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銀の仮面 (創元推理文庫)

感想・レビュー
42

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ちびあんすも
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それはまるで、遅速性の毒がじわりと利いてくるようだ。足音も立てず忍び寄り、いくら耳をすませても、聞こえるのは風の音。吐息が聞こえたと思ったら、もう遅い。思いもかけないほど近くにいるのだから。恐怖の声は吐息にしかならず。誰にも聞こえない。
0255文字
kousei
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江戸川乱歩氏編世界短編傑作集で紹介された有名な「銀の仮面」で記憶していた作者の短編集。何とも言えない読後感、人の善意と人間関係における潜在意識と行動原理は時代や世界を超えて共感できる点があった。ファンタジーっぽい小品は苦手、地味な作品集でした。
0255文字
nanako
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これはある意味ホラーだ。幽霊よりもモンスターよりも、人間が一番怖いと思わされる短編集。逃れられなかった「悪因縁」にじわじわと侵食されて人生が崩壊していく恐ろしさ。特に表題作の「銀の仮面」は強烈だ。近年の高齢者を狙った犯罪集団をも彷彿とさせるものがあり、寂しさや人のよさ、気弱さ、無知ゆえに罠に堕ちてゆく老婦人を嘲笑う銀の仮面の存在が、邪悪すぎて一度読んだら忘れられない。
0255文字
tekka
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もはや説明不要の傑作「銀の仮面」と対をなす「トーランド家の長老」が読めたのが最大の収穫。新訳で再読できた「ターンヘルム」も相変わらず不気味な味わい。読み手によって解釈が変わってくるであろう「ルビー色のグラス」も素晴らしい出来。
0255文字
宙太郎
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ネタバレ人間関係の難しさ・恐ろしさをテーマにした作品が半分,幽霊などの超自然現象を扱ったものが半分。全体的に古き良き英国の姿勢正しい恐怖小説集。多くの作品で,主人公はこの社会を生き抜きにくいセンシティブな性格をしていながら,どこかで他者から”いい人だ”と言われたいと思っている。僕もそんなタイプなので,”わかるなぁ”と思いながら読んだ。体面を気にして嫌な友人,嫌な状況から決然と袂を分かてないグズグズ感が身につまされる。そんな中,最終話「奇術師」は心温まる結末となっていて,おかげでこの本全体の読後感がぐっとアップ。
0255文字
花林糖
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短編13話。江戸川乱歩が「奇妙な味」の作品と呼ぶ有名な作品「銀の仮面」は寄生虫の様な一族に母屋を徐々に乗っ取られる話でインパクト強すぎでした。「敵」「トーランド家の家老」「奇術師」「中国の馬」「雪」がお気に入り。(GWだよ全員集合!奇妙な味海外読書会’22)
0255文字
spica
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ネタバレシャーリィ・ジャクスン系のじわじわ怖い作家。前半はどうにもならない他人。たいした理由はないけどこいつきらい、というあの感じ。めちゃわかる。顔をしかめながら読んだ。後半はファンタジックな恐怖。「みずうみ」の対人関係の緊迫感、「虎」の精神的な緊迫感がよかった。「ターンヘルム」「奇術師」は子ども時代の郷愁がよかった。恐怖と愛情という正反対の感情に結びついていても。どれも暗くて怖くて、でもイギリスの風景描写はとてもきれいで、もっと読みたくなる。
0255文字
しい太
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表題作はこの作家の代名詞とも言える有名作品で、「悪人と思われたくない」と「善意を根こそぎ吸い尽したい」の仁義なき戦いで後者が圧勝するいやーな話。奇妙な味だと乱歩がいうのだからそうなんだろうけど、シンプルに厭な味だと思う。収録作品の多くがこの「内面こじれたしんどい人」と「無神経にテリトリーに踏み込む凄いやつ」のすれ違い(と言っていいなら)でできていて、通して読むとメンタルにひびが入ること請け合いの重さ。が、「敵」や「ルビー色のグラス」には正直結構共感する……
0255文字
夏みかん
