形式:単行本
出版社:KADOKAWA
形式:Kindle版
20年余り前、私も当時80歳代後半の痩せさらぼえた女性に問わず語りで聞いた記憶あります。彼女以上の暗い目をした方、会ったことがない。終戦となり死ぬ決意で北鮮からイムジン河(使ってはいけない地名ですが)を超えてきたと…
キムチさん、ある日いきなりそれまでの全てが変わって生きる為に逃げてきた方たち。言葉に出せるそれ以上の以上の地獄を渡ってきたのですよね。語れる方々がどんどん減って、戦争の本質が分からなくなってきているのだと思わされます。
初期の自衛命令を実行し続けたのは英断といえる。しかしその後、即時撤退までの時間稼ぎなど具体的指令を与えず、命令無視という体で責任を擦り付け政府は、ソ連の侵攻問題を有耶無耶にした。その結果は今も遺体回収もできず、被害の全容も計れないままソ連侵攻の歴史が風化していく現実だ。 日露関係は悪化の一途を辿るが、この歴史を保存していかなければならない。敵の攻撃への悲惨さだけでなく、なぜ攻撃してきたのか知れば、今すべき対処法も予測できる。畏れるのではなく、知っていかねば。戦争は敵も味方も人間なのだから。(2/2)
直後で死者およそ5000~6000人。これが、なぜ無視に近い形でそんなに知られていないのか。同じく映画『日本のいちばん長い日』で言及される「日本には数千万の予備兵力がある。これら一般人を動員して本土決戦に臨めば云々」という様な恐ろしい発言があるが、樺太戦がまさにその「人民を動員した本土決戦」が実際に行われた場だった。その武器は鋤、鎌、台所包丁、竹槍、自動車の部品。今から考えると、自分の命がどうなっても上部軍人が「降伏すべし」と発令してくれていたら、と思うことしきりだが、かれらの身体に浸透していたものは、
なんだったのだろう。どれくらい大きいものがその両肩にのしかかっていたのだろう。それが、わからない。どんどん上層に登っていっても結局、それが、誰が発していた言葉だったのか、それがわからない。そうしてかれらは大きなものと大きな状況を見ることによって、自分を当事者責任から遠ざける。一方、下の下の庶民は、赤子を突き落とす母親、自決する教師、青酸カリを飲んで集団自決するその電話、隣で倒れる同僚兵士、の記憶に苛まれる。保阪正康が述べているように、「いちばん責任を感じるのはいちばん下の人」という状況がいつまでも続く。
pp.53-54「自衛戦闘では,積極的作戦行動は取らない」「戦闘中」に敵に「占領」された地域では土地,財産は失われるが,「停戦後」に敵が「進駐」した地域では生命,財産が保障されるというのだ.つまり,なるべく北のエリアで停戦することによって,停戦ラインより南にある日本人の生命,財産は守ることができることになる.これでようやく戦闘を継続する目的を見出せたと考えた鈴木.
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20年余り前、私も当時80歳代後半の痩せさらぼえた女性に問わず語りで聞いた記憶あります。彼女以上の暗い目をした方、会ったことがない。終戦となり死ぬ決意で北鮮からイムジン河(使ってはいけない地名ですが)を超えてきたと…
キムチさん、ある日いきなりそれまでの全てが変わって生きる為に逃げてきた方たち。言葉に出せるそれ以上の以上の地獄を渡ってきたのですよね。語れる方々がどんどん減って、戦争の本質が分からなくなってきているのだと思わされます。