読書メーター KADOKAWA Group

絵ことば又兵衛

感想・レビュー
44

データの取得中にエラーが発生しました
感想・レビューがありません
モネの庭には…
新着
正直、文章自体に巧さは感じなかったが、今時の流行歴史物作家ってこんなものだろうか。ただ題材のセンスは素晴らしい。土佐派、狩野派、長谷川派の特徴を踏まえ、岩佐又兵衛が風俗画に至るまでの背景を織豊政権から徳川武断政治への移行の中で違和感なく描いている。あの画期的な洛中洛外図屏風の画中の笹屋や遊女屋が実在していたことが目に浮かぶ。
0255文字
グランくん
新着
浮世絵を作ったと言われている、岩佐又兵衛を描いた物。幼い頃、母と思っていた人と二人で勤めていた寺で、絵を教わり夢中になる。しかし、織田信長の手下に襲われ京へ逃げる。そこで、狩野派へ弟子入りする。だが、何者かに、母と思っていた人を殺されてしまう。 数奇な出生の秘密、そして如何に絵師として生きたかが描かれております。
0255文字
レイコ
新着
実在の絵師の物語。幼い時からの様々な苦労、吃音ゆえのコミュニケーションの難しさや絵師としての道を極める難しさ。描きたい物語はわからなくもないが、漫然と時系列を追う印象。「廉太郎ノオト」もそうだったけど、言葉にされた音や絵の表現に若干の物足りなさを感じた。源兵衛との親子関係も然り。一方で又兵衛がどんな絵を描いていたか、とても気になった。国立博物館行ってみよう。
0255文字
菫色
新着
ネタバレずっと不遇。いつになったら世に認められるんだとイライラが募る。結局最後まで又兵衛の絵師としての実力、評価が良く分からずモヤッとした。実際の岩佐又兵衛、調べてみたらしっかり凄い人で良かった。
0255文字
Shinobu Asakura Yamamoto
新着
狩野永徳、長谷川等伯らと同時代(やや遅め)の絵師。浮世絵の元祖と言われるが、洛中洛外図(舟木本)も描いているのは知らなかった。実は織田信長に反旗を翻した荒木村重の息子。各絵師の小説、生き様は色々読んできたが、この小説で、乳母に連れられて生き延び、吃として苦労した岩佐又兵衛の心情や苦悩などがいまいち響いてくるものがなくピンとこず、最後まで感情移入しにくかった。血糊の色にこだわったという山中常盤の浄瑠璃絵は見てみたい。
0255文字
風花 kazahana
新着
ネタバレ返却図書のワゴンから目に飛び込んできた一冊。勘が働いたな😊 当たりだった。荒木村重一族の生き残り 又兵衛。その出自は隠されたまま 母と信じた葉に育てられた。吃音のため 言いたいことがなかなか言えず 孤独の中に居た彼を絵が救ったが微かに残る記憶から 絵の世界も自由になりきれない。さて 迷い苦しみ抜いた又兵衛が最後に悟った事とは! 戦国時代が時の流れとしてあるのだが 「軍師官兵衛」で深く知った荒木村重。俳優さんも好きでそこにも惹かれた。親子とは 戦とは。なかなか面白く描かれていました。
0255文字
藤枝梅安
新着
ネタバレ浄瑠璃「傾城反魂香・吃又」のモデルともいわれる、戦国末期から江戸初期に活躍した絵師・岩佐又兵衛。乳母に育てられた少年期から物語が始まり、師事していた狩野内膳から実の父が荒木村重であったと知らされ、長谷川等伯の絵に心動かされた青年期。お徳と所帯を持ち、結城秀康との縁で、その息子・松平忠直に招かれ越前に移った壮年期。忠直乱心・配流ののち、弟子の哲は江戸に出、長谷川等哲と名乗り絵を描き続ける。又兵衛は「山中常盤絵巻」に精魂を傾け鶴姫に献上する場面で終わる。実母と乳母への思いを常盤御前の最期に託したのであろう。
藤枝梅安

