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ドイツ統一 (岩波新書)

感想・レビュー
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紙狸
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2020年刊行。原著の初版は2011年刊行。訳者解説によると、著者アンドレアス・レダー氏は「ドイツで最も精力的に活躍している現代史家のひとり」だという。東西ドイツ統一を、国際関係、東ドイツ国内、西ドイツ国内という多角的な視角から描く。統一の対外的側面(統一ドイツのNATO帰属問題など)は、東西ドイツと戦勝4か国(米英仏ソ)による「ドイツに関する最終規定条約」で決定された。統一プロセスをすべての交戦国との講和会議で座礁させないために、選ばれた道だった。
0255文字
日の光と暁の藍
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ドイツ統一における様々な論点を一冊にまとめたのが本書。様々な論点を概説してくれ、お手軽にドイツ統一について学ぶことが出来る。反面、一つ一つのトピックについての掘り下げはあまりなされておらず、表面的な記述に収まってしまっている印象を受けた。歴史を記述する際に言えることは、国内情勢だけを記述していても浅い内容になってしまうことだ。外交、関連諸国の動向を踏まえた第四章以降は読んでいて充実していた。一つ言えることは、ドイツ統一は、統一に乗り気でなかった戦勝国を跳ね除け、民衆の力で勝ち取った運動だったということだ。
0255文字
宙太郎
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生来のノンポリ故、1ページ目から目を白黒させながら読み進んだ。一口に”ドイツ統一”とは言うけれど、そこには東ドイツの人びとの意志だけではなく、ソヴィエトの抱える問題やゴルバチョフ氏の独特な政治手法、西ドイツの微妙な立場、東欧諸国の苦悩、米英仏の思惑などなどが複雑怪奇に絡み合っていたんだなぁ。ベルリンの壁崩壊こそ歴史上の快挙だと思っていたが、本当に大変なのはその後だった。ゴルバチョフ氏の東ドイツNATO帰属了承を保護にしないために西側が用意した”インセンティブのパッケージ”の妙策には思わず唸ってしまったよ。
0255文字
ky
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89年、90年の出来事、私事多忙で世界情勢に気が回らず?記憶微か。ベルリンの壁崩壊から統一まで1年という短期決戦だったとは。ソ連指導者の交代でチャラになる危惧。東独SED体制崩壊。1930年代の前任者たちの状況(ヒトラに対する英仏宥和政策の破綻)に再び陥ることを恐れる。米国以外はドイツ統一に対して懐疑的、拒否。東独人の多くは責任をコール政権に委譲、すぐさま裕福になることを国家と西側に期待。東部領域からのドイツの別離、数世紀にわたってドイツ人が住んでいた領域が放棄された。ソ連側へ統一の代償、150憶マルク。
0255文字
馬咲
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ソ連の混乱を皮切りに、社会主義への不満の噴出から当初は東ドイツとしての民主的進歩を求めた市民運動が、次第に統一という選択肢を巡り分裂する様、統一へ向けた西ドイツと戦勝国の利害調整など、時の国内外の動向をコンパクトに描出。東独政府に自力再建の可能性が望めず悠長な選択肢は現実的では無かったとはいえ、西独への吸収としての統一が、東西間の数々の差異緩和への見通しが不明瞭なまま急速に進んだ印象を持つ。このことが、現在もなお根強い旧東独側地域住民の政治・経済・文化諸側面での心理的ギャップをより強化したのかもしれない。
0255文字
モリータ
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◆原著 "Geschichte der deutschen Wiedervereinigung"(「ドイツ統一の歴史」)は初版2011年、改訂2版2018年、改訂3版刊2020年。翻訳(本書)は2020年岩波新書刊。◆原著は「あるテーマにつき、当該分野の権威が一般向けに新書サイズ・100ページ余りで解説する」叢書の一冊◆著者は1967年生のドイツの現代史家。ドイツ統一史研究を始め著作も多い。中道保守のキリスト教民主同盟(CDU)の熱心な党員で、政治活動にも積極的にコミットしているとのこと。(訳者解説より)
モリータ

