形式:新書
出版社:光文社
形式:Kindle版
著者は比較文化学専攻後、アメリカで経営学修士を修了した。沖縄のホテルを経営し手放した後、沖縄に骨を埋めるつもりで定住し、沖縄大学の准教授を務めながら定点観測している。つまり、公的な資料を当たり、数字から導いた持論は、そう現実からかけ離れてはいないと考える。その著者の目から見た沖縄県民からは、鬱屈と息苦しさを感じる。誰もがクラクションを鳴らさない社会。経営者が給与を上げることが内外からの非難の対象になる社会。成功できない社会。これは、いわゆる沖縄的な、ゆるくて優しい協調社会の裏面なのだろうか。
『自尊心とは、これまでの成功も失敗も、できることもできないことも、優越感も劣等感も、喜びも恐れも、カッコいい自分もカッコ悪い自分も、自分の好きなところも、そして嫌いなところさえ、すべてを抱きしめる力である。 それは、自分を愛する力のことだ。 自分を愛する力は、自分を生きる力、人と向き合う力、生産的な人生を送る力……あらゆる力の源である。 自分を大切にする人は、他人を大切にできる。自分を尊敬できる人は、他人を尊敬できる。』
地元でも微妙な反応の本でした。 ただ同調圧力の濃さを指摘されたのは、耳が痛いながらもこの本の踏み込んだ部分ではありますが、貧困の説明として弱いのは間違いないですね。 なお沖縄の政財界や学術界の突出した人々に、近代前後に生活のために地方へ移り住んだ士族層の皆さんが少なくなく、こうした出自自体が同調圧力を越えて活躍する層となるのは、貧困を越えるあり方の一つとして注目すべきではありますが。
問題の解決方法を一元的な原因に帰するのは、わかりやすいけど根本的な解決にはなりそうにないんですよね。本書もその陥穽に陥っているように思えました。あと同調圧力は日本全体も覆っていますが、最近の諸問題を見ると欧米でもあまり変わらないように思えるんですよね。隣の芝生は青いというか、青い鳥はどこにもいないというか…。あと沖縄だと士族の在り方もあるんですね、勉強になりました。
今、岩波現代文庫の『沖縄の歩み』を読み終えたところだが、長年の沖縄の歴史ぬきに貧困問題を語れないと感じた。この本だけで判断しないでほしいと思う。『沖縄の歩み』はとても読みやすくておすすめ。
奥様、離島出身だったんですね!沖縄、まさに日本の縮図かと。
徳之島なんです。長男問題なんかそのまんまですね。雑に“沖縄”って一括りにしてた気がします。。
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