「難儀な己を抱えたまま、ふらふら生きる。それが人間ってもんさ」(p.113) 「意味するところがどんどん移ろうていく。それを楽しむのが浄瑠璃なんだ」(p.229) 「血みどろで、赦し難い生の中でも、最後までお前のことを思うておる」(p.322)

06/03 07:36
0255文字
ねむりねこ
新着
⭐⭐
0255文字
UN
新着
歌舞伎の傾城反魂香(吃又)で知っていた岩佐又兵衛だが、詳細は知らず、とても興味深かった。谷津さんは他の著作でもそうだが、絵を描くということを文で描くことに実に長けている。ラストシーン、心打たれるのは親子の情、因縁・・・そんなものの強さ。洛中洛外図屏風、是非とも観たい。
0255文字
洋梨いちご
新着
岩佐又兵衛。今まで知らなかった絵師だったので、谷津さんが作った人物かと思っていたら、実在の絵師で荒木村重の子とある。装丁の洛中洛外図を初見でみたら、あまり興味はもたないような気がするが、背景をおぼろげながら知った今は洛中洛外図や山中常盤の絵巻をみてみたいものである。
0255文字
ちい
新着
豊臣、徳川の世を駆け抜けた絵師、岩佐又兵衛を描いた物語。読後、あまりすっきりしない。全編とおして、浮き世の儚さが色濃く漂っているからか。
0255文字
よしちゃん
新着
初めての作家さん、信長から家康の時代を生きた絵師の話。うまく言えないけど、芸術家さんは大変だよな、職種は違えど、みんな同じような匂いがする。
0255文字
真理そら
新着
谷津さんの芸術家モノは好きだ。荒木村重の息子として生まれ乳母に守られて生き延びることが出来た岩佐又兵衛の生涯について丁寧に描かれている。が、又兵衛の「奇想の絵師」「浮世絵の祖」という部分をもう少し読みたかった気もする。内膳が魅力的に描かれているので内膳に対する又兵衛の複雑な心理ももう少し知りたかった気もする。
0255文字
草団子
新着
ネタバレ岩佐又兵衛が絵師となるまでの歴史長編小説。帯にあるような「浮世絵の祖」である所以はあまり触れられていない。織田-豊臣-徳川の戦乱期に吃音と父への憎しみや疑念、母や乳母への恋慕、絵に対する貪欲さにさいなまれる時期~己の至らなさや周りへの理解へ熟す様子。谷津矢車さんの作品を初めて読みました。重厚な文体で濃厚な読書ができました。
0255文字
tama-nyan
新着
荒木村重さん繋がりで。初読みの作家さんだったけど凄く好きな感じの本でした。なんと20歳も若くそれも男性なのに驚く。読んでて何の違和感ない文章で面白い。また読もう♪
0255文字
あここ
新着
長かった…幼い頃はなかなか苦労してそうで虐められてるんが読むのも苦しかった。抗えへんこともあるよな…って思ってたけど。いつまでたってもずっと流されっぱなしやん。何かええタイミングで庇護者が現れるし結構苦労知らずちゃうん。で、だらだら何があったか書かれてるだけで内面は読み取れんかった。だから弟子と息子への言動の酷さに驚いた。いつの間にこんなしょうもないヤツに育ったんか。どんだけ人に恵まれてるか分かろうとせず勝手に閉じこもっていじけてるヤツ。全然楽しそうじゃない、絵描いてる時も。ホンマに書きたいの?魅力が不明
0255文字
一匹虎猫
新着
織田信長から豊臣を経て徳川に至る時代に生きた又兵衛。その時代背景をやや冷めた目の絵師の視点から見る事できる。激動の世の史実を確認しながら読み進むことができたため、飽きさせずほぼ一気に読んでしまった。絵画の才能を持って生まれ大好きな絵で生業を立てることができた彼にとって武士の子であるという身分などなんの感慨もなかったが本人の知らぬうちに彼の人生に大きな関わりを持つことになる。長谷川等伯、俵屋宗達など彼の生きた時代の日本美術はその時代の荒波の上に存在するからこそ魅力的なのだろう。
0255文字
まみ〜
新着
ネタバレ謎多き絵師・岩佐又兵衛💡信長に謀叛を起こした荒木村重の子💡京の狩野工房で絵師としての修行を積みつつ、織田、豊臣、徳川と次々と為政者の変わる激動の時代の中、日々自分だけの表現、作品を目指す✊うん、良かった💡私は少ししか見たことはありませんが、やはりすごい絵師だと思います😌
0255文字
タイ子
新着
戦国時代~徳川まで、浮世絵師・岩佐又兵衛の半生の物語である。と、偉そうに書きながらも又兵衛の名前すら知らなかった私。本作に登場する彼に関わる人物たちの魅力と、又兵衛の出自がドラマチックで惹きこまれる。母が養母だと知った又兵衛、その養母も何者かに殺害されてしまうという中で絵に才能を見出された又兵衛は生まれつきの吃音のため、上手く言葉に表せない苛立ちがあった。それでも、彼の出会う師や恩人は生涯に大きな影響を与えていく。「百万語を費やすより一枚の絵の方が物を語る」時に胸を熱くしながら一人の絵師の生き様に感動。
タイ子

