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傀儡政権 日中戦争、対日協力政権史 (角川新書)

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aeg55
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傀儡政権というと宗主国のただ言いなりかと思ってしまうが、その時なりに戦争回避や平和を目指し模索した結果であった事がよくわかる。汪兆銘政権成立前後の複雑な背景などなかなか興味深い。平易な文章で書かれており非常に読みやすい本ではあるが、当たり前ではあるが登場人物が多い。大日本帝国、そして今の日本を考える上では必須であると思う。
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まると
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傀儡政権というと満州国や汪兆銘の名前しか思い浮かばなかったが、主要都市を含む広範囲を支配下に置く対日協力政権がこれほど多く誕生していたことを知り、勉強になった。辛亥革命後の内戦で群雄割拠状態にある中、日本との武力衝突を避け逆に利用しようとする一部中国側と、それに乗じて権益拡大を目指す日本のもくろみがこういう政権を生んでいったのだと理解できた。戦後は売国奴として死刑に処された彼らの弁明とはどんなものだったのか、その言及が手薄だったのがやや残念。裁判記録などを基に彼らの行動力学に触れた本があれば読んでみたい。
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ryo
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傀儡政権としてはやはり満州国、汪兆銘政権が出てくると思うが、その他にも数々の政権、委員会があり、「国内」の統治と「国外」との交渉の困難さが垣間見える。戦後から(当時でも)見れば、「傀儡政権」なのだろうが、広大な大陸が統一されておらず、内戦状態であった中国の地で、そう言った政権が現れるのは無理もないとは思えた。
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MUNEKAZ
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日本の中国侵略の過程で華中や華北地域に作られた「傀儡政権」を紹介した一冊。原書のタイトルは『ニセチャイナ』らしいが、勝ち残った現在の中共のとっては、本書で紹介されている政権は、自らの正当性を揺るがすものとして絶対に認められない「漢奸」なのだなと。汪兆銘政権が日本との治外法権を撤廃させ、租界を回収したように日本の傀儡という見方だけでは捉えられない脅威があるのだろう。満洲国が中国から独立した「別の国」なら、ここで扱われているのは「もう一つの中国」であり、オルタナティブな可能性を探ったものなのかもしれない。
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かんがく
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満州国以外の傀儡政権については細かく学んだことはなかったので、初めて知ることが多かった。
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富士さん
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中国本土に作られた、日本占領地域を支配するための現地政権の歴史。これらの政権を単なる客体ではなく、主語として描いているのが特徴で、とてもいい視点だと思います。これによって、日本の現地軍と統帥部の齟齬や、国民党の内部がいろいろな性格の人たちで構成されているという、至極当たり前の事実が見えてきます。既存の枠組みを外す視点は、歴史の再評価というレベルを超えて、歴史学のあるべき姿だと思います。その中でも、金融戦の存在に丁寧触れてあるのを特に新しく感じました。お金や言葉のようなメディアの主導権の帰趨は重要です。
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imajun
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中国で、ベトナムで、様々な表情を示す傀儡政権。「傀儡なんでしょ」と十把一絡げにされてしまいそうですが、丁寧にみていくと新たな歴史の姿が見えてきそう。詳しい読書記は以下note参照。 https://note.com/imajun/n/n14071f37fcd2?magazine_key=mfd3e591f6e58
0255文字
タキ
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☆☆
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CTC
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19年12月の角川新書新刊。ド派手な装丁に対して真っ当な内容で話題になった社会評論社『ニセチャイナ』の再編(割愛・統合・加筆)。先の大戦期における中国の例を見るもので、具体的には冀東防共自治政府(通州・35〜38年)、中華民国臨時政府(北京・王克敏・37年〜)、中華民国維新政府(南京・松井石根工作・38〜40年)、中華民国国民政府(汪兆銘・40年〜)に章を割いている。この章構成によって、時系列はやや行き戻りするが、例えば汪政権が参戦に際し租界の回収と治外法権撤廃をなした事実など、客観的に事績が見えてくる。
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湯豆腐
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中国大陸における、満蒙を除く対日協力政権についての解説書。それぞれの政権で抱えている事情や身の振り方が異なっており、一口に「傀儡政権」といってもその実態は極めて多様であることがわかる。新書サイズで手軽に読めるのが良い。
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Masatoshi  Oyu
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なんとなく、「漢奸」と「A級戦犯」を比較してしまった。 「漢奸」は、蒋介石との権力闘争、戦争の混乱を奇貨として一旗揚げようという野心家など様々だが、中にはとにかく日本の侵略をとどめ、国民の被害を食い止めながら主権回復を図ろうとするものもあった。王克敏は、できる限り傀儡化に抵抗する硬骨を見せたし、その王から日本の言いなりとののしられた汪兆銘も、日本への協力と引き換えに上海の疎開回収や治外法権撤廃を勝ち取っている。
Masatoshi  Oyu

