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榲桲に目鼻のつく話

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まさ
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他の鏡花幻想作品とは異なる淫靡さを纏うが、少年が大人の世界を感じ取っていく時期を描いているよう。作品の中で少年には甘酸っぱく爽やかな存在に映るのに大人からは艶めかしい存在となる榲桲に重ねられる音羽が不憫。しかしそれも往時の金沢で鏡花の感じ取った様子なのだろう。そんな世界を中川学さんの画が軽やかに挿し込まれるからスッと受け容れてしまう。榲桲(マルメロ)はカリンに似た果樹。
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sin
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少年がつけた噛み跡が目と口を導いて大人たちを蠱惑する。榲桲のふっくらとうりざねの平安朝の姫のたおやかな美貌から男たちの欲望が魑魅魍魎の様に描き出されて時代を遡って現出する様だ。中尉は何故にこの話を語るのだろうか?純白ではない白百合−きめ細かにふっくりとして甘く薫った娘…その娘の描写はどこか遠くを見据える様で、ぽっかりあいた目で視線を投げかけるだけで手も足も出ない、なすが儘の娘の境遇を想われて哀れだ。マルメロ(榲桲、木瓜、学名:Cydonia oblonga)バラ目バラ科マルメロ属に分類される落葉高木の1種
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ねちゃぴん
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まるめろはただ実がなり熟れているだけなのに、そこに意味を見出し歪な楽しみをする大人たち。乙羽ちゃんと重なって不憫。イラストは本当に本当に美しい。こんなに明るい色合いできれいなのに、どこか不気味。
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文
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泉鏡花記念館で購入。泉鏡花作品の中ではマイナーだと思いますが、上品な妖艶さはさすが鏡花。絵も綺麗で引き込まれます。
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天の川
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少年時代の記憶は妖しくて美しくて哀しい。裏木戸の懸札には「今日は此の家に居り侍り、御方様たちおなぐさみ。」向いの屋敷の庭にある榲桲の樹の根方から出た女役者の死体。懸札の奥で男達の慰みものになっている自分と比べ、操を立てて殺された女役者を羨ましいと訴える少女の切なさ。少年が噛んで目鼻をつけた榲桲を少女に見立てて舐めまわす男達のおぞましさ。陰惨な話ではあるけれど、中川さんの絵がつくと昇華されて感じるのは、その絵が様式美を感じさせるとともに御本人がご住職でらっしゃるからか…。⇒
宵待草

天の川さん おはようございます レビューを拝読しまして、此の本を読みたいなぁ~と思いました💫 過日『だいぶつさまのうんどうかい』『だいぶつさまおまつりですよ』の絵本を読んで、僧侶にしてイラストレーターの中川学さんの絵が素晴らしく、とても魅せられました 発刊書籍を調べて『化鳥』『朱日記』などを確認して居た処でした 何時も有難うございます🙋 今日も穏やかな、良きひと日で在ります様に!✨ 宵待草

05/24 06:37
天の川

宵待草さん ありがとうございます♪先月、金沢の泉鏡花記念館に行った時に鏑木清方の挿絵などと共に、現代イラストレーター4名の挿絵が企画展で展示されていました。金井田英津子さんの絵が目当てだったのですが、中川学さんの作品もとても良くて♪陰惨な話ですが、鮮やかな色彩の単純化された美しい絵が救いをもたらしてくれるようでした。よろしければ是非!私は『だいぶつさまのうんどうかい』に興味津々です(^^)♪

