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ミトラの密儀 (ちくま学芸文庫)

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ピンガペンギン
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キリスト教がローマ帝国で公認されるまで、ヨーロッパで広く信仰されていたペルシャ由来の密儀宗教であるミトラ教(紀元前3世紀からある)に迫る。1899年初版と古いが古典的名著とのこと。数十点の彫刻などの写真が掲載されていて、ロンドンやアルプスの山深い土地など各地で信仰されていたとわかる。2世紀は様々なキリスト教会、グノーシス派などもあった。グノーシスは、その後公認された教義よりもミトラ教に似ているのでは。P172カトリックの典礼がミトラ教からヒントを得ているとの説。クリスマスはミトラ教で太陽の誕生日である。→
ピンガペンギン

→このことはよく本に出ている。ミトラ教にもカトリックと同様に堅信礼があり「悪霊と戦う力」を得る儀式なのだという(P169)しかし多神教にたいして尊重して排除しなかったミトラ教に対して、キリスト教は原則として容赦なかった(P175)。「自然崇拝と縁を切ったキリスト教の教義は不純物のごたまぜを免れた」との文を読むと、自然崇拝が生きている日本に住む一人としては複雑な気持ちを持つ。まあ発表が19世紀末だからなあ。

03/08 16:06
0255文字
ゆめじ
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ミトラとはインド・イランの時代まで遡る古い神格である。 ミトラの来歴とミトラ教の勃発から終焉までまとめている。 オリエント由来ながら、ローマ皇帝にも庇護された宗教なのだそうだ。 勝利の神、敗れざる神としての性質からか軍人に指示され、ローマの外人部隊を通じて広い地域へ広まった。その広さたるやロンドンからも遺物が出土されるほど。 変遷 古代インド・イランで信仰。アーディティヤ神群の一柱。 セム系の占星術の影響を受ける。 ギリシャの影響を受け、ギリシャ的な姿を獲得する。 ローマで信仰されるもキリスト教に敗北。
0255文字
ホームズ
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ネタバレオリエントやローマの歴史を読んでいたりすると出てくるミトラ教ですが名前は聞いたことはあるけどなんだかよく分からず興味を持っていたので買ってしまった。内容はちょっと難しいと言うか読みにくいと言うか…ちょっと苦戦した。ミトラ教の広がりが軍隊によってもたらされたと言うのは面白いな~と思ったし皇帝や他の宗教との繋がりも面白い。もう少し分かりやすい本から始めた方が良かったかな~。
0255文字
DELEUZE
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「古代ローマ史の多種多様な研究領域の中で、ミトラス教についてだけは、ただ一人の学者によってその業績が独占されていた(古代宗教学者ロジャー・ベックの回顧録)」。その「ただ一人の学者」とは、もちろん本書の著者F.キュモンのことだ。斯様なまでに当時のキュモンの世評と影響力は絶大であり、あたかも彼は「太古の眠りからミトラス神を目覚めさせた大司祭」「ミトラス教中興の祖」の如く持て囃されたという。今ではほぼ失われたかつての栄光(ミトラス神にとっても、キュモンにとっても)を偲ばせる、仄暗い輝きを放つ古典的名著である。
DELEUZE

[補記] 現在の学界ではキュモンの「ミトラスのペルシア起源以来の連続性」説は影を潜め、ミトラス教のオリエント的性格を過小評価する「ローマ発祥の占星術的秘教」説が有力視されている。しかしミトラス教教義の占星術的解釈はD.ユランジーらに代表されるようなオカルト的傾向を持つものもあり、占星術的シンボルの見解も各学者により相違し、議論は些末な袋小路に陥って一向に出口が見えない泥沼状況だ。そもそもミトラス教成立に際し東方からの影響が皆無であったとの極論は首を傾げざるを得ず、いつかキュモン復権の時が来るかも知れない。

01/07 23:47
0255文字
evifrei
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ペルシア由来の宗教であるミトラ教の、ローマ世界への伝播について。ミトラは地獄の勢力たる悪魔を常に監視し、それらと戦う不敗の太陽神である。ミトラは常に目覚めており欺くことの出来ない闘いの神とされており、その性質からペルシアという異郷の神であり犠牲獣を供物に厳格な入信儀式を要した密儀であるにも関わらず、伝播直後から奴隷や奴隷出身者・兵士を中心に地中海世界でも深く信仰された様だ。やがてこうした下層階級に留まらず、ローマ皇帝にも信仰をあらわす者が出現するに至るが、どのような宗教も兵士から始まるという点が興味深い。
0255文字
本人
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オリエントの古代神は魅力的ですので、ルンルン気分で読み始めましたが、ガッカリ読書でした。独特の文体で 、なに?ポエムなの???本文と注、図への行ったり来たりの煩瑣。読み進めるうちにストレスフル。貧乏人なので、不味いものでも完食しました。読んだら頭が悪くなるようなトンデモ本以外は、苦行の如く読み終えます。原著は100年以上も前で、最新の学説への妥当性に疑問符がつきます。よく中身を吟味したうえで、購入することをお勧めします。迷著。
0255文字
やんも
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ミトラと密儀の言葉に惹かれた読みはじめたが、いやぁ、古代ローマについちゃ、この間古代ローマの観光案内を読んだぐらいなので、まったく知識に乏しい。それでも、日出るオリエント発祥の神が、ローマが版図を広げる連れて欧州各地に信者を増やし、ついに皇帝までもが信者になるに至った、ダイナミックな歴史の流れは面白い。それがローマの属州出身の兵士や奴隷、商人から信仰が始まったというのも興味深い。しかし皇帝他、権力と結びついたために、彼らの権威が凋落したことで信徒を減らし、キリスト教に歴史の影に追いやられてしまうのだが。
やんも

ともあれ、学術書でなにもかも理解するのは困難だが、読めばそこから掬い取れる知識や興味惹かれる物事がある。臆せず読むがもよいと思うのだが、どうだろう?

11/12 20:35
0255文字
アル
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原著がある程度知識のある読者を想定しているため、特に序盤は理解しづらい所があったが、一度通読してから改めて序盤に戻れば問題なさそう。 若干キリスト教的偏見を感じなくもないが、百年以上前、19世紀から20世紀への変わり目に書かれたことを思えばかなり中立的だろう。 第四~五章では具体的な聖典や教義がほとんど残されていないミトラ信仰について、発掘資料を中心にできるだけ再現を試みている。 資料の少なさからあえて詳述を避けている箇所があるのは研究者としての真摯さの現れか。
0255文字
nuno
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分厚い本のダイジェスト版のような内容で、多分一般人はこっちを読むと良いです。密儀の詳細よりは、どうやってミトラ教が古代ローマ世界で広まったかを説明しています。ミトラ教が、キリスト教と相互補完的になっている指摘は面白いです。厳しいキリスト教より、緩めのミトラ教が衰退したのは皮肉。
0255文字
Amethysteria
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ミトラス教について、書籍でガッツリと触れていてかつ入手しやすく持ち歩きやすく読みやすいとなると本書になろうか。正直キュモンの誇大妄想と言っても差し支えない言及も多いし、歴史の影に消えたオルタナ世界宗教というドラマティックさが本書の全てだ。しかし、それが<物語>であったとしても、読むだけの価値はあるだろう。特に、グノーシス主義を学ぶ者にとっては。
0255文字
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