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火の娘たち (岩波文庫 赤 575-2)

感想・レビュー
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フリウリ
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「アンジェリック」は、ナポレオン三世の第二帝政期、反体制的な記述のある小説は新聞に掲載できなくなったことを背景に、アムステルダムで出会った1冊の古書を手がかりとして、歴史を題材とした新聞小説を書こうと著者が右往左往するさまを、編集者に向けた書簡でつづるという小説。つまり、後藤明生と同じ手法で、たいへん驚きました。その他の小説はフツウですが、小説、論文、戯曲、詩を併載するオリジナルな文芸感覚はいいと思います。とにかく「アンジェリック」が素晴らしすぎます。1854年出版。8
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miso
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斜め読み。ネルヴァルの代表作ということで借りた。不思議な構成。
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mada
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過去の思い出を現実の女性に投影してフラれるという、感傷マゾっぽい内容なのにやたら疾走感ある『シルヴィ』と、母性の象徴としてのイシスの文化的転生を指摘する文化論『イシス』の2つが特によかった
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サイトーマン
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タイトルから女性を主役とした短編小説集かと思いきや、女性の存在が大きいものの主人公は違っていたり、形式も、会話劇やら、別作者からの翻案やら、詩篇やら、と様々。短期間に読み終えたのは、本文が短めだったか、意外に読みやすかったか、内容に引き込まれたか…自分でも分らない。
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amanon
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それなりに興味深く読めたけど、今一つはまらなかった…というのが正直なところ。とりわけ、冒頭のデュマへの手紙と続く「アンジェリック」がきつかったか。ただ、解説を読んで改めて気付かされたことも少なからずあり、それを踏まえて読み返すとまた新たな味わいがあるかも…という気にさせられた。特にプルーストへの影響が気になるところ。一見、単純な恋物語と思えるような作品にも、読者を煙に巻くような仕掛けが施してあるとのことで、侮れない。恥ずかしながら、その辺りのことは、殆ど読み落としていた。イシスについての考察が出色か。
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あ げ こ
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〈師よ、あなたにとっては遊びでしかないはずのことが〉〈私にとっては執念となり、眩惑となったのです。〉…執念、眩惑、まさしくそのようにして書かれている。まさしく魅惑された者の手によって書かれている。魅惑されることの快楽と苦痛と、抗い難く抜け出し難いその迷宮性、或いは果てのない無際限さの只中にある者の手によって。自らを眩惑する魅惑を、夢幻と現を縫い合わせるようにして書くこと。繊細に、優美に、囚われている者の憂鬱と喜びをもって。生きるようにして書くこと。ともすればそれが自らの生と化すほどに、境目を見失うほどに。
あ げ こ

眩惑へと、書くことの方へと降りて行くこと。眩惑されることの、或いは書くということの深み、その広がりと膨大さの内へと落ちて行くこと。〈いかがでしょう、物語の抗いがたい力がそれほどの効果を生み出すということを、理解していただけるでしょうか。自分の想像力の生んだ主人公にいわば化身し、その結果、主人公の人生があなたの人生になり、架空のものである主人公の野心や恋の炎に身を焦がすまでになるとは!〉…物語はまさしくそのようにして書かれている。眩惑されたまま書き続けること、書くことそれ自体と化しさえするかのように。

07/07 22:25
あ げ こ

〈この私はといえば、いたるところ刺繍だらけでありました。〉…輝かしく鮮やかな色彩と光沢、光の眩さと煌めき、夜の濃さと妖しさ、広がり、交錯し、枝分かれする、その刺繍の美しさを読む。そしてネルヴァルといえば『幻視者』も読みたいところ。金井美恵子が書きたい自伝の形として〈ネルヴァルの『幻視者』の、レチフ・ド・ラ・ブルトンヌについて書いた「ニコラの告白」〉を挙げていた。〈他人のも自分のもごっちゃに縫いつけた自伝的要素や語られた記憶のクレイジー・キルトのようなもの〉…。

