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渤海国とは何か (歴史文化ライブラリー 458)

感想・レビュー
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転天堂
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『渤海国興亡史』が食い足りなかったのでこちらも読了。現代の民族国家がそれぞれの立場に寄せて歴史研究を行ってしまうと、実像が見えにくくなるが、その枠組みを超えて当時の国家意識や他国(唐、日本、新羅、契丹)からの認識なども検証することで、多種族による交易国家としての渤海国のあり方がより良く理解できた。こうした交易国家としての意識が、その後の金や清などの女真族国家にも継承された、という指摘はなるほどと思った。
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竜王五代の人
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現在でいう中国・朝鮮・ロシアにまたがっていた渤海国について、東アジア(中華帝国の文化圏)・東部ユーラシア(中国と草原遊牧民)・東北アジア(満州から朝鮮の諸民族)・環日本海世界・環黄海東シナ海の枠組みでみていく本。未分化だった東北アジアが、中国やモンゴルとつながる「中国東北部」と、統一新羅~高麗の形をとって析出した朝鮮に政治的に分離する話と、唐帝国が初期の征服から後退するなかで結集した渤海国は、唐が衰退とは別に国勢を保っていたのが契丹の断首作戦で敗北しただけで、サブシステムとして
竜王五代の人

北部日本海を通した日本と対岸との交流については「エゾの歴史(海保嶺夫)」、この著者言うところの「資料からわかる限り」渤海国を描いた本として「渤海国興亡史(濱田耕策)」を私は想起した。

09/01 18:50
竜王五代の人

渤海国や環日本海も、地中海世界のような、かつてあった世界の枠組みのひとつなのだろう。現在の中国や朝鮮といった枠組みと整合しないのは当たり前。

09/01 18:53
3件のコメントを全て見る
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KF
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こりゃあしんどかった。常に図書館で「借りる」「読み切る」「返す」よって本棚には積まない、の連続です。で、図書館で借りるのも案外「これは売れてる」「この著者なら」で選んでおらず「なんとなく」で借りてきます。今回のは選択ミスでしたね。そもそも渤海という国は山川の日本史や世界史でもほんの僅かの扱い。我ながら「良くぞ日本海を挟んで交流があった点を覚えていたもんだ」と無茶に関心。何はともあれ、初心者向けではありません。せめてwikiで予習してから読むべきでした。率直に「これ、内輪話の類い?」と感じました。
KF

感想を書いてから皆さんの感想を読んでみる、というのが「読み切る」と「返す」の間に入るわけですが、そこそこの読者がいたようで「良くわかった」グループと「もう一つもの足りない」のグループがいらっしゃるな、と感じました。読みつつ思ったのですが、この渤海に歴史がしっかり残っていないのは、日本列島の蝦夷の歴史がしっかり残っていない点と同様でしょうか。蝦夷は自身の言語や文字があったのかどうかを我々現代の日本人ですら曖昧です。支那や朝鮮にすると渤海の歴史は「有耶無耶がマシ」なのでは、と思いました。

05/19 23:59
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晩鳥
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古代中国東北部~朝鮮半島北部で栄えた「渤海国」について、他国との関係を中心に描いた本。中国、韓国・北朝鮮、過去の日本で自国との関わりを強調する「歴史の争奪」が行われている・いたというのが印象に残った。
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パトラッシュ
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渤海国については以前読んだ通史が詳しく、本書の歴史記述はあっさりしている。むしろ中国を相対化した東部ユーラシア世界の立場から、日本と朝鮮半島と中国本土から等距離に位置した渤海国の外交と交易と民族移動を概観することで、八世紀から十世紀頃の環日本海経済圏がいかに発展したかに焦点を当てる。唐からは文物移入や冊封体制で大きく影響され、満州の女真族や北上を狙う新羅とは常にぶつかりながら日本と結んで対抗しようとする。早々に滅亡せず長く存続していたら、日本海は地中海のような交易の海になり東アジア史も激変していただろう。
竜王五代の人