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一つ目の表題作からものすごく後味が悪かったのでどうしようかと迷ったけど読んでみた。ゾッとする話が多かったけど人間の妄想の根元に触れるような話が多かったので面白かった。
0255文字
soo_840
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初めて読む作家。めっちゃ面白かったし、好き!後書きによれば「人間同士の悪因縁」について書かれた短編集。表題作「銀の仮面」の後味の悪さについて、本編も解説も非常に面白く、目から鱗。個人的には表題作と「死の恐怖心」「中国の馬」「ターンヘルム」「奇術師」が好き。毒のあるモームといった感じだなと思ったら、著者のウォルポールはモームの「お菓子とビール」に出てくるキャラクター・作家のキアのモデル説があるのね。美しいのに理不尽で残酷で、けれど何度も読み直したくなりそう。凄く好きな1冊でした( ^ω^ )
0255文字
DEE
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後味の悪い話や気味の悪い話。現実的な話に超自然的な話。そんなテイストの作品が盛り沢山の短編集。 訳の分からない生き物もイヤだけど、自分の罪の意識の力も侮れないし、生身の人間も相当怖い。 邪悪な感情というものは多かれ少なかれ誰にもあると思う。だからあり得ない話と思ってもどこかで共感するのかも。
0255文字
あくび虫
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嫌いじゃないけれどもう一つ。帯の文句が過剰すぎる。中身が追い付いてこないです。――どこかの短編集で読んだ話もいくつか。
0255文字
timeturner
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表題作を読み始めた途端に「苦手なやつだ!」と怯んだ。他人がパーソナル・スペースをじわじわ侵食してくる話。どの作品も心の奥底を深くえぐるような描写がウィリアム・トレヴァーっぽくて、怖いけど読まずにはいられない。ホラー寄りのトレヴァーって感じ。
0255文字
もっち
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文庫で再読 表題作のどうしようもなく破滅へ転がり落ちていく無力感が堪らない 「ルビー色のグラス」「海辺の不気味な出来事」に追加2篇が加わって、少年心に寄り添う作品の割合が増したことで読後感がだいぶ変わったように思う 街や自然の美しい描写と各篇の主人公達の繊細な心の顫え、それらを伝える倉阪鬼一郎の滋味深い言葉選びと歯切れの良い訳文…珠玉の一冊です
0255文字
ふみえ
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読み応えのある短編集だった。人間の心理も面白いが、英国の雰囲気と怪奇がぴったりだ。風景、天気、館、庭、小物の類い等々、演出に無駄がなく容易に情景が浮かぶ。倉阪氏の訳が良いのかな。
0255文字
桃蛙
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☆☆☆☆☆
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玄趣亭
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ネタバレ表題作は、乱歩が「奇妙な味」の作品と呼び有名な作品との事。一人暮らしの中年女性の生活が徐々に侵略者に脅かされるストーリーはカポーティの名作『ミリアム』を連想したが、その域には及ばず。表題作だけでなく集中のほとんどが、かたくなに守っている自分の世界が他者によって脅かされるという構成の作品で、短編集なのに読んでいて途中で飽きてしまった。作者は余程人嫌いなのだろう。私に合わなかったのは近親憎悪の感覚からきているのかもしれない。個人的にお気に入りは『敵』でした。
0255文字
内島菫
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①超常現象ではない後味の悪い話②超常現象1―怪奇・幻想もの③超常現象2―変身譚(?)という三部構成。やはり①の生身の人間同士の関係が一番嫌な感じの話になり得る。人は、理由があって他者を好きになったり嫌いになったりするわけではないし(表面的な理由はあるかもしれないが)、根拠なく自分に自信を持ち、やりたいようにやっていると言えないだろうか。そういう根拠のなさゆえに行きすぎてしまった、もしくは、逆の意味で魅入られてしまった人々の、不可避のアンハッピーエンドの様々なパターンが①に網羅されていて、
内島菫

