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日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書 2528)

感想・レビュー
248

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iwtn_
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とても参考になった。日本は昔からムラ社会である、というような「神話」を、戦前からの歴史をなぞりつつ、他国のそれとも比較し、一歩一歩別の姿を表していく。「企業のメンバーシップ」が主体的な国であり、しかしその割合も実は三割程度でしかない。そこから外れる部分については、国民皆保険や生活保護など、薄く包括的に対応してきた経緯がある。参考文献も各章に大量にある、丁寧で意欲的な本。現実から解離した「神話」を現実だと認識していると、そこからの動きを間違えることになる。みんな働くことになるからこそ、広く読まれて欲しい。
0255文字
k
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Audible。このくらいの分量と内容だと聞いてるだけでは理解出来ないところが出てくる。書籍で読もうかな。
0255文字
akiko aikawa
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読み終えるまでに時間がかかったが、得るものが多かった。身のまわりの問題を考える時の土台となるような、日本に特徴的な慣行の起源と、慣行の束である「しくみ」を示してくれる。分かりやすい文章や論の進め方も、好みです。何でもかんでも「日本の伝統文化」に結論づけるような言辞を、バッサリと斬っているのも痛快。「つまみ食い」的改革や提言の浅はかなことも、きっちりと証明している。
0255文字
水の都
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「ムラ」と「カイシャ」の2つのキーワードを軸に雇用・教育・福祉の日本歴史が考察される。新書だけど殆ど読者からは専門書。自分の置かれた立場の「家」というものを考えたくて手に取ってみたが、視神経の疲労は頭痛に直結した。
0255文字
とくけんちょ
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日本型雇用は、令和の時代も通用するのか。採用募集に対して、本当に欲しい有能な人材がこない。新たな労働力が確保できない。新卒ばかり優遇することで、中高年のモチベーションが下がる。国としての成長期は終わったのだろうか。労働者を求めて、企業が努力すべきだろうが、その妥協はどこまで続くのだろうか。世界は良くなっているのだろうか。迷うたびに読み返したくなるのが、本書。
0255文字
武井 康則
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生活をするための仕事の典型として、日本人は企業で働く人物を考えるだろうが、その割合は全体の3割らしい。しかし、典型であるから社会全般に影響を与える。西洋では、職種ごとの組合があり、企業は仕事のできる人物を採用する。その資格は組合が保証する。だからその職種の賃金は同一で会社を替わっても変わらない。仕事の責任もある。一方日本では会社に入ってから仕事が決まる。だから個室でなく大部屋で仕事をし、その会社を辞めたらまた一から始めるしかない。根本的に社会人の形が違うのだ。
武井 康則

だから、能力成果主義といっても測り方がない。仕事の資格を大学が保証することもない。仕事についての契約がないから、時間で測るしかない。などもっと多くのことを語っているが、だから海外の物まねをしても意味がない。人口が増えて場当たり的に仕事をしてもなんとかなった昭和と違い、今は労働において末期的な状況だろう。

01/08 11:38
0255文字
cafework
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ネタバレ他国と比べて、特殊と言われる日本式の雇用形態がどのように生まれたことを丁寧に説明する。 雇用慣行は経営者が好き勝手に給料や昇進を決める習慣に対して、労働者が制約と安定求めた戦いをした結果。 西洋では、職種別の業務と報酬を明確にすることで経営者裁量を減らし、職種間の学歴による給与差異を受け入れた。 日本では、年功昇給・雇用保護により裁量を減らす代わりに、経営側の職種・配置の自由を労働者が受け入れた。 どちらも双方の妥協点としての社会契約であるため、一部分のつまみ食いは難しい。
0255文字
Yuuji Hayashida
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めちゃくちゃ良かった 去年2回読んで、気になったのでもう一度読んだ。 毎月一回は読みたい
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はとむぎ
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日本雇用慣行の歴史をメタ視点から捉えた本。勉強になりました。
0255文字
おはら
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「日本社会のしくみ」を構想する上での必読書と言えるほど、議論の前提となるべき書。筆者のいうとおり「文系の基礎研究」に値する。新卒一括採用、年功序列型賃金などといった「日本型雇用」がどのように始まり、どのような過程を経て、どの程度社会に広がっていったのか。その過程で排除されたり、不利なルールに甘んじることを強いられたのは誰なのか。誰にとっても公平な社会を構想するためにはどうしたらいいのか。こうした問いに、ドイツやアメリカとの比較を通して回答していくことによって、「日本社会の慣習の束」を明らかにしていく名著。
おはら

