形式:文庫
出版社:河出書房新社
形式:Kindle版
少女であったのに、その良さを知ってるからこそイフェメルにとってはおばさんが将軍の妾になるようなことは見たくなかっただろうなと思う。誰もそんなの直視したくない。でもそうしないとやっていけないみたいなのがあんのかなと思うと、そういう社会も良くないけど自分は女性として男性に寄りかかればいいやみたいな考えはやめようと思った。
黒人の人同士でのカースト制ともいえる紙袋テスト(Brown Paper Bag Test )というのを本書で知ったが、これは衝撃的なことだった。本書でフェラの名前が何度か出てくるが、その名前を久しぶりに聞いた。1970年代はフェラ・クティやオシビサといったアフロビートが欧米のヒットチャートに登場してきた時期があった。当時のフェラの曲の中で、「Africa No Unite,No Freedom,No Money,No Happiness」という歌詞は衝撃的だった
本書は上下巻合わせて800ページ超え、文庫本2巻で3190円(税込)と言う衝撃価格だが、図書館のありがたさを感じる。地元の図書館のリストを見ると、日本で昨年発売されたアディーチェのデビュー小説も在庫にあるので、今後ボチボチと読んでいきたい作家になった
「お前たちは働ける。合法的で目に見える存在だ。それがどれほど恵まれたことか」ビザ取得のための結婚ブローカーの一言。この言葉に自分は乗っかるのか、それとも何かが違うと疑問を持つか、で世の中の見方は変わるんだろう。※余談ですが…「世界はガーゼに包まれていた。物の形は見えるけど十分くっきりとは見えないのだ。どうすべきか自分にはそれが分かっていない」全体的に軽やかでリズムのいい文章。この読みやすさは村上春樹に似てるな、と思いました。同じように感じた方がいたら嬉しいです。
最後の方に一気に展開する壮大なラブストーリーなのだけれど、主人公がアメリカに行って「発見」する人種という概念に対する考察がたくさん織り込まれてるのが面白く、「異文化との出会い」と「故郷(祖国)との距離感」や、そこから生まれるアイデンティティというテーマが描かれてるのも良い。主人公のイフェメルがとても好き
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少女であったのに、その良さを知ってるからこそイフェメルにとってはおばさんが将軍の妾になるようなことは見たくなかっただろうなと思う。誰もそんなの直視したくない。でもそうしないとやっていけないみたいなのがあんのかなと思うと、そういう社会も良くないけど自分は女性として男性に寄りかかればいいやみたいな考えはやめようと思った。