くせになる鈍痛のように見過ごせない(「トーランド家の長老」はちょっと皮肉がききすぎていたかな)。②の中では、狂気と紙一重の、あるいは、狂気の方に大きくぶれているにもかかわらず、ニューヨークという近代的な都会のより大きな狂気に紛れている主人公の妄想を扱った「虎」が印象に残った(内田百閒の「虎」を思い出した)。「小さな幽霊」は『英国怪談珠玉集』にもおさめられていたので、途中で既視感を覚えつつ読んだ。

04/07 15:04
内島菫

が、前半で語り手が友人を亡くしたことと、その亡くなった友人とは関係のない家で語り手が何百年も前の子どもの幽霊に心を慰められる後半とは、つながっているようでつながっていなくて、かえってそれがとても現実的で、奇妙な怪談だと感じた。③は「ターンヘルム」と「奇術師」の二編だけだが、どちらも孤絶した人間が変身する者に最も接近する。孤絶した人間は孤独というものの危険性をも十分に知っており、それが変身の危険性にも通じるからではないだろうか。

04/07 15:04
0255文字
星落秋風五丈原
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大都会を“アスファルト・ジャングル”とはよく言うが、本当に獣が闊歩しているのを見る人は珍しい。そのうちの一人がイギリス人のホーマーだった。  伏線はあった。道に迷い、暗闇から二つの眼を光らせた虎に睨まれた夢を見たのだ。ところがその夢は三日経つと忘れてしまう。NYに行ったホーマーは大都会にも慣れ友人もでき、順調に暮らしていた。ところがある時黒人に追い越された事がきっかけで、再び虎の夢を見るようになってしまった。今度は何日経とうが虎は記憶から去ってくれない。次第に心身に異常をきたしたホーマーは…。
0255文字
あたびー
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#日本怪奇幻想読者クラブ 筆者の作品をまとめて読んだのは初めて。特に表題作「銀の仮面」は初読だったので衝撃を受けた。厭な話!小金持ちの老女はひょんなことから(あるいは狙われていて)美青年に情けをかけ、それをとば口に彼の一族に生活のすべてを蝕まれる。彼女の気の弱さ、世間体を気にする見栄、当初男の見てくれに惹かれたという負い目が、奴らを追い出すことを不可能にする。何と言う冷徹な人間観察眼だろう。しかし読み進めていくと更にウォルポールの様々な切片を目の当たりにすることに。
あたびー

覚書4)「雪」落語「三年目」の先妻幽霊ならまだ愛嬌もあるが、亭主も先妻の肩を持つんだもの、私ならもう離婚離婚!「小さな幽霊」親友の死から立ち直ろうと滞在した家は野蛮人のような子供らが割拠する戦場のような場所だった。そこにひっそりと震える小さな存在が…「ターンヘルム」両親の留守に独身の伯父二人に預けられた僕。その一人はどう見ても好きになれないし、家の中で恐ろしい目に…茴香の臭い。「奇術師」変わり者の少年が得た友情。心温まるお話。

03/27 17:34
あたびー

「ルビー色のグラス」「雪」「小さな幽霊」に出てきたポルチェスターと言う町は、どうやら作者の創造らしい。「黒僧正の墓」が気になる。「ターンヘルム」「奇術師」「海辺の不気味な出来事」にも出てくるシースケールなど、コーンウォールの風景描写も緻密で、行ったことないけど行った気にさせてくれる。あと、匂いの描写ね。