欲を言えば、もう少しジェンダーの話を読みたかった。著者曰く、「日本型雇用」が拡大していった1960年以降時点では、女性は日本型雇用の「外部」として「社員の平等」から排除された。「社内のがんばり」という極めて不透明な基準による昇進が機能したのは、構成員が男性に限られていたからではないか。以後85年の均等法を経て一部の女性の日本型雇用のコア部分への参画が始まったわけだが、根本となるルールは変わらず、今でも正規雇用の女性は割りを食っているはずである。

12/14 12:54
おはら

日本型雇用の割を食った(特に高学歴)女性については随所に言及があったが、総体としてどのような不利益を被ったのかは自分で勉強していきたいと思った。とはいえ、戦後に日本官僚制を模範とした日本型雇用が、経営側と労働運動の妥協を通じて拡大していき、社会福祉や教育のカタチをも規定していったという指摘は非常に示唆に富むものであった。

12/14 12:59
0255文字
7ember
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タイトルからはわかりづらいが、日本社会における働き方やジェンダーについて考える場合の必須文献。淡々とした事実の羅列が続くので気づかれにくいかもしれないが、これを踏まえない議論をすべて無効化しかねないほどの本。三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』における〈情報〉と〈読書〉の区別に従えば、この本は、たくさんの事実(ノイズ)のなかから特定のディテールに注目したり、全体的なパターンを読み取ることを要求する、「読書力」の試される本になっていることは確かだ。
7ember

内容的には必読ながら働きながら通読するにはしんどい分量かも。わたしはオーディブルで一度聴き流しておいて、読み返す必要が生じたら改めて書籍版なり電子版なりを購入するつもりです。

12/04 01:00
7ember

扱う範囲が広いだけに各論については専門家の意見を参照すべきと思う。また、小熊は日本社会が今後いずれの方向性を選好するにしても、さまざまなしくみの透明性を高めることが重要だというが、その理念には同意するにしても、かなり用心して進める必要がありそう。今の日本の組織でアジェンダ設定してそのような再帰性を追求しても様々な「ブルシット・ジョブ」(グレーバー)を生み出してさらなるブラック労働化が進むだけなのでは、という不吉な予感を拭えない。

12/04 01:04
0255文字
aki
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600ページを越えるボリューミーな新書。内容もしっかりしており雇用の歴史について特に詳しい。意外だったのは1960年の「国民所得倍増計画」で、政府は職務型への移行を目指していたということ。
0255文字
yoshinori niida
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ネタバレ(読書中 1-40P) ・働き方は、大企業型、地域型、それ以外(残余型)に分けられる。 ・かつて、ひとつの会社につとめて定年まで勤めあげられることが出来た人は全体の3割(7割くらいいるんだと思ってた)。
yoshinori niida

(290くらいまで) 年功序列も新卒一括採用も昔の官庁が都合の為に、なんとなく始めたら、それがいつの間にか、ルールになったものであり、最初からそれを目的として始めたわけではない。つまり、今世の中にある自分を縛るルールも、なんとなく知らないうちに出来上がったものあるのでは無いかという仮説が生まれた。そしてなんとなく出来上がったことにすら気づいてない人の方が多いのではないか

10/17 21:07
yoshinori niida

(最後まで) このペースで読み進めていくと、永遠に終わらないそうなので飛ばし読みしながら進めた。今ある様々な慣行は、歴史の中における様々な積み重ねと、関係する人間の合意によって成り立っている。ある慣行を変えようと思ったらみなの合意を取らなければいけない。そのため、現在の前提を認識することも必要だし、現在の延長線上に何があるのかを考えることもとっても大事なことなのだろうなと思いました。突飛な発想は突飛な発想だけではよろしくない。関係する人間の合意を取る、 600ページ近い読書。 おつかれさまでした。