おはつさん、私もしんちゃんは苦手。。。(-ε-)

05/29 21:32
はつばあば

(笑)40も随分回った我が娘ですが、幼少の頃にチコちゃんやしんちゃんみたいだと家出したくなりますわ(^^;

05/29 21:36
17件のコメントを全て見る
0255文字
Willie the Wildcat
新着
運命に苦悩し、対峙した先に見出す想い。心がモノ(絵や浄瑠璃)となり、モノが心となる様。『遺』と『失』の人生模様。光吉/心願が暗喩、お徳/源兵衛が体現し、秀康/忠直/鶴姫の三世代の『遺』で確信した「心」。等伯/内膳/笹屋/蝶など記載の「モノ」からは、浄瑠璃・山中常盤との”再会”も『遺』也。厚みを増すのが『失』。大阪春の陣で又兵衛が直視した物心両面での『失』が、もれなく転機。故に、鶴姫がの父への「想い」という〆。”作り手”がいるからこその『遺』と『失』だと感じさせる。笹屋が語る「心地よい嘘」もその象徴也。
0255文字
vocal
新着
吃を気にして自分の思いを伝えられず我慢することが多かった又兵衛の人生。その分絵はたくさんの事を語っていたのかな?表紙になっている屏風絵はユーモラスで生き生きとしていて魅力的。他の絵も観たい🎵
0255文字
 ターさん
新着
『洛中洛外図』を描いた、岩佐又兵衛の物語である。吃音だったことから、「吃の又兵衛」といわれた。それにしても、この題材の作品数が多い。しかも、秀作が多い。国宝も重文も幾多もある。ちなみに、東博にある又兵衛の描いたものは国宝である。これを描くことができるのは、腕に覚えのある絵師だけの特権なのか。「吃は消えない。(中略)己には絵がある」これだけの絵が描ける。「ならばもう、恐れるものは何もなかった」以前、地元の林原美術館の所蔵品を観たことはある。常設展示される作品ではなく、次に眺められるのは何時になることやら。
0255文字
みっちゃん
新着
絵師岩佐又兵衛を初めて知ったのは、「奇想の系譜」で紹介されていた『山中常磐』その生々しく凄まじい描写から感じられたのは異様な執着や嗜虐。でも、作者の描く又兵衛はそんな印象とは違っていた。織田信長に謀反を起こした武将の子として生まれながら、その出自を知らされず、でも知らぬうちにその父の存在に人生を翻弄され、父を恨みながらもたった一つの拠り所である絵をひたすら描き続ける事で気がついた父の自分への思い。迷い戸惑い、回り道をして辿り着いたその境地が静かに胸に沁みていくように感じた。
0255文字
non☆non
新着
みんな、いろんな後悔もあるけれど、それを抱えたまま、自分として生きていくのね。
0255文字
れんげ堂
新着
孤独で貧しく、下働きをしながら絵を学び土佐派、狩野派、長谷川派と派閥を超えて交わり自身の才能のみで絵師として立っていく。荒木村重の息子という出自、亡き父親の縁での武将たちとの関わり、その武将たちも時代に翻弄されていく。もがき苦しみながら独自の絵を描いていく。岩佐又兵衛という名前を初めて知った。面白かった。
0255文字
なゆ
新着
岩佐又兵衛。絵師の話を読むのはもともと好きだけど、これは“荒木村重一族の生き残りが絵師に…”とあったので、ますます気になった一冊。それだけでも数奇な人生だが、吃音のため(しかも大人になっても治らず)余計に苦難の道のりに。絵師は絵だけを描けばいいというものでもなく、その絵について話さねばならぬことも多いのだ。どこでも絵の腕はかなりのものなのに、吃に足を引っ張られてしまうことに歯がゆくてならない。ここでは越前で山中常盤絵巻を描き上げたとこまでだが、どうやらこの先江戸にも招かれ絵師人生全うできたようで良かった。
なゆ