…北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大へのきっかけとものあった。そしてそれらは、ユーロ危機やウクライナ危機といった、現在のヨーロッパが抱える難問の遠因にもなっている。つまり、ドイツ統一は、冷戦や東西分断の「終わり」を象徴するだけでなく、現代の「始まり」に位置する出来事でもあるのだ。それゆえ、東西ドイツの統一過程をあらためて歴史として振り返ることは、歴史的好奇心を満たすにとどまらず現代世界の出発点を知るという意味でも重要だと言えよう。そして、最新の研究に基づきつつ、ドイツ統一の全体像を簡潔に描き出した(続

09/05 15:31
モリータ

…本書は、そうした要請に応えるものである。(訳者あとがき、182頁)◆他、興味深かった箇所;東ドイツの国営企業の民営化を担った信託公社の規模と誤算(154-157頁)。「期待された収益と実際の信託公社の決算との差は、8300億ドイツマルクに達したのだ。そしてそれは、ドイツ統一がもたらした挑戦の規模を表すとともに、歴史上類を見ない事態を前にして、評価を誤ったことを示している。」◆東ドイツの就労者にとっての企業の、社会的共同体の場としての意味と、市場経済への転換による組織としての企業への影響(164頁)

09/05 15:35
4件のコメントを全て見る
0255文字
politics
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東ドイツ内の市民運動による局面と、西ドイツ政府及び国際政治アクターによる二つの局面の複合により起きた「ドイツ革命」としてドイツ統一を捉えた一冊。当初はゴルバチョフを含めアメリカを除く多くの西側諸国も統一に否定的で、実際に統一できたのはかなり偶然の産物だと言えよう。統一後の諸問題は今現在でもドイツ、ヨーロッパ政治に大きく影響を及ぼしており、本書は侵攻前の為言及はないが、露宇戦争の遠因になり得る部分も含まれているだろう。批判部分もあるが、入門書としては格好の書となるだろう。
0255文字
千住林太郎
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ドイツ統一は冷戦の終焉にして、現代ヨーロッパの始まりでもあった。本書はこの劇的な出来事をコンパクトにまとめた良書である。刻々と変化する状況を東ドイツ市民、東西ドイツ政府、米英仏ソ政府など様々な視点で描く手際はもちろんのこと、1848年からの理想である自由化と民主化を目的としたドイツ統一の歴史の結実として東西ドイツ統一を評価する点が興味深い。ただ、訳者が指摘するように西側の成功譚としてのドイツ統一という視点は東側理解としての問題を含むだろう。ともあれ、実に面白い歴史書であり一読の価値はある。
0255文字
うたまる
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「東ドイツは、われわれソ連なしでは、ソ連の力と強さがなければ、存在することができない。われわれなくして、東ドイツは存在しないのだ」(ブレジネフ書記長)……1990年のドイツ再統一の解説本。本書を読む限り再統一の原動力とは、巷間有力視される東ドイツ市民の革命運動でも西ドイツコール首相の政治的冒険でもなく、ソ連とゴルバチョフの混乱によるもののようだ。とはいえ、その機に乗じることができたのは見事としか言いようがない。チャンスはプーチン登場までの6年間だけ。それをむざむざ見過ごした東アジアの島国は羨むより他ない。
0255文字
もくつよみ
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ドイツ統一を、東ドイツの体制崩壊の局面と西ドイツへの編入の局面に分けて、ドイツ国内・国外双方の情勢の側面から描いている。ベルリンの壁が崩壊して何やかんやあって東が西に組み入れられた、くらいの雑な認識を改めてくれた。崩壊期にあった東ドイツ国内の諸勢力だったり、ベルリンの壁崩壊以後、後手に陥った東ドイツ政府に対してイニシアチブを発揮した西ドイツ政府だったり、ゴルバチョフ時代のソ連だったから成し遂げられた統一だったり……etc。
もくつよみ

筆者はドイツ統一を成功として描くものの、尋常でない経済の混乱や今もなお続く旧東側の旧西側に対する劣等感がAfDの台頭を招いているという、統一は必ずしも成功だけでは語れないことを訳者が指摘してくれている点もこの本の良いところだと思う。