10/20 16:43
9件のコメントを全て見る
0255文字
セイ
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日本の雇用は大企業型、地元型、残余型の3つにわかれており、大企業型は高度成長期以後も減ってないものの増えておらず、地元型(自営業や零細企業)が減少した分の受け皿に残余型がなっている。上級職、下級職、現場職員の3層構造は諸外国でも見られるが、日本は官僚制の制度がそのまま民間にも引き継がれている。昇給しないシングルマザーに対して、日本型の電算型賃金、スキルアップの市場主義、社会保障を充実させるの3つの選択肢があるが、著者は社会保障を充実させて補えばよく、同一労働同一賃金の点からは低賃金もやむ無しとの立場。
0255文字
訪問者
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600頁という通常新書の2〜3倍の頁数で、流石に読み応えがある。日本社会のしくみ「慣習の束」がどのように形成されてきたかを解読した名著。これは『社会を変えるには』も是非読まなければ。
0255文字
えみ
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日本の社会の仕組み、特に雇用についてのことがよく分かった。私自身は深く考えずに就職を決めてしまったのだが、女性で男性と同じ立場で働き続けられるというのは幸せなことだったんだなと思った。
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へりお
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これは勉強になる。日本社会の職能主義は新卒の一括採用などを起因に始まったが、成果主義を導入したのは、バブル期に大量入社した中堅層の賃金抑制が目的だった。結果的に若手・中堅層の士気を低め、彼らの離職率が上昇した。さらに抑制された賃金を補うため残業代を目的に職場に居残ることが増え人件費が結果的に増加した。潜在能力の計測は難しく、結果的に明確なバロメーターは学歴との結論に至った、学歴>年齢や勤続年数(同企業での)が評価されてしまう社会。女性や外国人が結果的に冷遇されてしまう。世界的に役割が流動的な組織は稀有
0255文字
etclair
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だいぶ分厚い本で斜め読み。慣習の束が社会のしくみというのは納得。当たり前のように成果主義等を入れているが、職層によっては成果主義になじまないものもあるとの記述もあり、なるほどそうだなぁと思う。
0255文字
高原ロイ
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【★★★★☆ 「日本”雇用”のしくみ」を戦前の歴史からたどる】 とにかく僕は通しで読む(聴く)ことを重視して、理解はまだ浅い。 章ごとの要約を読んでおさらいしたい。 今、理不尽だなと思う雇用のシステムも、歴史なりに理由があって作り上げられたものだなと納得することができるのが、本書を読む一番の利点だと思う。 日本以外の国のしくみもかなり理不尽なこともあるし、万人にとって理想の雇用システムをつくるのはほぼ無理なんだなと気づいた。 なので、今ある社会のしくみを受け入れて頑張ろうかな、と思える。
高原ロイ

⑤「官僚制の移植」はどの社会でもみられた現象だが、他国では職種別労働運動などがこうした影響を少なくしていた。 ⑥戦後の労働運動と民主化によって、長期雇用や年功賃金が現場労働者レベルに広まった。これが社会の二重構造を生みだし、「地元型」と「残余型」を形成させた。 ⑦日本では「学歴」のほかに、能力の社会的基準がなかった。そのため、企業の学歴抑制効果と、企業秩序の平等化/単線化がおきることになった。

06/21 20:13
高原ロイ

⑧「大企業型」の量的拡大は、石油ショック後は頭打ちとなった。その後は非正規労働者の増大、人事考課や「成果主義」による厳選などがあったが、日本型雇用はコア部分では維持されている。 ●日本では企業と地域を横断した労働運動や専門職運動が弱く、横断的な労働市場や階級意識が形成されなかった。「カイシャ」と「ムラ」を社会の基礎とみなす意識と、現存する不平等を階級間ではなく企業間の格差とみなす意識が生じたのはそのためである。

06/21 20:13
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0255文字
awe
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雇用慣行から日本社会のしくみを解明せんとする重厚な新書。「大企業型」「地元型」「残余型」の三分類を決めた上で、「大企業型」の数は概ね一定であるのに対し、「地元型」から「残余型」への移行が起きていると。大雑把に言えば、農業等地方に根付いた生活を送る人々が減少し、非正規雇用で働く人が増えているというような話。◆こうした現状を踏まえた上で、日本社会の雇用慣行について通時的・共時的な詳論が展開される。軍隊や官公庁の組織体系が民間企業に模倣されていく「官僚制の移植」は日本のみならず欧米諸国にも見られた特徴だが、こと
awe

を促すことで、企業についても経営強化を図っていくことができると。個人と企業双方にメリットのある話として喧伝されているものの、やはり先述したような「環境整備」がないと絵に書いた餅なのでは、と思ってしまう。勿論育休給付等様々に社会保障を充実させる施策が打たれていることは承知しているが、そもそもの企業横断的なスキルがいまいち定まりきっていない印象。◆もう一点印象に残ったのが、終章で重点的に論じられている「意図せざる結果」について(p565)。歴史社会学的な話だが、米国において横断的労働市場が形成されたのは