早々って……2世紀保てば国・体制としては立派なものと私は思うよ。

09/01 18:56
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しめおん
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「海東の盛国」でおなじみ?の渤海史を描いた本。主に対外関係史が中心に書かれていて、中国や朝鮮、日本や北方遊牧民族とどのように関わっていたのかというのが立体的にわかってかなり面白かった。ほかにも、契丹(遼)や金のような中世の遊牧民国家の先駆けとなるような国だったという見解は興味深い。去年「歴史戦」という言葉が物議を醸したのは記憶に新しいけど、渤海は場所の関係上まさに中韓の歴史戦の舞台になっているらしい。政治から歴史を作りだすことは嫌いだけど、それを受け入れて新たな歴史観を作らなきゃいけない大切さを感じた。
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ねぼすけ
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8世紀頃から925年に契丹に滅ぼされるまで朝鮮半島北部から中国北東部にかけて存在していた「渤海国」について詳細に解説した本である。渤海国は滅びてしまった為自身による記録が残っておらず、本書では主に中国と日本に残っていた記録から渤海国とはどのような国だったのかを解説してゆく。内容としては渤海国の歴史と当時の北東アジア情勢を元に周りの国々との中でどういった立ち位置だったのかを解説していた。内容はとても詳しく非常に読み応えがあった。
ねぼすけ

本書を読んで、渤海は当時隣に面していた唐・新羅とかどこの領地にも属さない緩衝地帯があった事、渤海国を建国した大祚栄、唐との関係性が悪化し弟が唐に亡命した大武芸や大鉄茂、大仁秀など歴代王とそれぞれの時代の出来事の詳しい説明などがとても面白かった。政治体制なども分かっているそう。とても内容が詳しい。一方でたまに詳しい説明なく専門用語が出てくる場合もあり読むのは少し大変だった。羈縻州や王の称号の説明は面白かったが今ひとつピンとこない。唐の時代の中国に関して詳しければ難なく読めるのかもしれない。

10/31 15:36
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maqiso
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高句麗遺民が建てた渤海は北東に領域を広げ、日本海・黄海を渡って交易を行った。儒教・仏教を取り入れて冊封体制に組み込まれ、半島を統一した新羅と敵対したが日本とは活発に交流した。唐からは遠夷と内国の中間として扱われた。渤海は中央では律令体制を敷きつつ北部靺鞨諸族は間接支配をし、この体制は渤海を滅ぼした契丹に受け継がれた。季節風に従えば日本海も渡りやすいというのが面白い。
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wang
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698年〜926年に中国東北地方東部・沿海州地域・朝鮮半島北部を領有した国。奈良時代〜平安初期の日本とも盛んに交易を行った国を、中国との関係、日本や朝鮮半島との関係、あるいはユーラシアの遊牧民族との関係で考える。高句麗遺民の靺鞨人が核となり、朝鮮系や遊牧民などを取り込んで拡大する。高句麗の後継を名乗りつつ、唐に朝見。唐代の東夷の格付けや関連。唐が朝見国をどう扱ったかについて詳し区書かれていた。朝鮮や満州の部族が未分化だった当時から各国のアイデンティティが確立される流れや、日本海交易の様子がわかるのもよい。
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太田左衛門大夫
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渤海がこれほど史料に乏しい国だとは知らなかった。とくにこの国の人物の文学作品が残っているという訳でもないらしい。王でさえその人間像がはっきりしないので、同時代の周辺の国家と比較すると、もどかしいが、四周の海陸それぞれの交流によって、その姿を何とか描こうとする手法はなるほどと思った。
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bapaksejahtera
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「歴史」については近代概念である領域国家や国民国家を前提に考えがちである。島国の我が国は特にその傾向が強い。朝鮮や中国についてもその点例外ではなく、最近も高句麗や渤海を巡って両国の対立が見られる。渤海について本書はその特異な「国家」の性格を多角的な視点から考察しており、目を開かれた。独特なのは7世紀末の渤海建国から10世紀末滅亡までの通史を前半で述べた後、満州東南部の進んだ律令国家やユーラシア国家としての広域性、農耕民遊牧民的二相性、環日本海国際交通の担い手に論及する構成。小冊ながら内容の豊かな書である。
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MUNEKAZ
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「海東の盛国」と呼ばれながらも直接の後裔となる国が存在しないため、今一つぼんやりとした存在の渤海国。それを東アジア世界、ユーラシア東方世界、満州世界、環日本海世界と多様な切り口で見ることにより、全体像をつかもうとしている。そしてそれは渤海を満鮮一体の象徴として植民地経営に利用しようとした戦前の日本、自らを渤海の後裔として歴史論争を繰り広げる中国と韓国など、古代国家を現在の国家・国境線で捉えようとする「歴史の争奪」の愚かしさも伝えてくれる。過去は常に現在の政治問題に転化するのであろうか。
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まっちゃん2
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図書館:私は70年代後半に高校生で、渤海国の研究もそのころ始まったようなものだそうです。当然当時の高校の教科書には渤海国のことは殆ど書かれていなかったかと思います。  それは、どうも、後々のモンゴル帝国に発展する原型であったという説です。つまり遊牧民と農耕民を統合した国家統治の初めてのモデルが渤海国だったと。となると壮大な実験をこの国はしたことになります。  一般人にはちょっと難しいですね、読み進むのに通常の3倍くらい時間がかかりました。いずれ再読するか同テーマの別な本を読んでみたい。
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古隅田川
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「渤海国とは何か」というタイトルがそのまま読み終わった後の感想。 中国の唐、北方遊牧民の突厥・契丹、新羅、そして日本と周辺諸国とのつながりを通して、渤海国を捉えようとしている。中国の史料に基づいているため、役職名や人名に難しい漢字が多く、読んでいて楽しいという気はしなかったが地道な研究に裏打ちされた書籍と感じ、何とか最後まで読んだ。 しかし、新しく得た知識を整理することができず、頭の中は混乱している。これらを整理するために渤海国について書かれた別の本も読んでみたい。
まっちゃん2

