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芸術と幻影 (美術名著選書 22)

感想・レビュー
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loanmeadime
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書庫から出して頂いた本書を眼にした途端、これは時間がかかりそう、と思いましたが、その通りになりました。画家が絵を描くとはどういう事で、観照者が絵を見ると言うのはどういうことか、という事について心理学的な分析をしています。知っていることだけ描いているというニーチェの批判通り、画家はそれまで見てきた図片とヴィジョンを刷り合わせて作品を作り、観照者は自分が知っている画像を組み合わせて絵画を解釈する、という事でええんやろか?
loanmeadime

非常に丁寧な索引、注釈が付いていて、それをもとにあれこれ検索したりしてたら、とても時間がかかりましたが、楽しかったです。

09/12 17:39
0255文字
syaori
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白いテーブルクロスを描く画家は、限られた色や平坦なカンヴァスにそれを「どの程度」再現できるのか、と作者は疑問を呈します。結局、画家は様々な技法(「語彙」)により描くものを「暗示」するのであって、美術の歴史はその語彙を増やす過程でもあることが分かります。同時に本書が語るのは、芸術は「見える世界を新たな眼」で見直すことを教えてくれるのだということ。一枚の絵が光や風が作り出す一瞬の美を浮かび上がらせ、心の見えない領域をも覗き込ませるのだということ。芸術と”見る”ことについて、様々な示唆を与えてくれる本でした。
syaori

「視覚的再現では、記号は見える世界のいろいろな物の代わりをしているのであり、それらはそれ自体として「与える」ことはできない。どんな絵も、まさにその本質上、視覚的な想像力に訴えるものにとどまるわけだし、理解されるには補足されなければならない」/「美術家が必ずしも素人より多くのものを見ているわけではない。(略)しかもそれでいて、彼が私たちの経験を豊かにしてくれるゆえんは、使用する画材の限界内で一個の等価物を提示してくれるからであって、それがまた観照者に「働きかける」のである」

08/20 10:07
syaori

「芸術家は現実のある側面を選択するが、この選択の過程は同時に客観化の過程である。ひとたび我々がその芸術家のパースペクチヴに立ち入るやいなや、我々は、彼の眼をもって世界を見ないわけにはいかないのである。あたかも我々は未だかつて世界をこのような特別の光のもとでは見たことがなかったかのように思われる。しかし、我々はこの光がただ瞬間的なフラッシュでないことを確信している。芸術作品のおかげで、その光は持続的となり永久的となった。(略)我々は以後、現実をつねにこの形状のものとして見るのである」(カッシーラー『人間』)

08/20 10:08
0255文字
roughfractus02
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「見ているものを描く」ことはできない。今見ているものはそれに合う概念を記憶から引き出す作業を経ているからだ。認知科学的知見を導入する著者はこの過程を中世までの絵画に見て「図式システム」と呼ぶ。見ているものの再現という考えは、座標のように視界を区切り、区画ごとに写す技術との合成から生まれた(遠近法)と本書はいう。再現なる考えを強化する19世紀の写真の発明は感覚の再現に色彩や質感を強調する芸術を生む。ポパーの科学的修正の導入によって真理への信念を擁護する著者は、一方で知覚が様々な混合から成り立つ点を強調する。
0255文字
Meroe
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絵画の中の真実とはなんなのか。自然主義は対象をありのままに描くことではない。いわゆる芸術だけでなくあらゆる二次元の視覚表現を使いながら、古典の引用も絵に接するとき誰もがする経験も用いて、描くこと、観ることについて語っている。ざっと読んだだけなので要再読。
0255文字
ぷーたろう
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大学生の時に原典で読んだ。また読みたい。
0255文字
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