06/15 20:34
awe

「職務の平等」を志向する労働運動の「意図せざる結果」で、一見良いように思えるが、学位競争や格差という「意図せざる結果」も生じた。日本については省略するが同様に「」意図せざる結果」として現在の雇用慣行がある。これを踏まえ思ったのが、政策を立案する際に「意図せざる結果」をどこまで考慮できるかが大きな鍵なんだろうなということ(当たり前の話かもだが)。「意図せざる」とあるので「意図」できてる時点で違うかもしれないが、ある政策が社会に及ぼし得る影響をできるだけ多く考慮することが大事なんだろうなあと思った。

06/15 20:39
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0255文字
ニッポニア
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斜め読み。以下メモ。典型的な人生だと思っていた数字が、どう計算してもそれ以上にはならないため、昭和世代はショックを受けている、常識が変わり始めている。保育園落ちた日本死ね、発言の一方、地方では園児が少ない、温度差があった。日本の社員は職種にアイデンティティを持っていない。日本の役所の大部屋の執務室、フランスでは個室、知的能力や人物の情報をスクリーニングするため。社会保障制度はカイシャ、ムラを日本社会の基本的単位とみなす観光を制度化した。人事担当者は、どんな職務に配置されても適応する船内能力を期待していた。
MI

ニッポニアさん、公務員もフランスでは個室なんですね!雰囲気ぜんぜん違いますねー。面白そうです

06/03 07:11
ニッポニア

公務員も国によってそれぞれ、ですね。日本人の自尊心、とも関わってきそうなテーマでした。

06/03 07:22
0255文字
GRONG
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後半は似通った事象の解説が多く読み進めにくかった。
0255文字
かみかみ
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再読。日本の雇用や社会保障制度などを規定する「日本社会の形」が「大企業型」「地方型」「残余型」の三つのパターンの累計から形成され、それが産業構造のシフトなど時代に応じ変化してきたことを説く。特に年功序列の賃金・昇進や定期的人事異動を特徴とする「大企業型」が明治時代の官吏や軍人に適用された制度を模倣したもので、そして戦後高度成長期に欧米の企業横断的な「職種の平等」日本独自の社内の職種に囚われない「社員の平等」が形成される過程が興味深かった。職員(ホワイトカラー)、職工(ブルーカラー)という見方は重要。
0255文字
katz
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人事必読書だと思う。
0255文字
オカピー
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「正社員になり定年まで勤めあげる」という生き方は、3割ぐらいしかいない。アメリカでは、定年制は年齢差別として原則禁止とか。「会社」に就職し会社にしがみつこうとする日本人と、どの「職務(仕事)」をするのか考えるアメリカ人。大部屋か個室。日本では総合職で採用後、色々な部署で経験を積む、できる人を採用するのでなく。一括定期採用、定期人事異動、「体力と根性」「がんばり」「透明性のなさ」。日本の仕組みでもいいものはたくさんある。ただのものまねで仕組みを取り入れても、納得性が無ければ定着しない。
0255文字
よたか
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タイトルと違い、『雇用』に射程を絞って歴史的に日本社会を概観している。内容が濃密で読んでてとてもためになった。近年、欧米を真似てジョブ型雇用を拡大しようとしてるが、過去に何度か導入しようとして失敗していたことがわかる。それぞれの社会における雇用制度は、コインの裏表のようにメリットデメリットがあり、それをしっかりと認識せねばまた失敗しそう。本書が良かったので、著者の他の本も読みたい。
0255文字
葵
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ネタバレかなりの内容量。普段の生活で流れる程度では得られないほどの深い情報が得られる(なお、前半部分はいつ読んだか覚えてないため割愛)あとがきから言及してしまうと、「雇用形態がその他社会に及ぼす影響が大きいと執筆途中で気づいたため、その分量が多くなった」とのこと。確かに特に後半戦はいかに現在の日本の雇用形態が形作られたか、がメインの話。著者の主張は結論、現代では同一労働同一賃金+社会保障によって"平等"を実現するべきだとのこと。しかしこれはあくまでも個人の見解だとして、我々に「何が本当の正義なのか」を問うている。
葵

