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ボウイ―その生と死に

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その死に涙を流すにも遅すぎた2020年という時に、極東の地(ネットワークの普及によって日本という場所が”東の最果て“であるにも遅すぎているが)から、ボウイを見つめようとしている私にとって、ボウイにまつわる全てにすでに誰かの手によって加えられた言説が付き纏っている。というよりも、言説を通過してしかボウイを知ることが叶わない。 しかしながら、膨大な言説が付き纏うことは、つまり、「ボウイのことを話さずにはいられない人が数えきれないほどいるということ」であり、そのこと自体がボウイという存在が何であるのか、
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彼が常にDavid Jonesではなく、David Bowieであったこと、そしてファン達がそれがファンタジーであることを知りながらも(というか不断に変わり続ける仮面のせいで知覚せざるを得なかったと言った方が正しいのだろうが)愛したことに理由があるのではないかと思った。ボウイを知るのにあまりにも”too late”であった我が身を呪いながら、遅すぎたからこそ、これから私にとってのブラックスターが永遠に失われることはないことに正直少しほっとしている自分がいる。彼の死に立ち会ってしまった本書の

08/07 22:23
cm

著者を筆頭に全てのボウイファンの先輩方に頭が上がらない。

08/07 22:24
3件のコメントを全て見る
0255文字
ゆきぽん
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長らく積読本だったが、やっと読み終えた。 ボウイ論という哲学書。 一つ一つの章は短いが難解な部分もある。 プレイリストを聴きながら読むのがお勧め。
0255文字
h
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素晴らしき一冊。ボウイのスタイルそして歌詞の分析が主だが、「スターマン」との出会いから始まる筆者の自伝的記述を通して、ボウイの存在に肉薄してゆく。次々と皮を纏っては脱ぎ捨て変転してゆくボウイの速度に合わせるかのごとく、本書の記述も速度があって軽やか。装丁も彼の文体によく合っていて、そればかりかそこから飛翔してゆかんとする意志さえあって素晴らしい。訳者作成のプレイリストを聴きながら、トラックと抜きつ抜かれつしつつ読了。
h

訳に関しては原文の文体の問題もあるだろうが、一部堅いところがあったけれど、多く学ぶところが多く、特に歌詞の翻訳が非常に啓発的であった。それとは別に一点気になったのは、筆者が素晴らしい分析を展開する一方で、まだどこかボウイとの間に微妙な距離を保ち続けているということだった。軽やかな知的エッセイの文体が、同時に何かを阻んでいるという印象。それは筆者がニューヨークに移り、ボウイの下階に住む友人宅を訪れた際に語られる、床を一枚隔てた憧れの(ブラック)スターとのobliqueな距離のように思われた。

03/17 18:36
h

それは筆者に対するボウイの影響力の甚大さからくるものだろう。ボウイを凡百のロックスターたちから隔てじりじりとせまってゆくクリッチリーの記述は鋭く、愛をもって聴きこんだ人が書くことのできるものだと感心したし、尊敬している。「ボウイはこれではない」という否定の切れ味がよく鮮やかである。ただその奥には無がある。まだ語れない無。この無を語るには軽やかさだけでは太刀打ちできないことを筆者も承知しているのだろう。もしかしたらこの後に書かれるかもしれない彼の(あるいは誰かの)本への道を本書は整えてくれたようにも思う。

03/18 19:25
0255文字
Tetsuji Yamaguchi
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★★★★★
0255文字
Satoru Moriaki
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いわゆるディスコグラフィーやバイオ本でもなく哲学者が私的なエピソードを交えたボウイ論。これがただのイチファンの思い出や感想ではなくしっかりと本質的な芸術論になっているから流石。数あるボウイ本の多くを読んだ訳ではないけど、これ極上のボウイ本じゃないかな。読後すぐに「ロックンロールの自殺者」を聞きたくなりました。訳者の気合の入り方も相当で、熱量が静かに伝わってくる。おすすめ。
0255文字
工藤 杳
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親密な本。ボウイをとても聞きたくなったのであれば、この種の本の役割を十分果たしているといえる。Heathen、Realityの良さを発見できたのが収穫。Nothingの歌い手。
0255文字
ウクレレまさあき
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哲学者が、歌詞をもとにBowieの本質を解き明かそうとする?本。 なので、Bowieの音楽やビジュアルなどの派手な部分は一切なし。特に前半は、読んでもなかなか頭に入って来なくて苦労した。キリスト教に関する記述も、日本人には難しい。 でも後半からは、リアリティをおびてくる。「The Next Day」「★」の書かれた章は面白かった。特に自分が感じた、彼の死に対する何とも言えない感情について、なんか納得できた。 「死が芸術作品となり、アーティストの美学と完全に一致した声明となる」そんな人、彼だけだろう。
0255文字
タイコウチ
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イギリス人の哲学者(現在は米国在住)による、歌詞の分析を中心にしたボウイ論。とりあげられる歌詞は断片的で、主に80年頃までと90年代以降の作品(105曲)に限定されている。自分語りは控えめながら、熱心なファンであることが伝わってくる真摯で誠実な文章。Heroesの一節「We are nothing and nothing can help us.」を「わたしたちは無(ナシング)であり、無(ナシング)がわたしたちを救える〔何ものもわたしたちを救えない〕のである」と訳す訳者田中純さんの力技もなかなかに刺激的。
0255文字
くさてる
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ファンとしての自分語りでもなく、冷静な評伝でもなく、ただ自分の人生に現れては遠ざかり、そしてずっと共にあった自分と「デヴィッド・ボウイ」という存在について、きわめて冷静に(しかしその知的な文章から涙や血がしたたり落ちているような筆致で)分析し、語った内容。ボウイとは何か?という問いかけをずっと読んでいるような気がしました。評伝やファンとしての愛などを期待すると肩透かしかもしれませんが、面白い内容でした。
0255文字
井月 奎(いづき けい)
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感傷ではなく悲しみを、過分ではない嘆称を、そして中傷に陥らない批評でデヴィッド・ボウイの曲の理解を促して、新しい視点による解釈もくれます。本は字で表現をします。それを著者は踏まえたのでしょう。歌詞についての考察をのみ行っています。それは大胆なことであると同時に素晴らしい決断です。なぜと言えばメロディの解釈を鑑賞者に残してあり、それは鑑賞者なりのデヴィッド・ボウイを生み出すことになるのです。素晴らしい本です。デヴィッド・ボウイの数々の傑作アルバムに(すこしだけ劣りますけれども)似た香りを持つ芸術作品です。
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