11/02 16:18
0255文字
coolflat
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米ソ英仏のうちドイツ統一に対し、ソ英仏は拒絶的な態度を取っていたということを知った。これら三国は統一によってドイツが巨大国家になることを恐れたのである。冷戦が崩壊しつつある中、統一を妨げることは既に不可能になっていた。そこで三国のうち特に英仏は妥協案として欧州統合の深化を進めた。統一ドイツを(将来の)EUの一部にすることで、ドイツという巨人を大人しくさせるという魂胆であった。そのための中心的な道具が欧州統一通貨であり、それによってドイツ・マルクの経済的優位とドイツ連邦銀行の高金利を打破するつもりだった。
coolflat

EUをつくりそこに取り込むことでドイツを抑え、欧州統一通貨をつくることでドイツ・マルクを弱めるはずだった。ドイツを巨大国家にさせないための方策は果たして30年以上経った現在を見ると成功したと言えるのか。EU加盟国家は通貨発行権を持てず、特にギリシアは債務危機を迎えた。ドイツはユーロに取り込まれる見返りにユーロの制度設計を求めたという。独り勝ちを防ぐためにユーロに取り込んだはずが、皮肉にも取り込んだ事でドイツの独り勝ちを許してしまった。現状、EUで最も成功しているのはドイツであり、方策は破綻したと言える。

10/13 19:43
coolflat

182頁。ドイツ統一は、冷戦の終焉を象徴する出来事であると同時に、現代ヨーロッパ、ひいては現代国際政治のあり方を規定するものでもあった。たとえばそれは、共通通貨をひとつの軸とするEUを生み出すとともに、NATOの東方拡大へのきっかけともなった。そしてそれらは、ユーロ危機やウクライナ危機といった、現在のヨーロッパが抱える難問の遠因にもなっている。つまり、ドイツ統一は、冷戦や東西分断の「終わり」を象徴するだけでなく、現在の「始まり」に位置する出来事でもあるのだ。

10/13 19:44
0255文字
ふぁきべ
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新書なので軽い気持ちで手を出したが、思った以上にアカデミックで手ごたえのある内容だった。東欧の共産圏の崩壊前夜の状況の説明から始まり、東独の当時の状況や政治的な背景を説明しながら東独崩壊と西独への吸収という形でのドイツ統一の流れがアカデミックかつ分かりやすく書かれているので、ドイツ史や東欧史に興味のある方にはお勧めの一冊。ただ、ドイツの一般読者のために書かれた本なので、特にドイツに詳しいわけでもない私としてはやや説明不足に感じる部分があったのは事実。それでも、訳者の解説も含め、充実の内容。
0255文字
taras_saco
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映画「グッバイレーニン!」を観て、東西ドイツ統一の歴史をなにも知らないなぁと思って本書を手に取った。様々なアクターが想定以上の混乱のもとに動いていることが良くわかる。一方で、東ドイツの理解が単純すぎると訳者解説にもあるように、東ドイツ内の大衆の動きが分かりやすすぎるようにも感じた。
0255文字
本命@ふまにたす
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ドイツ統一の過程と結果について、統一前の状況から、統一後の経済問題についてまで、コンパクトに論じる。翻訳書ならではの文章の硬さは感じるが、簡潔な叙述は読みやすく有益。
0255文字
周知す
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ネタバレ179頁「民主主義と豊かさ、市民の自由と自己責任は、『西側の価値』であり続けるし、それどころかまさに東西対立の終焉後も、不断の課題であり続けているのである」182頁「東西ドイツの統一過程をあらためて歴史として振り返ることは、歴史的好奇心を満たすにとどまらず、現代世界の出発点を知るという意味でも重要だと言えよう」アメリカ、中国、ロシアを代表とする国際的な対立を解決する方法はドイツ史に隠されているのではないかとする著者の視点に驚きました。参考文献を挙げるだけでなく紹介しているので他書よりドイツ史の知見を深めら
周知す

