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花火・来訪者 他十一篇 (岩波文庫 緑 42-12)

感想・レビュー
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So Honda
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「来訪者」実際にあった盗作騒動、舞台となる土地のゲニウスロキ、そこにストーリーがいくつも入れ子になっていて虚実の境目が溶けていくような不思議な感覚
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水煮丸
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永井荷風の作品は描写が上手く会話のテンポも良いので読みやすい。街並みは実際には見たことなどないのに目に浮かぶようで、登場人物は生き生きと感じられる。『来訪者』は構成も面白い。しかし白井はとんでもない男だ。妻と3人の娘がいながら、日中は図書館に行くか昼寝。家賃が払えなくなり引っ越した先で未亡人と不貞行為とは。本筋とは関係ないが、今も続く学生野球の記述が印象に残った。「学校の経営者は一人でも多く生徒を吸集せんがために野球の勝負を催す」とのこと。。。
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amanon
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「夏すがた」まで読み進めるに至ってようやく既読本であると認識できた(笑)。それはそうと、解説にもある通り、明治初期から戦後十数年を生きて、その時代の変遷を目にしながら、常に世間と一定の距離を置きながらも、その一方で俗世間と意識的に戯れているかのような作品を紡いできた著者の独特のスタンスに驚かされる。一見、たわいもないように思える男女同士のやり取りの奥底に潜む感情の機微や悲哀、人間のどうしようもない愚かさ。怒涛のような歴史の流れに翻弄されるより、そのような人間の営みを描くことを自らの使命としたということか。
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大臣ぐサン
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永井荷風の短篇集。『花火』『曇天』『怠倦』『銀座界隈』『花より雨に』『蟲干』『初硯』『夏すがた』『にくまれぐち』『あぢさゐ』『女中のはなし』『来訪者』『夢』所収。『にくまれぐち』の森鴎外に対する新潮社の悪口はひどいなぁ。『来訪者』は艶話だとおもって読んでいたら、怪談落ちで面食らった。小説の中のアイテムに岩波文庫が登場するところが岩波好きとしてはたまらない。
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ホウ
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ネタバレ短編集だと思い手に取ったら随筆から始まったので少し驚いた。永井荷風の随筆に触れるのはこれが初めて。小説だとテンポのいい会話が印象的で気づかなかったけど、文章自体は読み手にも結構知識を要求してくるなと思った。それでも読みづらくないのは作者の力量だろう。綺麗な女性をメインに書くイメージだったので、『来訪者』は新鮮な気持ちで読んだ。1番好きなのは『女中のはなし』。「むかしはむかし、今は今ですもの、ねえ、先生。」さばけた性格の女性書くのがお上手だよなぁ…。
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芭茶
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94
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miunac
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この岩波文庫版にも以前読んだ新潮文庫版にも全く記載されていないが、「来訪者」は、「四畳半襖の下張」流出の経緯を書いたものだという。「花火」は岩波文庫『日本近代文学評論選』にも収録されている。
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マッピー
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決して私小説ではないのに、随筆だと思って読んでいるといつの間にか小説の世界に迷い込んでしまう。きらびやかではない、いぶし銀の華やかさ。「女中のはなし」「来訪者」など、読んでいてぞくぞくする。新潮社と森鴎外の確執は知らなかった。森鴎外の死に際して新潮社の出した記事「鷗外博士は翻訳こそしたが彼の仕事が文壇にとってどれだけ意義あるものかは疑わしい。」これに激怒して荷風は新潮社からの作品の出版を断ったという。ちなみに現在は森鴎外の本も永井荷風の本も新潮社から出版されている。荷風からしたら不本意かもしれないけれど。
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hirayama46
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随筆的な文章と小説を併録。大正から昭和初期に書かれたものですが、その時代の文章としてはだいぶ読みやすいですね。わりに明治文学とかは読むのに時間がかかるのですが、本書はさらりと読めました。エッセイにおける諦念と痛罵、小説における幻想性・遊び人なところ(芸者好きだったのだな……)が良かったですね。
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Kotaro Nagai
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本日読了。明治43年~昭和19年の作品13編を収録。「花火」(大正8年)、「銀座界隈」(明治44年)など7編は随筆。当時の東京下町の描写がいい。「夏すがた」(大正4年)、「あぢさゐ」(昭和4年)は、ともに芸者に溺れ身を持ち崩す男の話。どちらも荷風しか書けない魅力がある。「来訪者」(昭和19年)は、中篇程度の分量の作品で、語り手の作家と出入りしていた白井、木場の二人の若者が関係する偽作事件を絡めて展開する。途中から調査報告を元に白井の不倫物語が描かれる。不倫相手の未亡人常子との心情細やかな描写が巧い。
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三柴ゆよし
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前半部に随筆、後半部に短篇小説を置いた構成。収録作どれもよかった。「曇天」なんてこんな冬の上野の描写だけで泣けるようになるとは思わなかった。小説では表題作「来訪者」が白眉。自身の贋作と偽作者二人の経緯が語られるが、それがいつしか興信所の調査報告(を語り手が小説様に設えた文章)にすり替わる。そこでは偽作者のひとりと隣家の未亡人の密通をめぐる下世話な物語に焦点が移り、しかもその交情のディテールが先の贋作の内容とも呼応してゆく、きわめて技巧的な作品。これは上手い。荷風は古本屋で見かけたらとりあえず買っておこう。
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秋津
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「女中のはなし」のみ読了。初めて荷風を読んだ。面白かった。とても読みやすい。
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amanon
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男も男なら女も女。それぞれにこすっからく抜け目がない代わりに、どこか間が抜けている。そして何かにつけいけしゃあしゃあとしている…それでもやっぱり女性の方が大概において一枚上手か?荷風が描く男女の交情の様を見ていると、そんなことを思わされる。とりわけ「花火」のお千代がいい。とりわけ美人というわけでもないのに、肉感的で男好きがする。その手の女性が好きな男性にはたまらんだろうな…と(苦笑)。相手の不実を知りながらも、ついついズルズルと関係を続けてしまう…そういう男性のダメさ加減も妙に憎めなかったりする。
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屋根裏部屋のふくろう🦉
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13編の短編からなる。『来訪者』『夢』面白し。前半の短編ももちろん面白い。面白いというは荷風の味が出て入るという意味なり。どれがどれにというわけではないが、荷風の作品は、他の作品となんらか繋がっているような気がしてならない。同じような話がここにもと思うのは、もしかしたら荷風の中ではある作品の続編なのかもしれない。『夢』より、己を戒めるために引用文を。「年をとって色に溺れたら申刻下りでもうやまない。」。老人の恋は「返り咲きした冬の花の夕風を待たずに散るようなもの」
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KAZOO
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最近このような小説をじっくりと読むことが増えた気がします。さすがに年をとったということなのでしょう。ここには荷風の随筆あるいは小説といった範疇分類をするには不明な感じの作品があまた収められています。「花火」「来訪者」はどこかで織んだこともありますがやはり印象に残る作品です。
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すももんが
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若い頃読んだ時には、主人公をただのスケベ中年としか思えず、共感もできなかった。今読むとしみじみと面白く、また美しい文章にも癒される。
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Tenouji
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初めての永井荷風。言葉のリズムと描写が素晴らしい。しかし、この時代、戦争へと向かう、狂乱と閉塞感が漂う世の中だったのだろうか。心持と話す内容が少し変わった女性が良く出てくる。デカダンスとは時間局所的なロマン主義なのだろうが、どこか異形的なものを組み合わせて、そこに全面肯定はできないが、なんらかの希望のキッカケを求めてるような、でも失敗する物語。
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藤月はな(灯れ松明の火)
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「花火」は、時代の転機を象徴する出来事に自身の没落を重ね合わせる様に時代への哀惜を感ず。「来訪者」は贋作事件と爛れた男女関係、四谷怪談の因果が絡み合う一種のリドルストーリー。そして語り手は贋作事件に携わった白井の知人という、又聞きの怪談のような立ち位置なのが、不穏さを一層、醸し出す。今までの商売柄や断りきれない性格による多情な女と見栄っ張りな男というプロットが共通する「夏すがた」、「あじさゐ」も印象的。しかし、前者は女性の性惰の肯定、後者は多情な女に尽くす男の虚しさと結末が見事に反転しているのが面白いのだ
藤月はな(灯れ松明の火)