私も同じような感想です。テーマは興味深いのですが、いささか難しいというか固有名詞になじみがないものがおおく難儀しました。本テーマでもうちょっとこなれた書き方の書物の出現を希望します。

10/29 00:41
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はちめ
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渤海国自体の歴史を扱った本なので日本との交流に関する記述は少ない。渤海国を謎扱いするロマンチシズムを排除してあるとのことだが、所詮文字資料の少ない対象を扱っているのだから、本書も多くは推定で書かれている。ロマンチシズムを廃したせいか、日本に来た渤海使が当時の日本の文化人と交わした漢詩についても言及がない。貴重な文字資料だと思うのだが。2018年の出版であり新しい研究成果もあるが魅力に欠ける1冊だった。☆☆★
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Meistersinger
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遊牧民系国家だったのだなぁと、自分の無知を自覚。東アジア諸国が自国史の観点からみた渤海国としてしか描かれない傾向がある、というのは初めて知った。
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相馬
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良く知らなかった渤海の、東ユーラシア国家という基本的な理解はできたかな。
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さとうしん
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渤海国に絡んで現代の中国と韓国による「歴史の争奪」の問題、「冊封体制論」の批判、近年流行の「東部ユーラシア世界」論から見た渤海国、後身となる東丹国の評価など、議論が広範にわたっていて、かつどれも興味深い。著者自身は渤海国と統一新羅によって東北アジアは南北に分割され、それぞれ朝鮮世界と満洲世界の別々の道を歩むようになり、満洲世界は中国世界の一員となっていくという理解を取るが、それを著者が吐露するように、当時の「思い」や立場とどう併存させていくかは、重い課題となっていくだろう。
さとうしん

近年の「東部ユーラシア世界」論に関する論著を読んでると、「日出る処の天子」的なあり方は日本だけでなく当時の多くの国家が取った態度で、日本以外の国はわざわざそれを口に出さなかったということではないかという気がしてくるのだが…

02/15 18:57
さとうしん

しかし本書の著者が「中国中心の東部ユーラシア世界」という表現に対して、中国を相対化するという本来の趣旨が忘れられているとツッコミを入れているのに笑ってしまったがw

02/15 19:03
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非実在の構想
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中国東北部から朝鮮半島までの民族の動向変貌を三国志から説き起こして渤海滅亡後まで詳説。名前だけしか知らなかった渤海の存在がぼんやりとしながらも輪郭のあるものに。則天武后から安禄山と渤海の関わりなど興味深かった。
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加藤 勤
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渤海国とは何か・・・ そんなこと考えたこともないという方も多いと思いますが、なぜ渤海国が謎とされるのかと言えば、ひとことで言えば今の国でいうところの中国なのか朝鮮(韓国)なのか定義が難しいというところにあります。 https://ameblo.jp/bookstama/entry-12345357259.html
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我門隆星
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『日本渤海交渉史 』を読んでいなければ少々ツライものがあるかもしれない、渤海国についての多面的分析。いや、ロクに資料がないから多方面から見てあげないと見えてこないのだけれどもね(なぜか宮中にある石碑の碑文、とか)。
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