部にクレームが来たそうだ。本書を読む限り、他にもこうした人がいたことは容易に想像できる。
先史時代の朝鮮半島や日本列島では、未だ余剰食糧の生産はされていなかった。旅の行商人が現れ、物々交換のために村に持ち込む遠い国の便利な製品や珍しい産物を見せられ、村人がそれを欲しいと思うことから食糧の生産意欲が生まれる。市場経済が浸透し、余剰食糧が出現し、食糧生産以外に従事する人が生まれ、国家、政治、歴史が生まれる。この行商人が中国商人で、燕国が半島から日本列島迄の貿易ルートを握った紀元前3世紀から始まった。
中国商船が定期的に来航すると、山から人が下りてきて河口に聚落ができた。その中で中国人と倭人を仲介する者が現れ、仲介機能が組織化され、指定交易場や酋長が生まれ、国ができあがってくる。この頃が「楽浪の海中に倭人あり、分かれて百余国となる」だ。奴国・邪馬台国が生まれた。このままだと倭国も中国の一部になりそうだったが、漢の衰退もあり、楽浪・帯方の滅亡により高句麗・百済・新羅が生まれ、4世紀後半に仁徳天皇が出現した。
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『魏志倭人伝』に出てくる「一大率」を魏が任命したとする説を松本清張が唱えていたが、著者がこの点を手厳しく批判したようで、連載中の雑誌編集部にクレームが来たそうだ。本書を読む限り、他にもこうした人がいたことは容易に想像できる。