03/27 17:38
4件のコメントを全て見る
0255文字
渡邊利道
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表題作は途中でこれ読んだことある!ってなった。不気味な感じの恐怖小説集。どれもとにかく語りのムードがいい。楽しく読んだ。
0255文字
ROOM 237
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約90年前のエゲレス怪奇幻想〜不条理短編小説集、訳者は有名なホラー小説家さんのようです。善と悪の逆転、あえて行きたくない方向に進む、嫌悪の対象者に執着し始め事態は急展直下…読者をヤキモキさせつつもイギリス愛に溢れた長閑な景色で緩和させる作風。マイベストは表題作「銀の仮面」こんな家の乗っ取られ方ある?!韓国映画「パラサイト」がツボった方は必読。 アメリカのシャーリィ.ジャクスン、 韓国のピョン.ヘヨン、 イギリスのヒュー.ウォルポール ってとこですかね?
0255文字
ココンブレ
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★★★☆☆
0255文字
ほん
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前半の話の方が好み。
0255文字
くさてる
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まさに「奇妙な味」というか、読後にそわそわとして落ち着かなくなるような、人間心理の綾を掬い取ったような短編が多い。いわゆる「厭な話」とニアミスするけれど、それだけではないような、本当に、人間ってそんなことしてしまうよね、と思うような、でも奇妙な話。書籍でも読んでいたのですが、文庫版に追加された2編が同じクリスマス話ながら、真逆の二作で、どちらもとても良かったです。読み応えのある短編集です。
0255文字
kzm
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第1部がとても面白い。人間の感情は実に様々だなと思う。
0255文字
りら
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人の妄念や執着、狂気がひたひたと押し寄せてくるような読後感。描写が繊細で婉曲な表現に富み、その分やや分かりにくいところもあったとは思う。ただ、登場人物が自分でも自分の感情が理解できずに当惑し全く思いがけない行動をとってしまう姿には、共感しつつぞっとした。特に印象的だったのは表題の「銀の仮面」と「敵」。
0255文字
ハルト
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読了:◎ 神経の過敏さと繊細さが合わさって、幻覚を作りだしたかのようにも思える狂気じみた心の叫び。抑圧された魂の震えに共鳴したように起こる異変。どれもがゾッとする不気味さを湛えていました。お気に入りは「銀の仮面」「敵」「トーランド家の長老」「虎」でした。
0255文字
しゅー
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★★★表題作があまりに有名な作者の本邦初短編集だ。第一部がノン▪スーパーナチュラル系の6篇、第二部がスーパーナチュラル系の5篇、ボーナス▪トラックのクリスマス▪ストーリーが2篇と言う構成である。第一部が圧倒的に好き。皮肉な展開の「敵」や「中国の馬」、表題作と対になる「トーランド家の長老」(但し表題作の「陰」に対して「陽」)は名手サキを連想させる切れ味で、私のストライクゾーンど真ん中である。第二部の「虎」も現代に通じる鋭いセンスを感じられた。人と人の間に流れる言葉にできない感覚を見事に言語化する達人である。
0255文字
かわうそ
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有名な表題作を筆頭になんとなく厭な感じがじわじわと日常を浸食し、それに伴って心の歪みが少しずつ大きくなっていく描写が素晴らしい。意外な方向にオチがつく話も多くて面白かった。お気に入りは「銀の仮面」「敵」「トーランド家の長老」あたり。
0255文字
ふるい
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やはり表題作である「銀の仮面」のインパクトが凄かった。善良で孤独な中年女性のもとに現れた悪魔のような美形の青年。両者の相性の悪さ(良さ?)がもたらした、考えうる限り最悪な結果が恐ろしい。そのほかの作品も心理描写が巧みで、著者の観察眼の鋭さがうかがえる。悪意はもちろん善意に潜む毒もまた人を破滅させるのだな。「中国の馬」「トーランド家の長老」「奇術師」がお気に入り。第2章にまとめられた怪奇系の作品は似たパターンの話が続いてちょっとダレたけど、全体的には好みの系統だったのでまたウォルポールの邦訳が出るといいな。
0255文字
えくおとさず
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☆☆☆☆☆ おじさんがおじさんにつけまわされる「敵」が良かった。何とも意地悪な結末
0255文字
椿
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心理学の教科書のような短編集。ほとんど、一人称視点で、その内面のもやもやが詳細に語られていく。読後感も決してよくはない。でも、いやーな予感を抱えながらいったいどこに向かうのか、気になって読んでしまうのだ。いやなものはいやと割り切ってしまおうと思える。私は「中国の馬」が好きだが、きっと人それぞれに共感や納得をする作品集だろう。
0255文字
spica015
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正直に言うとこの表題作が大嫌いなのだが、それは主人公の女性に起きた出来事があまりにもリアルで意地悪だからで、裏を返せばその描写が嫌悪感を催すほど人間の真髄を突いているということなのかもしれない。幸いにもそういった後味の悪い話ばかりではなく、怖い話、哀しい話、素敵な話…と色々あってどれも堪能できた。結末の捻り方がユニークな「中国の馬」が一押し。「トーランド家の長老」も相変わらず面白かった。何が幸せなのか、固定概念をさらっと打ち砕くような作者のセンスが光る。作者の美術に対する慧眼ぶりが随所に現れている。
0255文字
Ayah Book
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表題作が有名な短編集。人間の恐ろしさ、はたまた幽霊などスーパーナチュラルな恐怖も描く。ちょっとBL風味のある「敵」、ブラック・コメディ風の「ルビー色のグラス」「トーランド家の長老」、都会のおしゃれな孤独が怖い「虎」などが良い。中でも心が離れてしまった夫を、現在の妻と死んだ妻が二人で取り合う「雪」が一番印象深かった。現在の妻の心理描写が良い。最後の「奇術師」はほのぼのしててびっくり。
0255文字
モビエイト
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13編からなる短編集。 江戸川乱歩が奇妙な味の傑作と絶賛された表題作。 少しずつ悪い方に向かっていってしまう人間の心理を描いた作品であるが精神的な部分もある多分にあるのかともおもいました。
0255文字
アヴォカド
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やはり『銀の仮面』が秀逸。そして裏『銀の仮面』とも言える『トーランド家の長老』も面白かった。思えばデルフィーヌ・ド・ヴィガンの『デルフィーヌの友情』も『銀の仮面』の系譜だよね。
アヴォカド