07/07 22:26
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のっち♬
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書簡体、小説、おとぎ話や民謡、戯曲、詩篇など多彩な様式が織りなす「失われた恋」の作品集。自らの創作姿勢を真摯に訴えたデュマ宛の序文は重々しい。しかし、本編は飄々とした語り口で、過去と現在、夢とうつつを縦横無尽に往還し、掴みどころのない神話的な浮遊感が全体を覆っている。名編『シルヴィ』も回想に回想を重ねた複雑かつ重層的な語り構造が物語に生き生きとした躍動を与えており、「魔術的魅惑」を感じずにはいられない。作品ごとの雰囲気は全く異なるが、様々なモチーフが編み込まれた『幻想詩篇』が全体に統一感をもたらしている。
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やいっち
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(前略)中東を含めたギリシャローマの古今の世界を自在に、あるいはまさに幻想の中で往還することが感じられてくると俄然、作品の世界が楽しめる。プルーストの『失われた時…』では、マドレーヌ効果が印象的なように、本作ではふとした機会に主人公は嘗ての世界の現前を目の当たりにする。そんな幻想。諸作品の有機的つながりが感じられだした本書の半ば頃になって遅まきながら丁寧に読んでいくようになった。彼の世界を存分に楽しむには(特に馴染みのない吾輩のようなものは)たっぷりの素養か、幻想文学への馴染み…センスが必要なのだろう。
やいっち

ジェラール・ド・ネルヴァル(1808~1855)の名はかねがね知っていたが、読むのは初めて。ウンベルト・エーコが絶賛していたし、プルーストも高く評価していた。本書…本作は、小説、戯曲、翻案、詩を一つに編み上げた作品集である。ギリシャやローマの古典や旧跡を知悉しているとネルヴァルの世界はもっと奥行き深く楽しめただろう。自分の素養のなさを呪うばかりである(むろん、豊富な注釈は施されている。地図も)。

10/07 22:46
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Orange
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わりとクズだったり運命に翻弄される男たちと、その人生に交差する女たちの話。19世紀フランスの田舎の情景描写と相まって、俄然雰囲気がある。オクタヴィの主人公が書き送った手紙の内容が黒歴史すぎて、ふふってなる。
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ましろ
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読むほどに様々に魅せられ、心掴まれた。プルーストのヴィジョンを喚起した場面転換、心の間歇、忘却に抗えない時間の行方を物語に見る。土地に根ざした物語は説得力を持ち、幻想と現実の狭間にも史実を絡めた出来事にも詩情を滲ませ、ときに言葉なく、ときに唐突に、甘美に、ユーモラスに心情を伝える。余計な解釈を挟まず読み、感じるままに受け取る。物語や詩を夢中で読むかけがえのない時間を噛み締めたくなる。物語の引き寄せる力を真っ直ぐに思う。ここから様々な物語が生まれた。作品や著者をもっと知りたくなった。ずっと読んでいたくなる。
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TomohikoYoshida
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ネタバレ印象に残る素敵な作品が沢山。まず「シルヴィ」若いころの3つの失恋の話。想い出はいつも美しく輝いている。「ジェミー」はアイルランド出身のたくましいアメリカ女性を描いている。インディアンに攫われて人生が大きく狂ったかと思いきや、持ち前の逞しさで幸せを掴む。「コリッラ」は人気女優。二人の男のどちらが自分をより愛しているかを花売り娘に扮して試すという喜劇。「エミリー」はドイツとフランスの戦争による悲劇を描いている。どれも素晴らしい作品だった。「シルヴィ」を紹介してくれたエーコに感謝。
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かもめ通信
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1年近くかけて、少しずつ、少しずつ読んできた。なにしろ文庫ながら容易に自立する分厚い本なのだ。おまけに収録作品も小説・戯曲・翻案・詩と多岐にわたっている。一気に読んでしまってはそれぞれの印象が薄まってしまいそうな気もして一つ、また一つと読み進めていった。訳者の野崎歓氏は、ネルヴァルを卒論で扱って以来、四十年近く読み続けて少しも飽きないという。その思いは、巻末に収録された充実した解説はもちろん豊富な訳註にも反映されていて読み応えのある1冊になっている。
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みかん
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実在の土地の名前がふんだんに香る、紀行文とファンタジーが入り混じったような世界。きっとネルヴァルはこんな夢うつつの世界をいつも逍遥していて、それがそのまま文字になったのかもと思う。
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藤月はな(灯れ松明の火)
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「アンジェリク」は時間や挿話が入れ子細工になった構成小説。そのため、読み心地は「失われた時を求めて」のように一読では掴み切れない。また、再読しても「シルヴィ」でエゴ満載の理想を押し付け、駄目だったら他の女性でやり直す語り手にはやっぱり、腹立ちます。特に今のシルヴィの財政状態を知らずに「誰が彼女を嫁に貰うのだろう?(持参金の用意もできない程)あんなに貧しいのに!」と思い込む辺りは踏みつけたい気持ちになります。「ジェイミー」は意外にも開拓ものでした!先住民に攫われても魅力で切り抜けていく烈女ジェイミー、天晴れ
藤月はな(灯れ松明の火)