はじめに土佐光吉、狩野工房に世話になり、内膳工房にも入り、長谷川信春に痺れ…といろんな絵師が。岩佐又兵衛も初めて知った。さーて、そろそろ等伯も読まないとな…。

03/05 17:14
0255文字
NAO.I
新着
信長に叛旗を翻した荒木村重一族の生き残り、岩瀬又兵衛。織田~豊臣~徳川と揺れる世をいかに生き、絵師への道を拓いたのか。本作の魅力はスリリングな構成、そして最大の肝は人との縁を丹念に描いている点かと。史実をベースに創り紡がれたドラマが、吃がひどく会話を苦手とした又兵衛の心の機微を掬い取ると同時に、時代のうねりをも写し出して。又兵衛の心を動かしたように、読み手にも沁みる名言も数多い。又兵衛の数奇な運命に、縁の重さに思いを巡らせた。 3月中旬から「MOA美術館」で特別展あり。ぜひ現物を拝みに行きとうございます。
青いうさぎ号

ものすごく面白そう!恥ずかしながら岩瀬又兵衛って人を知りませんでした(>_<) 読んでみたいです。ポチッといただきます✨

02/17 22:16
NAO.I

青うさ号さん、こんばんは。自分もこの絵師のことはまったく知りませんでした。が、実に興味深い人物で。がぜん、ホンモノの絵を観たくなりました。

02/17 22:25
0255文字
空飛ぶぺんぎん
新着
谷津さん初読み。絵には明るくないので岩佐又兵衛という絵師さんを全く知らない中で読み始めたのだが、気持ちの良い文章でした。この著者の他の作品も読んでみたい。いつか又兵衛さんの作品に出会えるといいなぁ。
0255文字
ハッピー
新着
【図書館】ダ・ヴィンチの新刊情報で気になった谷津矢車さん.戦国時代末期,母とともに寺で住み込みで働く又兵衛は,生来の吃音が原因でままならぬ日常を送っていた.そんな中,ひとりの絵師と出会った又兵衛は,絵を描く喜びを知る.寺を追われ京に逃れた又兵衛は,笹屋の紹介で狩野工房の外弟子となった.絵師又兵衛の一生を描いた1冊.
ハッピー