ぜひ〜

01/07 18:38
Machiko

『デルフィーヌ…』、同意です〜

01/09 07:43
3件のコメントを全て見る
0255文字
ハルバル
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文庫化を機に再読。以前は同性愛めいて見えた男性同士の嫉妬混じりの友愛も今回は人間に普遍的な奇妙な感情の一つとして読んだ。だが作家自身の孤独や性向が反映していることは確かだろう。特に「銀の仮面」は再読しても色褪せない傑作。詐欺は騙されたがっている人を騙すという。はじめはほんのたかりにすぎなかったのが生活まで乗っ取られる老女の姿には昨今の振り込め詐欺にも通じる孤独につけこむ人間の恐ろしさと、それでも騙される被害者の弱さが書かれている。「バイロンやシェリーを思わせる美青年」の姿は寄生虫あるいは吸血鬼のようだ。
ハルバル

…というよりそんなスキャンダラスな二人に例えられる美青年がまともなわけがないのである(笑)。要するにろくでなし。新訳「奇術師」は風変わりな老人と友情を育む暖かいクリスマスストーリー。児童文学も書いていたというから、なかなか振り幅が大きい作家だ。

01/05 20:07
ハルバル

それにしてもこの短編集に出てくる男のほとんどが独身か男やもめで(主要登場人物だけならまだしも召し使いや執事まで!)、夫婦は一部の例外を除いて関係が最悪とは…。しかし「中国の馬」の家や本、美術品に愛着を抱くあまりプロポーズを断る独身女性、他人事とは思えない(苦笑)。だが互いに愛情と尊敬を抱けないうえ興味の対象が違う夫婦関係はいずれ破綻する。プロポーズを断ったのは賢明だろう。

01/05 20:11
0255文字
歩月るな
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物語の外側の視点から語っている三人称の場合は客観的に人物が酷い目に遭い、自分自身の過去の体験として語っている一人称の場合は、物語を語れている現時点においては無事であるという点で、語りのパターンが完成されている。「そろそろ語ってもよいだろう」「この話を人にするのは初めてだ」と、そんな語りで掴んでくる。些事は抜きにしても、語り口の柔らかさにおいては、短編の名手。咀嚼しやすく呑み込みやすい、まろやかな風味の毒である。傑作。巻末の紹介ページがデュ・モーリア等の著作である通り、短編の系譜に連なっている作品群である。
歩月るな

まろやかな毒、などと書いたが結局、奇妙な味ってことなんだろう。ただ、その味に気付いても呑み込んだ後では手遅れという事だ。やれやれ。

01/05 04:53
0255文字
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