そしてペーソスはたしかに、弱さを受け入れるものだから強弱関係を肯定するものだとは言える。しかし、それが弱者にだけ弱者でいることを受け入れさせるかと言えば僕はそうとは思わない。むしろ、集団的に「誰もが弱いところを持つよね」という考えを強めるものだろう。個人の自虐にしても、弱みかどうかはっきりしない不安を弱みとして確定させる安心とともに、自分は弱いところをさらけ出せるよ、だからあなたも弱いところを隠さなくて良いよ、という身振りで、個々の強弱が生まれてしまう世界を認めた上で包括的に強弱を包み込むのではないか。
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