2021/20/2/図14

02/07 07:49
0255文字
あかまい
新着
昔は昔で随分ストレスフルな世の中だったんだなとしみじみ。生き辛さはいつでも、誰でもあって「難儀な己を抱えたまま、ふらふら生きる。」を自分もやって行くのだろう
0255文字
ハッチ
新着
★★★★☆荒木村重の子でありながら狩野派の工房で絵を学び、長谷川等伯の影響も受けた絵師、又兵衛の物語り。ひどい吃音で、他人からなかなか、理解されずそれでもひたむきに絵を勉強する様は敬意を抱く。狩野永徳、長谷川等伯の小説は読んだ事あるが、まだまた知らない絵師もいるのだなと思った。
0255文字
ソババッケ
新着
ネタバレ荒木村重の子で絵師の岩佐又兵衛の生涯。有岡城より落とされ、乳母のお葉を母と思い堺の寺で逼塞した。寺の障壁画を描く土佐派の絵に異常な興味を持つ又兵衛。京に移り狩野派へ入門、織田信雄の近習として仕え、大坂滅亡後は越前、松平忠直のお抱え絵師として仕える。忠直はその狂気ゆえに蟄居、豊後にお預けとなる。物語を貫くのは絵を描くことへの渇望、人との意思疎通に不自由な生まれながらの吃音、父・村重への怨恨などが・・。又兵衛の仕組まれたかのような人との出会い、お葉の死の真相など、その必然性がうまく語られないのが残念。★3.4
0255文字
好奇心
新着
数奇な運命を背負い生きた岩佐又兵衛、信長に敵対した荒木村重の子であり、匿われ市井の中で良く生き延びた、絵の天賦は誰のものを引き継いだ? 吃を持ち絵師の家系でもなく 自力で才能を伸ばした、織田信雄に仕え、後 結城秀康 松平忠直に仕えた、絵師として仕えたばかりでなく殿様に側に居られた隠れた才能があったのか? 豊国神社祭礼図・常盤 絵巻等、後世に評価された絵画を残した異能の絵師だったのか?
0255文字
trazom
新着
先月、京博の「皇室の名宝」展に出かけた。お目当ては伊藤若冲だったが、思いがけない収穫が岩佐又兵衛の「小栗判官絵巻」。その岩佐又兵衛を描いたこの小説は、伝承と創作を巧みに組合せて見事。荒木村重の子という出自、織田信雄や結城秀康、狩野内膳や長谷川等伯との関係などに加え、近松の「傾城反魂香」を踏まえた設定で、この奇想の画家の心の内を描き出してゆく。代表作である「洛中洛外図屏風」「豊国祭礼図屏風」「山中常盤物語絵巻」に至る展開は、推理小説を読むようなスリル満点。作家の想像力の巧みさに舌を巻く、面白い小説だった。
0255文字
バンスライク
新着
ネタバレ☆☆☆☆ 寺で母と働く吃音の又兵衛は、寺に来た絵師に絵を描くことを教えられる。しかし、ある日寺から逃亡し堺に移り絵師に弟子入するが母が何者かに殺された。荒木村重の子という出自に吃音で会話もままならず絵師としてなかなか目が出ない苦悩の多き岩佐又兵衛の奇異な半生を描きなかなかに興味深い。著名な武将・絵師とも絡みも多いがちょっと淡白で同じようなパターンのエピソードが多くて人間関係やストーリーに掘り下げ不足と見え難い感じもある。父と母への恨みと愛情、言葉で表現できないものを絵に込める創作シーンは良かった。
0255文字
オリーブ
新着
ネタバレ乳母、葉を実母と信じいつしか絵の道へ進む又兵衛は母を殺されいつしか父の存在を認識するようなり、絵の才能を発揮し独り立ち。あの壮絶な絵「山中常盤絵物語」は家康の孫、松平忠直から命を受け娘、鶴姫に送ったものだったのね。狂気に満ちた父への憎しみを抱き育ってきた鶴姫。あの絵は同じ想いを抱く又兵衛が双方の母の想いを重ねて描き、そして、彼女も根底にあった父の想いを知りたいと思う。荒木村重が妻だしを見捨てその子岩佐又兵衛はかろうじて生き残ったから父への憎しみからあのような凄まじい絵を描いたとの私の認識を覆された本だった
0255文字
ゆか
新着
ネタバレ荒木村重がなぜ謀叛をおこしたのか、以前はずっと疑問だったが、大河黒田官兵衛を見た時、心理描写が細やかに描かれており納得がいった。そして有岡城の惨事を又兵衛は見ていて、だから山中常磐をあのように悲惨に描いたのだと思っていたが、この本を読むと谷津さんの捉え方が正解だ。出自を隠して違う場で頭角をあらわしてきた印象だが、まわりは村重の子という事情を知っており、それゆえ優遇されてきた面もあったようだ。又兵衛の絵をみるといつも泣けてきてしまう。平成28年岩佐又兵衛展の図録を見ながらの読書であったが、洛中洛外図屏風→
ゆか