「オクタヴィア」はひと夏の甘い思い出を長い恋文で表すのに対し、相手に待ち受けていた人生の刻苦がほんの少ししか語られないのが、ほろ苦さを与えている。とはいえ、この作家は自分の過剰に美化された思い出が多い。そしてそれが破れると本当に苦い部分から目を逸らす部分にどうしても引っかかってしまうのです。

07/13 23:05
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くり坊
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「幻想詩篇」に収録されていた「オリーブ山のキリスト」を読みました。訳者が巻末の解説で、ネルヴァルが友人へ宛てた手紙で「これらの詩が書かれたのは私の病気がもっともひどかったときではありませんが、錯乱のさなかで書かれたのです」(606頁)とあるとのこと。『火の娘たち』の執筆年代(1950-54年)から翌年の1855年1月26日にはネルヴァルは亡くなっている。この1冊を「きっかけ」に、彼の詩作品を、邦訳でいいので、もっと読んでみたいと、そう感じさせる内容でした。
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ハルト
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読了:◎ 小説、戯曲、翻案、詩を一冊にした贅沢な本。著者の夢と幻想味が堪能できる。「シルヴィ」の夢想の面影を追うなら現実を見よというような結末。「ヴァロアの歌と伝説」。翻案の「ジェミー」、「幻想詩篇」がよかったです。
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ラウリスタ~
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実はネルヴァル読むのは初めて。やはりシルヴィは読み応えがある。田舎での少年時代に気になった二人の少女。日焼けした村娘のシルヴィ、金髪の貴族の娘アドリアンヌ。アはその後修道院に入ってしまったらしい。パリで青年となった語り手は、アににた女性が舞台に立っていることに気がつき、昔を懐かしみシに会いに行く。その後女優オーレリーを「故郷」へ連れて行く、「君、実はアなんだろ?」「あなた私に幻想の娘を重ねていたのね、バイバイ」振られる。シ、ア、オ、常に欲望の喚起元とそれによる行動がずれ続ける。男が身勝手に作り出す幻想女性
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キャラウェイ
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内容もさることながらタイトルが秀逸。てんでバラバラなように見えて、とても有機的。
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ekoeko
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「シルヴィ」主人公は3人の女性に揺れて夢みたいな恋の妄想にとらわれシルヴィにこそ幸福があったのに最後に気が付くとは。
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本の汚れは愛だよね。
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ネタバレ・「一人の神格化された女性―――母、妻あるいは愛人―――が、敵対する原理の犠牲となってずたずたにされた血まみれの死体を涙でひたしている。」 ジェラール・ド・ネルヴァル『火の娘たち』
0255文字
本の汚れは愛だよね。
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ネタバレ道はまるで悪魔のように延々と続いた。いったい悪魔というものがどこまで伸びるのか、よくは知らないがね。 ネルヴァル「アンジェリック」
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