れると思います。

02/03 07:29
0255文字
バルジ
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市民革命としてのドイツ統一、国際政治の中のドイツ統一という2つの側面から東西ドイツの統一を描く良書。硬直化し変化する情勢へ全く対応出来なかった東ドイツ指導部と、突然の展開に困惑しながらも周辺国の理解を得つつ情勢を柔軟に見極め統一の主導権を握ったコール首相率いる西ドイツ指導部の姿があまりにも対照的である。当事者の誰もが予期し得なかったベルリンの壁崩壊とそれに伴う東ドイツ国家体制の融解はシュタージを始めとする抑圧体制だけでは国家の変革は成し得ず、むしろ自壊を促進したとも言えるであろう。
0255文字
cm
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果たしてどこまで覚えているか定かではないが、かなりするすると読めた。もっと知りたい、ドイツの現代史。 訳者の後書きにもあるように、かなり西ドイツ政府寄りな描き方には不勉強ながら首を傾げたりもしつつ。
0255文字
HaruNuevo
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自分にはドイツが2つあることは若い頃は所与の事実だった、と書くと歳がバレるが、運命の1989年11月、ドイツ隣国のオーストリアで、壁が崩壊していく様をテレビで見ていたのだ。あの時はドイツ語習得が目的での滞在だったため、日々の宿題に追われてなかなかゆっくりと新聞や雑誌を読む時間が取れなかったのが返す返すも残念。ドイツ統一を、SED独裁体制の崩壊に至る市民革命と、そこから僅か一年で成し遂げられた西による東の吸収という形で実現したドイツ統一の2段階に分けつつ、国際政治の背景の中に置いた形で概説。良書哉。
0255文字
atlusbou
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革命が起きる東ドイツと、統一に向けて動き始める西ドイツ、そして統一不可避となったドイツに対してそれぞれのアプローチを試みる各戦勝国。国内外の政治面、経済面で歴史的事件を分かりやすくまとめてあります。ドイツの統一は有名ですがベルリンの壁崩壊という単語くらいしか知らなかっため面白かったです。
0255文字
ハロー世界
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東西ドイツ統一の過程が、国内外の事象と関連させて流れる様に叙述されている一冊。 ゴルバチョフの動揺のスキをついてボン政府が介入する様子や、ベルリンの壁が崩壊する過程に、とても躍動感を感じてのめりこんで読んでしまった。 冷戦終結のきっかけ自体はゴルバチョフの掲げたペレストロイカだろうが、東西ドイツの統一はそれに更なる拍車をかけたのだと改めて感じた。 ドイツ統一に興味がなくとも、冷戦末期の諸外国の状況を知ることができるため、その点からもオススメな一冊。
0255文字
K
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小学校低学年の頃訳のわからないまま見ていた出来事をこうして整理された本で読んでみる。統一前後の国際情勢、各国の思惑、東ドイツ政府の現実感覚のなさ、そして統一後白日のもとに晒された産業空洞化や国際競争力の欠如が旧東ドイツ市民の失望を招くまで…入門編的に多角的に教えてくれる。「再統一によって適応と方向感覚の危機に襲われ、安心感を決定的に喪失していた東ドイツ人は、国家および西側がすぐに豊かにしてくれるという非現実的な期待を抱いた」という一説に胸が苦しくなる。やはり戦争はいけないのだという感想に至ってしまう。
0255文字
Hiroki  Nishizumi
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振り返ればスムーズに進んだ統一が当時違和感なく受け入れていたことも不思議だ。さもありなんな理由が多く書かれていた。国ですら変わるものなのだなぁ。
0255文字
montetsutsu
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東西ドイツ統一の経緯が簡潔に書かれてる。翻訳物だけど、読みやすい。東西ドイツ統一された頃は高校生でそれなりに興味は持っていたものの、ベルリンの壁崩壊後の動きなどあまり追ってなかったので面白かった。あと、国際政治の動きでフランス、イギリスが統一ドイツの誕生にすごい警戒をしていたというのも面白い。統一後の東西格差の話などもっと掘り下げて知りたくなる。
0255文字
PETE
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ドイツ統一過程に関する政治史の本として、基本的なベースラインをつかむのにいい本だった。訳者の解説が言いたいことを言いつくしていた上に、日本人向け文献解題が充実していて素晴らしかった。
0255文字
nagoyan
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優。私たちには「ベルリンの壁崩壊」として、冷戦の終結と記憶される歴史が、1989年90年の「ドイツ革命」として語られる。革命は体制内改革として始まったが、東ドイツの民主化を志向した反対派の運動、東ドイツの解体を厭わない広汎な東独大衆に引きずられ、複雑な国際情勢の下、急激な統一に帰結した。統一後の、東独社会の社会、経済も言及される。現代欧州の出発点。