年功序列は元々限られた人しか享受できなかった賃金システムだったことを考慮すると、ほとんど経済成長していない現代日本においてまかり通るはずがないということが納得できる。何ならもっと早くから変えるべきだったのかもしれない。欧州にはギルドの文化があるし、アメリカは戦前から職務別のレベル分け(正しい語彙ではない)が明確になされていたから職務別採用が浸透しているが、日本ではどれだけ進むものか...。個人的にはある程度はメンバーシップ型を維持してほしい(4:6くらい?)。

05/02 15:07
葵

個人的な疑問:農学部出身で社会学に興味を持つ方って多いのかな。(渦中の三浦瑠麗氏もそう)

05/02 15:09
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0255文字
PARO
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audibleで聞き流し。電子書籍でセールになったら購入したい。日本は会社での頑張りが評価される。欧米は転職をして給料を上げていく。欧米は大学院や資格の取得をしないと良い条件で働くことができない。日本は会社の勤続年数で給料が上がっていく。東大卒(有名大学)で新卒で1社でずっと頑張ってきた人たちが経団連のトップにいる。同一労働同一賃金。社会保障政策で格差をカバーする。
0255文字
すのす
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骨太な戦後史を、労使関係から。電産賃金体系や明治以降の官吏や軍隊での賃金・任用・昇進などはじめ、相当広く論点をさらっている。労働分野での来し方を俯瞰し、今後を考えるに当たっての前提整理として、必要になっていくと思った。中身自体も大事だが、終章がよくて、慣習の束としての今の社会の仕組みは、変えるにはメリデメ両方ある中で、対立する立場の各者の合意妥協が必要だという点が、能天気な理想論の書き出しから一歩進んで、現状変更の地道さを再認識させる。忘れてはいけないと自戒。
0255文字
てら
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kindleにて。日本の近現代の雇用形態や給与形態の変化を、諸外国との比較を織り交ぜながら概説した一冊。600ページという厚さだが、読みにくくはなかった。官僚制の成り立ちやパワーバランス、近代国家成立のタイミングや背景、歴史的推移などによって、その国の労働環境の性質が決定されることがよくわかる。漠然とした「日本は終身雇用制が基本だった」「同一労働同一賃金」などのイメージが事実と異なることも知れてよかった。
0255文字
お抹茶
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日本の雇用の歴史を丹念に辿り,欧米の雇用慣行とも対比させながら,行政や軍の人事制度,教育にも目を配る。著者は社会保障や政治にも言及したかったそうだが,太宗の雇用の内容だけでも600ページ近くある大作であり,他のテーマは続編を待ちたい。日本社会はカイシャに足場を置く大企業型の生活と,ムラに足場を置く地元型の生活を前提としていた。欧米と異なり「社員の平等が社員としてのアイデンティティを形成した」日本の過程を選抜方法や賃金体系を通して明らかにしていく。同一労働同一賃金が戦後直後にも検討されていたことは興味深い。
0255文字
ジャンルバルクイネー
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明治時代から現代までの給与体型のしくみ、変化の様子が書かれている。戦後の日本はいかに貧しく食べていくのがやっとだったのかが見てとれる。そして貧困層にやさしい制度にすべく、現代まで続くカイシャとムラ中心の制度が出来上がる。年齢、学歴、勤続年数で差をつけ、能力の差は出きるだけ押さえる。個人的には、欧米の能力主義より平和的で良いのではと思うが賛否わかれるだろう。外国との成り行き違いも分かり面白い。
0255文字
ガラスの文鎮(文鎮城)
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「日本社会のしくみ」としか表現しようが無いもの、つまり雇用や教育や福祉、政党や地域社会、さらに「生き方」までを規定している「慣習の束」がどんな歴史的経緯を経て成立したのか書きたかった、との事。序章で経団連の偉いさん方(男ばかり)を取り上げて①何を学んだか重要でない学歴重視②一つの組織での勤続年数が「日本社会のしくみ」を構成する重要な要素だと言う。①は彼らは旧帝大か早慶の卒業生であり何学部かは問われないし修士、博士である事も問われない。②一つの企業に新卒で入って以来勤続している。これは世界的に見て少数→
ガラスの文鎮(文鎮城)

