形式:文庫
出版社:筑摩書房
形式:Kindle版
→このことはよく本に出ている。ミトラ教にもカトリックと同様に堅信礼があり「悪霊と戦う力」を得る儀式なのだという(P169)しかし多神教にたいして尊重して排除しなかったミトラ教に対して、キリスト教は原則として容赦なかった(P175)。「自然崇拝と縁を切ったキリスト教の教義は不純物のごたまぜを免れた」との文を読むと、自然崇拝が生きている日本に住む一人としては複雑な気持ちを持つ。まあ発表が19世紀末だからなあ。
[補記] 現在の学界ではキュモンの「ミトラスのペルシア起源以来の連続性」説は影を潜め、ミトラス教のオリエント的性格を過小評価する「ローマ発祥の占星術的秘教」説が有力視されている。しかしミトラス教教義の占星術的解釈はD.ユランジーらに代表されるようなオカルト的傾向を持つものもあり、占星術的シンボルの見解も各学者により相違し、議論は些末な袋小路に陥って一向に出口が見えない泥沼状況だ。そもそもミトラス教成立に際し東方からの影響が皆無であったとの極論は首を傾げざるを得ず、いつかキュモン復権の時が来るかも知れない。
ともあれ、学術書でなにもかも理解するのは困難だが、読めばそこから掬い取れる知識や興味惹かれる物事がある。臆せず読むがもよいと思うのだが、どうだろう?
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→このことはよく本に出ている。ミトラ教にもカトリックと同様に堅信礼があり「悪霊と戦う力」を得る儀式なのだという(P169)しかし多神教にたいして尊重して排除しなかったミトラ教に対して、キリスト教は原則として容赦なかった(P175)。「自然崇拝と縁を切ったキリスト教の教義は不純物のごたまぜを免れた」との文を読むと、自然崇拝が生きている日本に住む一人としては複雑な気持ちを持つ。まあ発表が19世紀末だからなあ。