0255文字
さとうしん
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ドイツ統一の過程を東西ドイツの国内と国外双方(三方)からの視点で描いているが、統一に際して過去の「強大」であったドイツの歴史的な記憶が呼び覚まされ、近隣諸国あるいはアメリカやイスラエルから反発や懸念が出されているのが面白い。結語で著者がまとめるように、近代ドイツは確かにナポレオンの時代以来戦争とともにあったのである。
0255文字
おやまだ
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この書は①東ドイツ崩壊と②東ドイツの西ドイツへの編入―ーについて描かれている。なぜ②が可能になったのかを外交関係(ゴルバチョフのあいまいな態度、ベルリンの壁崩壊、コールの10項目発表、サッチャーの危惧)から描き出したこと、そして編入という選択とそのコストなどが解説されて腑に落ちる。一方①については、なぜ暴力なしに「自壊」したのかがもうひとつわからなかった。訳者も指摘しているように、下からの革命という側面が平板なこと、そして個人的には軍隊や秘密警察の動きが分からなかった。いずれにせよ概説としては良書。
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aruku_gojira
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第二次世界大戦後に米英仏ソによって分割占領されたドイツ。冷戦の激化で、米英仏が占領していた地域に成立した西ドイツと、ソ連が占領していた地域に成立した東ドイツが、1989年から1990年の2年ほどで平和的に統一された歴史過程を、東西ドイツ国内の政治社会情勢、国際情勢から簡潔に描く。訳も読みやすい。 旧東独地域の住民で渦巻く不満に対して、著者のレダーが「第五章」で、東独社会・経済が統一後に自由度が増し、経済的に豊になったのだからと、旧東独住民の見通しの甘さに求めていると読める部分があるが、少し違和感。。。
0255文字
takao
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ふむ
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崩紫サロメ
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1990年のドイツ統一を対内的側面と対外的側面を総合して、しかも学術的なレベルで叙述した希少なものといえる。また、ナポレオン時代からのドイツ中長期的な市民運動の流れの中に1989/1990を位置づけている。レダーの著作が日本語に訳されるのは始めてということもあり、その経歴や政治的スタンスも詳細に解説されている。翻訳では「ドイツ統一」となっているが、原題はWiedervereinigung(再統一)であり、その2つの語の政治的姿勢の違いなどの解説もあり、充実した新書。
0255文字
たけふじ
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ゴルバチョフは、ソ連を解体するためにペレストロイカをしたわけではない。同様に東ドイツも、その改革派ですら東ドイツを解体するために改革を始めたわけではなかった。89年11月のベルリンの壁崩壊、雪崩を打ったように統一に進む。ただし、市民革命として始まった統一に向けての動きが、同月下旬にコールが「10項目計画」を発表して以降は西ドイツがイニシアティブを握るようになるという変節を筆者は見逃さない。統一後の国際枠組みを決める場に西独は臨席できても、東独は臨席できなかった。実質的は2+4ではなく2+1との分析も納得。
0255文字
kzm
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分断されていた国が再びめでたく統一された、程度に考えていた。しかし、全く体制の異なる国同士が一気に統合するというのは、予想もつかない程困難なことであったろう。また、他のヨーロッパ諸国にドイツ統一への警戒感があったことも知ることができた。
0255文字
MUNEKAZ
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東西ドイツの統一について簡潔な概説書。偶発的に起きたベルリンの壁崩壊による混乱から、西独のコール政権が事態のイニシアチブを握り、統一まで持ち込んだという筋書きか。ただ訳者のあとがきで、著者の政治的なバイアスにも触れており、あくまで勝者(西ドイツ側)の視点だということを留保したほうがよいのかも。また壁崩壊までの東独の「平和革命」と、その後の統一の動きを峻別しているのも特徴で、前者で見られた東独の知識層と大衆の連帯が、後者の時期では破綻して、統一に煽られた大衆の勢いに知識層が埋没していくのが印象的であった。
0255文字
紅令
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訳者解説に引っかかる部分があったが、岩波にしては、わりと政治的・思想的な偏りの少ない本だったのではないかと思う。 ドイツ統一の過程を、主要な「アクター」の振る舞いを通して記述した本。そのアクターとは、市民運動、ソ連/米国/英国、西ドイツ政府である。
紅令

