読書メーター KADOKAWA Group

「連動」する世界史――19世紀世界の中の日本 (シリーズ 日本の中の世界史)

感想・レビュー
15

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
takao
新着
ふむ
0255文字
しゅー
新着
★★★「あたかも『ゴム風船』のように、世界のどこかの部分で緊張が高まれば、他の部分で緊張が緩和され、そしてどこかで緊張が緩めば、必ず他の部分で緊張が高まるといった『関係』が展開されている」「世界の諸地域は相互に『関係』する中で、さまざまな『相互作用』を及ぼしあい、その時々の世界史の支配的な『傾向』が拡がっていき、それがその地域なりに『土着化』されて、諸地域の歴史が『連動』する」何よりも幕末から明治にかけての日本人が、自国だけの視点にとどまらず、世界情勢を相互の「関係」としてしっかり捉えていたことに驚いた。
0255文字
skunk_c
新着
元来はバルカン半島史が専門の著者(ユーゴ危機の時に著書を随分読んだ)が、日本を軸に国際関係史ともいうべき近代史を展開。加藤祐三先生など多くの既読の書が引用文献にあるが、それらを使って見事に再構築している。世界の歴史を様々なトレンドが時期によって地域を移し替えながら、やがて「土着化」していくという見方はとても面白い。また、地域における独立や発展を目指す主体が、協力せず足を引っ張り合う様子を「バルカン化」と称するのも著者らしい。来年度から高校で「歴史総合」が必修化するが、最良の参考文献のひとつと思う。
曲月斎

ですね。俯瞰できる1冊。

04/24 22:20
0255文字
Satsuki
新着
19世紀から20世紀初頭まで、日本を含む世界各国・地域の連動を描く。通史の概略は予備知識としてあったが、視点が新鮮だった。欧州内部が緊張したり他の地域に目が向いたりする時は東アジアへの干渉が弱まる。又はその逆も。幕末日本の情勢認識や外交の能力は高かった。明治維新からの変革は民主など世界の傾向の「土着化」。世界史から見る日清・日露戦争や日英同盟の意義。明治期日本は、露の動きを測る上でバルカン情勢に関心。日露戦争後には、帝国主義の時代の「傾向」を実践。中華秩序動揺以後の東アジアを「バルカン化」と呼ぶのも特徴。
0255文字
yamatoshiuruhashi
新着
読友さんのレビューで目をつけた本、やっと積読山から掘削した。風船を膨らませ、ある一点を押すと他の部分が伸びる。ある歴史を見る時に「世界史」として地球規模で見れば、国際的な緊張が集まっている時には、別の地域の「歴史」に緊張緩和が見られる。そのような相互関係で「歴史」は見られるべきである。地域の歴史、国の歴史はそのエリア単独で語られるものではなく、世界的な流れの産物であるというのは、既に私が学生であった時分には既に言われていることであったが、この風船の例えは言い得て妙である。
yamatoshiuruhashi

この論旨に従い、日本の幕末期あたりから書き起こされるわけだが、近現代史における相互関係が非常に明確になり面白い。地球規模で俯瞰する超越的存在になったようだ。しかし、岩波ですね。

10/16 19:36
0255文字
coolflat
新着
列強による侵略が世界中(主にアジア、アフリカ)にどう連鎖し、どう影響を及ぼしたのか、1840年から1910年までの帝国主義時代を解説。東で緊張が高まれば、西で緊張が緩和され、東で緊張が緩めば、西で緊張が高まるといった国際関係の展開が分かる。14頁。オスマン帝国は1838年にはバルタ・リマン条約を結ばされた。これにより帝国は、それまで非ムスリムに与えてきた身体・財産の安全など通商上の特権を確認し、関税自主権の放棄、治外法権、イギリス企業の自由な活動を認めた。これはその後各地に広がる不平等条約の始まりであった
coolflat

191頁。義和団戦争は、その後の世界史に重要な意味を持つ「日英同盟」を生み出すことになった。それは日本の韓国への対応に関連していた。ロシアが満州を支配した情勢下において、日本では韓国問題が台頭した。伊藤、山県らはロシアと協調する「満韓交換」論を唱え、満州をロシアが、韓国を日本が支配する政策を目指したが、桂、小村らは、「満韓不可分」を唱え、韓国を確保した上で満州についてロシアと争う政策を掲げ、日英の同盟を目指した。桂や小村は、ロシアは満州の占領ではとどまらず、朝鮮までも進んでくると考えた。

06/25 22:36
coolflat

そもそも、イギリスは、すでに日清戦争後、東アジアでのパートナーとして、日本に注目し始めていた。イギリスにとっては独露への対抗のために、日本にとっては対露のために、この協力関係は次第に重視されていった。そこに義和団事件が起き、この出兵で示された日本の軍事力は、アフガニスタンでのロシアとの対立のほか、折から南アフリカ戦争に専念していたイギリスの注目することになった。とくにイギリス海軍は日英の同盟を強く求めた。