「にくまれぐち」はへいこら、頭を下げて原稿をもらっていた作家が亡くなった途端に悪口を書いたり、昔は貶したのに時代が変わると誉めそやして「全集、出しませんか?」と提案する某出版社への筋の通らなさへの批判が炸裂していて慄く。そして「女中のはなし」のままならないし、どうもがいてもしようもない人生への諦観ぶりは最近、読んだ『三人の逞しい女たち』を重ねてしまった。「蟲干」は本好きあるある過ぎて苦笑。

08/11 23:18
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HANA
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自分の読書人生、某翻訳者に多大な影響を受けているので「来訪者」目的で読み始める。荷風は何となく触れる機会がなかったのであるが、読み始めてすぐにそれを後悔することとなった。こう何というか人生の傍観者的な視線とか、ディレッタントな所とか爛熟とか退廃を好んで描写する所が何となく自分の気風にあうのである。冒頭の「花火」からそれはもう溢れていて一気に引き込まれる。あまり馴染めないと思った「夏すがた」や「あじさゐ」もしみじみとした滋味があるし。あ、もちろん本書の中で唯一得体の知れなさに満ちている「来訪者」も満足。
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地下道入口
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随筆においては世間のあらゆる側面に対して痛罵を浴びせ、小説においては江戸戯作文学の流れを汲む語りのテンポでデカダンスを描ききっている。見事である。
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Lieu
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かつて新潮文庫の一冊に収録されていた『浮沈』と『来訪者』が、最近刊行の岩波文庫の二冊に、別々に再収録されている。この本は、その二冊目である。梅雨から夏にかけての物語・随想が集められ、この時期にぴったりの本だ。『夢』は、夢語りの話で、こんな趣向の作品が荷風にあったのか、と思った。ただし夢の中の設定は、いかにも荷風らしい。語り手の出会う、この老人は何者だろう。
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花火・来訪者 他十一篇 (岩波文庫 緑 42-12)評価72感想・レビュー21