ゴルバチョフが環境を準備し、市民運動や脱出が崩壊に火をつけ、ベルリンの壁が崩壊し、米国英国仏国と協調しながら、コールがイニシアチブをとって、東ドイツの吸収・合併を進めた、という話である。

10/22 23:57
紅令

ヴェルサイユ条約からヒトラーの出現、そしてWWIIへという流れのトラウマが当時はまだ生きていて、なんとしてでも平和理に統一を完了せねばという恐怖心が各国の政治家にあったので血を流さずに済んだのではないか。ヴァイツゼッカーの有名な演説の後でもあり、地の利/人の和/天の時が揃ったのだろう。

10/23 00:10
0255文字
わび
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後世の目から見れば(特に同時代を生きていない自分などは)、東独の経済的苦境から統一、ソ連崩壊まで一続きのもののように見えてしまうのだが、実は決してそうではない。突然国境が開いた時、誰も統一に至るプランを持たなかったし、ソ連という最大の拒否権プレイヤーは依然健在だった。本書は統一までの道のりを89年の「平和革命」と再統一プロセスに分け、東独内の進展と外的条件の変化をコンパクトに描き切る。基本的には好機を逃さずに迅速な統一に導いた西独の「成功物語」として描かれるが、30年を経てやや割り引いて見るべきか。
わび

加えて、巻末の訳者解説が非常に良く、ここを最初に読めば本書の位置付けが明確となる。文献紹介も豊富で親切。

10/22 22:57
0255文字
ジュンジュン
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あの日が想い出された。「おい!すごいぞ、下りてこい」父親に呼ばれて階下に行くと、あの有名なシーンがテレビに映し出されていた。1989年11月10日、ベルリンの壁崩壊。当時、地球儀に載っている国が無くなるなんて考えたこともなかった。本書はそんな追憶を呼び覚ます、ドラマティックかつダイナミックなドイツ統一をわかりやすく描く入門書。訳者によれば、シンプルまたは肯定的すぎるきらいもあるようだが、僕的には丁度良かった。今も、応接間には埃を被った地球儀が置いてある。色あせた西ドイツ、東ドイツ、ソビエト連邦の文字。
0255文字
yap
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東西ドイツ統一から30年。冷戦終結からベルリンの壁崩壊までは本当にあっという間で、指導者たちには即時判断と、リーダーシップの発揮が不可欠だったことと思います。東ドイツの国境開放は全く意図されたものではなく、旅行法改正時に誤解を招くアナウンスが引き金になったとは知らず、驚きました。 事前知識が少ないので一冊まるごと理解することは出来なかったけれど、ドイツと周辺国の歴史を知る良い機会になりました。
0255文字
ミント
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★★★★ 革命前夜から統一までの流れが東西ドイツそれぞれと関連国のソ連、アメリカ、英仏の反応を交えながら概説されている。
0255文字
skunk_c
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ちょうど統一30周年を迎えた頃に翻訳なって出された概説書。自分が同時代に生きていた海の向こうの出来事を、すっきりとまとめてもらった印象。ドイツ内の政治として、必ずしも西ドイツとの統一を望んでいなかった東ドイツ反体制派を、国境や壁が崩れて実際の西ドイツの繁栄を見てしまった大衆が飲み込んでいくさま、国際的には東西の庇護者であるゴルバチョフとブッシュの「合意」が決定的であったこと、そしてこのふたつの事象を絡めながら西ドイツのコール政権が統一にまとめ上げていったというところか。見取り図を得るには最適の書と思う。
0255文字
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ドイツ統一 (岩波新書)評価75感想・レビュー43