汪の後をついだ陳公博は自著と裁判における理路整然とした供述に同情が集まったし、冀察政務委員会から王克敏を支え、華北政務委員会の委員長を長く続けた王揖唐は「自分は銃殺にされるべきである」といったきり何ら弁明をせず、運命を受け入れた。

03/22 22:21
Masatoshi  Oyu

それに引き合えると、A級戦犯をはじめとした日本の戦争指導者たちの視界には、国体はあっても国民はなく、自分で責任を引き受けるという責任感もなかったように思う。戦争終結の判断に当たっては弱い立場の国民に犠牲を強いながら自分たちの特権的地位を守ることに汲々とし、輔弼の役割すら果たせずに聖断に頼る。裁判になってみれば、口々に責任逃れ。こういう連中を「日奸」として処断できなかったものかと改めて思う。 まあ、そういう連中に戦後も引き続き権力を与え続けてしまうあたりが日本クオリティなのかもしれないが。

03/22 22:21
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skunk_c
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同著者の『ニセチャイナ』の本論部分のうち、満蒙を除く4政権について、新資料に基づく加筆修正をしたものだそうだ。分厚い『ニセチャイナ』は、様々な要素があり面白かったが、こちらは新書版に収めてあるため、すっきりとした印象。傀儡政権といっても、その主眼は日本のためではなく、中国の人々(民衆とは限らず)の安寧を目指すものであり、日本の側も、特に都市部における治安維持に日本軍をなるべく使いたくないため、「防共」という共通価値観で現地政権を樹立していったことが分かる。単に「漢奸」と切って捨てられない面が垣間見える。
曲月斎

改版を読む価値があるか、迷っています……。

02/24 08:19
skunk_c

悩ましいところです。大きな内容変化はない感じです。持ち歩けるのはメリットですが(笑)。

02/24 08:34
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Satsuki
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満蒙を除く各政権を、事実関係を丁寧に追い取り上げる。著者は極端な評価は避けつつも、冀東政権と維新政府には割と低評価。一方で臨時政府(華北政務委員会)の王克敏と王揖唐、そして南京政府の汪兆銘には、和平を企図していたり日本から権利を勝ち取ったりと一定の評価をしていることがわかる。日本は、汪兆銘政権設立の一方で桐工作に期待。しかし海南島進攻。現在から見ると一体何なのかと思うが、当時はその時々で最善の選択をしていたつもりだったのか。日本側は、陸軍内での中国各地方派遣軍間、陸海軍間など、必ずしも一枚岩ではなかった。
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秋津
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満洲事変以来、大陸各地に設立された対日協力政権のうち、長城以南の政権を取り上げ、その中心人物、動向、役割、対日関係について明らかにしている。特に汪兆銘政権が租界回収と治外法権撤廃を勝ち取ったように、日本の強い影響下にありながら、自らの主張を通した事例は「傀儡政権」の複雑な背景、性格、そして「漢奸」とされた人達が何故日本に協力する道を選んだのか、について考える手助けになると感じる。また、臨時政府や汪政権などと国民政府との「通貨戦争」についても興味深く読んだ。本書は『ニセチャイナ』(社会評論社)の加筆修正版。
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さとうしん
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中国の対日協力政権のうち、冀東防共自治政府、汪兆銘の南京国民政府など、4つの政権を取り上げる。1940年の天津水害に対応できなかった華北政務委員会、ホテル政府と揶揄された中華民国維新政府など、その統治能力のなさを印象づける話が多いが、汪兆銘政権が日本から治外法権撤廃を勝ち取った点など肯定的な評価もなされている。有象無象と言っては失礼かもしれないが、当時の中国人にとってのこれらの政権の存在感がどの程度のものだったのかも気になる。
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