→では、笹屋さんを探すことはできなかった。自分しか見えていなかった又兵衛が、工房一人一人に目をむけるようになっていくところがよい。本文より「どんな人間でも、手前のことはどうしたって許せないもんだと、私は思うよ。難儀な己を抱えたまま、ふらふら生きる。それが人間ってもんさ」「又兵衛よ、絵は、難しいな。心を込めても伝わらぬ。それどころか、絵師が込めてもおらぬ思いばかりが取り沙汰される」「現よりよほど麗しい嘘もある。そして、現よりも守りたかった嘘もあろうよ」

11/16 16:33
ゆか

「歩きたい道を歩くしかないのです。後悔はあるでしょう。けれど、己の歩きたい道を歩いた者だけは、どんなに端から見て惨めでも、あるいは後悔に見悶える日があったとしても、それでも胸を張って生きることができるのです」

11/16 16:33
0255文字
tomo58
新着
ネタバレ相性のいい作家谷津矢車さんの本。興味深い物語だったが、岩佐又兵衛という絵師のことを知らなかったので、検索しながらの読書。世は、織田、豊臣、徳川と移り行く時代、織田を裏切った戦国武将の子として生まれ、寺に身を隠し、乳母に育てられた又兵衛。自分の生い立ちを知らず、吃音で人と話すごとが苦手な又兵衛は、ひっそりと寺の下働きをする。そんな彼に転機が訪れたのは、寺の絵を修復に来た土佐光吉の暇つぶしで、絵の指導を受けた時だった。絵に強く惹かれるものを持った又兵衛は、狩野派の工房で絵を志す。暗い情念が奇想の絵を作り出す。
0255文字
Totchang
新着
過分にして知ることのなかった岩佐又兵衛。この絵師の波乱に富んだ人生を描いた作品。谷津矢車氏は狩野永徳、蔦屋重三郎、歌川芳藤などを題材にした小説も書いておられるのですね。楽しいと思って筆を取っても必ずしも上手には描けない絵画ですが、好きだからこそもっと上手に書きたいとの情動が沸き起こる絵師の姿と、時代に翻弄される庶民を巧みに描き出しておりました。ネットで調べると重要文化財である山中常盤物語絵巻が色鮮やかに現れます。熱海にあるMOA美術館でいつかは現物を目にしたいものです。。
0255文字
ねこはひるね
新着
謎多き奇想の絵師又兵衛の半生が史実に沿って描かれる。器用に立ち回ることはできず、吃音が追い討ちをかける。しかし、「難儀な己を抱えたまま、ふらふら生きる。それが人間ってもんさ」お蝶さんは言う。この物語のその先、又兵衛はどう生きたのか?姫の運命は?絵巻の実物はどのようなものか?知りたいことが次々と溢れ出る。読み応え十分な上に、物語の余白を埋めていく読後の愉しみも味わえる作品。
0255文字
全44件中 1-40 件を表示
絵ことば又兵衛評価88感想・レビュー44