形式:単行本
出版社:紀伊國屋書店
筆者のベジャンは、「人間を別格と見なして他の生き物と切り離す世界観を、ダーウィンが進化論で刷新した」その進化論を、(訳者である柴田 裕之氏の「あとがき」の言葉を借りれば)「さらに推し進め、生物を別格と見なして無生物と切り離す世界観を、すべてのかたちの進化を支配するという独創的なコンストラクタル法則で崩し、森羅万象を物理によって一つにまとめ上げた」のである。
筆者のベジャンにすれば基礎的で簡単なのだろう数式が随所にあり、文系人間ですらない吾輩には本書を理解しきれないもどかしさがあった。ちと(かなり)悔しい。
流量の多いところにモノが集まりより流れが速くなり、富も多くなって幸せ、という理屈のところを見たとき、仕事ができる社員のところに仕事が次々やってくる様を想像した(し本書でも仕事は忙しい奴に頼め、という引用が出てくる)が、それって本当に幸せ……? 自由市場を無法地帯と勘違いしてるところもある。
僕も好きな本のひとつになりました。物理学的な視点から入っているのが興味深かったです。前作は読んでいないのでそっちも読もうと思っています。
私読んだ本とはタイトルが違いました(私が読んだ方が前作?)。内容も違うのかなあ。調べてこちらも読んでみます。
コンストラクタル法則が何らかの「集団」の動きを予測するものとして、非常に有用な点は理解できる。しかし、その法則に抗うように動く事象や、「個」の多様性についての説明が希薄なだけでなく、何か「軽く」扱っている点が気になる。貧富の差に対する大衆の抗議が的外れな点は確かにあるにせよ、それについて「当たり前なんだよ」と突き放したような言動が複数見られた。本書が「自由」の重要性を説いているだけに、「自由」から遠ざかっている人々に対するこの言動は看過できなかった。
中日新聞の書評にあり
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