しかし戦後新制大学が増えて大学卒業の価値は下がる。戦前は上級社員、下級社員、現場労働者と3分割されており上級社員は帝大卒、下級社員は旧制中学卒、現場労働者は社員ではなく親方が個人的に集めた雇員だった。戦後労働組合が出来てまず行われたのは現場労働者の社員化。つまり「平等」が優先された。なれば劣後したのは企業横断的職能組合。職能別組合を作るにはそれぞれの職能を定義する必要がある。日本人は職能を明文化する事に抵抗もあり苦手でもある。結果として企業別組合が出来た。経営側の勝利だ。欧米の組合の多くは職能別組合だ。→

07/21 23:46
ガラスの文鎮(文鎮城)

企業ごとに分割された労働組合は1960年代にピークを迎えるがその後経営側に取り込まれて行く。欧米の職能別組合は現場労働者の組合であるのに対して日本の企業別組合は将来の経営者たる層も含む組合なので何かと経営者に忖度する様になる。一方非正規社員に対しては冷たい態度を取るのは知られている。日本の労働組合に支えられた政党に勢いが無いのはこういう理由。英国労働党があくまで現場労働者の労働組合にベースを置く事で二大政党として存在感があるのもこういう理由。その他色んな視点から日本のしくみを解析している。お勧めです。

07/22 00:02
3件のコメントを全て見る
0255文字
ponte
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以下備忘録。 ・日本社会は、カイシャに足場をおく大企業型の生活と、ムラに足場を置く地元型の生活を前提としていた。 ・企業を超えた基準がないから、企業を超えた流動性が生まれず、横断的な労働市場もできない。労働市場があるのは、新卒時と非正規雇用が中心だ。 ・戦前の日本企業が大卒者の採用面接で重視したのは、人物や人格だった。 ・我が国の学歴社会の内容が他の国とは違った様相を呈している。博士号・修士号といった縦の学歴ではなく、一流校、二流校などの横の学歴に対する需要が強い。
0255文字
やまざき
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仕事をしていて、年功序列に対して「なんだかなぁ」と思うことが多い。これが戦後の日本の労働者が勝ち取ってきた理想の姿で、こうなるように整備されてきた必然であるということが良くわかった。諸外国との比較もされていたが、どれも一長一短だと思った。日本型雇用の慣習を覆すには長い時間がかかると思うが、少しずつでも現代の時勢に合ったものに変えていく必要がある。
0255文字
ヒラマサ
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日本に特有の慣習の基盤に雇用があるとして、雇用体系の成立の歴史をイギリス、アメリカ、ドイツと対照しながら論じる本。 職種のメンバーシップ、企業のメンバーシップ、制度化された自由労働市場は各国に一色ではなくコントラストがあり、なぜ日本で企業メンバーシップが強化されたのか、他国とどこまで共通で、どこからなぜ道を違えたのか、体系的にまとめられています。
0255文字
take
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日本社会の雇用制度を、歴史と他国との比較から分析している。今の社会制度も、日本の文脈や歴史を背景に作られたもので、他国の制度を部分的に導入しても変わらないことは腑に落ちた。また、今の雇用制度も偶然ではなく、明治からの官庁制度に依拠したもの。総じて、今の日本の雇用制度に対する理解が深まった。
0255文字
のらきち
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audiobook。日米で働き方の違い、労働組合の違い。衆知の現実だが、それを語るとき「日本の有り様はそれなりの背景がある(だから正しい)」論と「日本の有り様は閉塞感を生んでいる(だから正しくない)」論は常に平行線を辿る。本著はどちらの立場にも立たず淡々と歴史・背景・事実を説明しているのが素晴らしい。終章に挙げる例「シングルマザーと高卒新卒女子が同じ仕事をするとき同じ給料であるケース」への答えは重要な設問。個人的には、持続可能な企業運営・持続可能な国家運営を軸に回答すべきと思う。
0255文字
バナナフィッシュ。
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ネタバレ職業間での移動の話、まず職ありきの西洋。モラトリアムな期間は大事だと想うけど、専門職以外は就職後全く大学在学中については問われないことはよく思う。欧州、米国の上級職は基本的にはほぼ専門職なのだということ。日本はそういった意味で入るまでが競争で、東大のような人生のパスポート的な物を手に入れたもん勝ちなのだろう。自営業から非正規になった人に対する社会保障、昨今の子育て政策はこれで自分の中では腑に落ちた。また高齢者非正規に対する問題もあるのか。社会保証がまた分厚くなるんですかね。
0255文字
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日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書 2528)評価65感想・レビュー248