06/25 22:37
8件のコメントを全て見る
0255文字
イワトビペンギン
新着
19世紀の「世界史」を、俯瞰的連関的に捉えた視点が参考になりました。英露の「グレートゲーム」とも呼ばれる「対立点の移動」が、なぜこのように移り変わっていったのか?を上手く説明していると思います。箕作麟祥、坂本健一、高桑駒吉らの”世界史””万国史”が、どのように描かれていたのかの興味も高まりました。
0255文字
Masa
新着
19世紀の世界関係史、西欧列強国の歴史だけでなく、東アジアやアフリカ、中近東の歴史も足早に駆け抜けてゆく。エピローグにある「19世紀の世界史の傾向→軍制、学制、国家と国境の概念、外交と条約の概念、選挙と議会制を含む憲法の理念、ネイションとナショナリズム、植民地分割の論理、植民地支配の方式など」について東アジアを中心にもう少し詳しく知りたかった。
0255文字
かんがく
新着
これからの歴史総合に向けてとてもタメになった。1840年のアヘン戦争から、1914年のWW1まで。日本史の教科書では見えてこない他地域との「連動」がよくわかる。ゴム風船のように、どこかの地域が緊張すれば、別の地域が緩和するという動きを繰り返す世界。東アジア、西アジア、アフリカの三地域が英仏独露米の勢力均衡の中で影響を受けていく。自分の中での近代史年表がかなり形を整えてきた。
0255文字
サアベドラ
新着
19世紀の国際情勢の推移を、従来の西欧視点や日本視点でない、より俯瞰的な視点から整理し、記述した略史。2018年刊。著者の専門は近代東欧史だが、近年は西洋史や東洋史などの枠組みを超えた新しい世界史記述を模索している。近代史は情報量が多いので、なかなか引いた目線で世界を捉えるのは難しいのだが、本書を読むと諸要素が複雑に連動し、絡まりあいながら近代が推移していったことが理解できる。「傾向」「土着化」「バルカン化」など独特な用語を何度も使っていて少々くどいと感じたが、気付かされることも多く、とてもためになった。
0255文字
チャゲシン
新着
長らく教科書等では維新側の歴史観で、無能な幕府というイメージを植え付けられてきたが、さにあらず。正確な情報収集の上でのやむを得ないギリギリの線を選択した幕末維新期の日本の情況を世界史から説明する試み。やがて日清日露と続いていく流れも、あっちが緊張すれば、こっちが緩む列強間の関係から来るもので、日本の近代化や国防だけではない、大きな流れの中の必然的な結果なのか。列強の緊張がよそにある間に奇跡的な近代化を遂げ、帝国主義なるスタンダードを土着させ、かろうじて植民地化を免れ列強に伍した日本の近代史の視点です
0255文字
曲月斎
新着
本邦では「西洋史・東洋史・日本史」と分割してみるのが普通ながら、本書は全て纏めてみたらという視点。2次元世界の3D化、というか、地球物理学のプレート・テクトニクス理論というか。世界全体をゴム風船と見れば、緊張した所があれば、他方は弛緩する。欧州内の勢力の変位と連環して「グレートゲーム」の舞台はバルカン半島、中東、アフリカ、南アジア、そして日本を含む東アジアと次々移動する。改めて、日本の開国、明治維新、条約改正、日清・日露戦争を俯瞰すると、立体感が生まれる。更に後のWWI、WWⅡへの道筋も。新鮮な1冊です。
曲月斎

ただ、読み通すのに難渋しました。ロシアの太平洋進出拠点、カムチャッカ半島のペトロパヴロフスク港なんて知らんかった……。

02/18 01:48
yamatoshiuruhashi

レビュー拝読後すぐに買ったものをやっと読みました。

10/16 19:27
4件のコメントを全て見る
0255文字
さとうしん
新着
開国から日清・日露戦争までの日本史を世界史の中に位置づける試み。1848年革命やクリミア戦争が東アジアに緊張緩和をもたらしたと見るなど、世界の他の地域での戦争や動乱が開国・維新の動きとどう結びついていたかなど、世界各地の動きと日本の動きを有機的に結びつけることに成功している。特に「東アジアのバルカン化」やボスニア・ヘルツェゴヴィナ併合と韓国併合との連動のように、東アジアとバルカンとを対比する視点が独特。
0255文字
田中峰和
新着
不平等条約を強いられたという従来の通説は、明治政府が作り上げたもの。欧米列強を毛嫌いし恐れた孝明天皇の無知無能ぶりを隠蔽するため、幕府を貶めた苦しい言い訳でしかない。近年見直しが進んでいる説では、幕府の外交能力は高く、平和交渉に成功し、日米和親条約は他のアジア諸国のように戦争を伴わずに締結されたユニークなものであった。1850年代、クリミア戦争後の列強のアジア進出はすさまじく、アロー号事件、セポイの反乱、ベトナム大抵抗などアジアの反乱が勃発した。英仏が動けぬ間に米国の説得に耳を貸した幕府の判断力は正しい。
0255文字
MUNEKAZ
新着
19世紀の日本を世界史との「連動」から読み解いた一冊。バルカンやアフリカ、西南アジアなど西欧列強の対立をダイレクトに受けた地域に対し、東アジアはその影響が比較的軽微であったとし、その中で世界史の「傾向」を掴み、「土着化」に成功した日本が新たな列強として周辺国に影響を及ぼすまでを描く。東欧史家の著者らしく、日清韓の対立関係を「バルカン化」と例えたり、「韓国併合」と「ボスニア・ヘルツェゴビナ併合」の共通性を指摘しているのは面白い。
0255文字
全15件中 1-15 件を表示
「連動」する世界史――19世紀世界の中の日本 (シリーズ 日本の中の世界史)評価64感想・レビュー15