05/24 09:05
3件のコメントを全て見る
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timeturner
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ネタバレ貧しい娘が家族のために売春するという陰惨な話を、こんなふうに怪しく美しい話に仕立ててしまうのってどうなんだろうと思いつつも、不思議と厭な後味はない。中川学さんの絵がこの世のものとは思えないほど美しいせいだろうか。巻末の書も装幀も美しい。
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てつこ
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ネタバレ絵が美しくて眺めているだけで気持ちいい。植物の絵が好き。特に画面いっぱいのまるめろと、藪の中に主がいるページが気に入った。現代にふさわしい泉鏡花の挿絵だと思う。物語の内容は、女性が人として扱われない悲しさが描かれていて、やるせない気分になる。月待という行事は金沢に実際に昔あったと解説で知った。
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ひつじ。
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泉鏡花記念館さんで購入した後、パラパラと見たものの大切に仕舞い込んで読まずにいた化鳥と合わせて。泉鏡花の全集、いつか復刊にならないかなあ〜
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クレナイノ
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鏡花の絵本、紅・白・黄色 どの本読んでも どきどきするんやけど(色んな意味でな)。この話は、子壷辺りが きゆうっ となるね。 "泉鏡花×中川学「榲桲に目鼻のつく話」出版記念PV" を YouTube で♪ https://youtu.be/fyjYRXLj3Ms
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nightowl
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旧仮名・旧漢字なのに目に優しく読み易い!大人たちが粘りつくように榲桲を舐めている部分が不気味。エロティックでねちねちした表現になりそうな所をカラフルで色鮮やかに仕上げているので、気持ち悪く感じるより画家の多才さに惚れ惚れする。限定発売された「龍潭譚」も是非とも欲しくなる。
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あさじふ
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吸いつくような外果皮を透して内側から香りを発散する榲桲を思い浮かべてみる。大人たちはその果実を舐めて少女の味を反芻する。その様子は想像ではなく反芻をしているのだと確信するほど生々しい。何かに気付き始めながらも幼い乾三から見た少女は百合の花のように穢れないままだ。女性の生きる強さというものは、どんなものでも穢すことが出来ない。けれど、その強さ故に自分の心の孤独や虚しさにも耐えてしまえるのだろうと思った。
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yumiha
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表紙絵も美しいけれども、どのページを開いても美しい。まず挿し絵だけを堪能する。「今日はこの家に居り侍りお方様たちおなぐさみ」の表札が不穏。ストーリーは泉鏡花らしく耽美的官能的。でも、美しい女性をいたぶることも、男性の物欲しげな唾も、全く共感できない。
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井月 奎(いづき けい)
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鏡花の物語はひやりと冷えた石清水のように心に沁み、そのなかのわずかな余韻によって彼の作品は際立ち、そして形成すのです。このほの暗くて少し湿り気のある物語の余韻は乙女の血の味。人の情にからめとられた乙女の心は切り刻まれて血を滴らせています。鏡花はその娘の後生を弔うために鮮烈な清水にその血を混ぜて清らかな上澄みにて世に問います。「春を売る娘のこういう心は汚れていますでしょうか?」鏡花はそう私たちに問うています。女性の、いえ無垢な者の心への挽歌は目眩を覚えさせる美しさによって彩り、香り高くあるのです。
井月 奎(いづき けい)

検索しました。確かに青空文庫にありませんです。なにか勘違いしていたようです。申し訳もない。図書館へは購入依頼をしてもらいたいな、と。ま、他の自治体からの越境借りもありますでしょうから、窓口でリクエストしてみてはいかがでしょう?

06/08 22:40
すみれ

ありがとうございます。購入依頼!購入依頼!頑張ってみます。\(^-^)/

06/08 22:47
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幸坂かゆり
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ネタバレ榲桲とはどんな果実なのだろう。可愛らしくその果実を抱く少女の表紙に騙されてはいけない、と思えるほど残酷で官能的な怪談だった。少年が憧れる「音羽ちゃん」は終始可憐で美しく描かれるが最後の一枚がぞっとする。若い女性の果実のように瑞々しい美は強烈に人を惹きつける。しかしそれは善悪を選ばない。熟れた果実は手を触れるとそこから痛み出す。芳醇な香りの中、不躾な視線の腐臭も混じる。哀しくも魅了されてしまう。敢えて使われた旧仮名旧漢字がお経のようで息苦しく心地良かった。これからも傷をつけずに読まなければ…。
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どんぐり@京都の何処かで
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和モダン、和ポップですね。見てるだけで楽しく、懐かしく。京都は岡崎のとある本屋さんで手に取り、とても大切な今から30年前の大学生であった頃の時間が一気によみがえって。 ゆっくり大切に読ませていただきます、中川先輩。
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夢うつゝ
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榲桲という字体と響きとの愛らしさを、真っ黄色な本それ自体が体現しているような素敵な装丁。中川学さんの和モダンなイラストは、泉鏡花の映像美溢れる文章に新しい味を付けていると思う。それは90%の美味しさとともに10%の邪道感を孕む。単純に場面を想像する手助けにもなるので、読解力のなさによるミスリードが防げる。しかしながら、文章より先に絵がくるのは好ましくない。 内容はえぐい。人間の穢らわしい本性のチラ見せが凄い。乾三少年の思い出話として背徳感を演出し、かつドリーミーな靄がかかっているので読んでお面白い。
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吉田あや
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「今日は此の家に居り侍り 御方様たち、おなぐさみ。」泉鏡花による大正9年の短篇。旧仮名・旧漢字で綴られる物語は細部まで鏡花の世界を大切に紡ぎ、読み手に現実を思い出させることなく理性の枠を超えて魅了していく。中川さんの描く明るい闇に浮かぶ極彩色の景色は万華鏡のように視覚を惑わし、白百合の少女は榲桲の果肉の如き甘く艶やかで瑞々しい色香を放つ。禁断の果実を目の前にした少年の未知なる世界への慄きと、性の目覚めを暗示するような、滴る果実の芳香が織りなす世界に酔いしれる。(続↓)
吉田あや

中川さんや、ウェス・アンダーソンの生み出すポップ感のある和の世界が大好きなので、その空間に包まれ、泉鏡花の複雑怪奇な世界を改めて自分なりに解釈を広げていけることに心が弾む。古き時代独特の湿度や情緒、現代性と作家性が混じった独創的で斬新な榲桲の庭は、エデンの園のような背徳感を孕む官能的な世界へと読者を誘い、心胆寒からしむる耽美な世界へと昇華していく。これからも中川さんのライフワークとして、鏡花の世界に新しい光を灯し続けてほしい。

04/08 15:58
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