形式:単行本
出版社:吉川弘文館
形式:Kindle版
北部日本海を通した日本と対岸との交流については「エゾの歴史(海保嶺夫)」、この著者言うところの「資料からわかる限り」渤海国を描いた本として「渤海国興亡史(濱田耕策)」を私は想起した。
渤海国や環日本海も、地中海世界のような、かつてあった世界の枠組みのひとつなのだろう。現在の中国や朝鮮といった枠組みと整合しないのは当たり前。
感想を書いてから皆さんの感想を読んでみる、というのが「読み切る」と「返す」の間に入るわけですが、そこそこの読者がいたようで「良くわかった」グループと「もう一つもの足りない」のグループがいらっしゃるな、と感じました。読みつつ思ったのですが、この渤海に歴史がしっかり残っていないのは、日本列島の蝦夷の歴史がしっかり残っていない点と同様でしょうか。蝦夷は自身の言語や文字があったのかどうかを我々現代の日本人ですら曖昧です。支那や朝鮮にすると渤海の歴史は「有耶無耶がマシ」なのでは、と思いました。
早々って……2世紀保てば国・体制としては立派なものと私は思うよ。
本書を読んで、渤海は当時隣に面していた唐・新羅とかどこの領地にも属さない緩衝地帯があった事、渤海国を建国した大祚栄、唐との関係性が悪化し弟が唐に亡命した大武芸や大鉄茂、大仁秀など歴代王とそれぞれの時代の出来事の詳しい説明などがとても面白かった。政治体制なども分かっているそう。とても内容が詳しい。一方でたまに詳しい説明なく専門用語が出てくる場合もあり読むのは少し大変だった。羈縻州や王の称号の説明は面白かったが今ひとつピンとこない。唐の時代の中国に関して詳しければ難なく読めるのかもしれない。
私も同じような感想です。テーマは興味深いのですが、いささか難しいというか固有名詞になじみがないものがおおく難儀しました。本テーマでもうちょっとこなれた書き方の書物の出現を希望します。
近年の「東部ユーラシア世界」論に関する論著を読んでると、「日出る処の天子」的なあり方は日本だけでなく当時の多くの国家が取った態度で、日本以外の国はわざわざそれを口に出さなかったということではないかという気がしてくるのだが…
しかし本書の著者が「中国中心の東部ユーラシア世界」という表現に対して、中国を相対化するという本来の趣旨が忘れられているとツッコミを入れているのに笑ってしまったがw
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