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火定(かじょう) (PHP文芸文庫)

感想・レビュー
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みのくま
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読んでいて死臭が鼻につく程の残酷描写が本作全体を覆っている。天平年間の天然痘パンデミックを描く本作は、老いも若きも貴賎も関係なく平等にそして簡単に人が死んでいく様を生々しく描写する。他方でコロナ禍を経たぼく達は本作をフラットに読む事は不可能だろう。感染源である新羅への憎悪はリアリティを持つが一人の煽動者によってそれが生まれるとは思えない。またパンデミックに勇敢に立ち向かうヒロイックな医師像も想像する事が難しくなった様に思う。コロナ禍前に読んでいたならばきっとカミュ「ペスト」に匹敵する傑作だったかもしれない
0255文字
takao
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ふむ
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ちーちく
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実際に起きた天然痘を題材にした歴史小説。 目に見えないが圧倒的な力で迫ってくる脅威を前に、それに立ち向かう人もいれば、混乱に乗じて金儲けをたくらむ人、神に縋る人と様々。でも、こういった反応は現代社会においても同じで人間の本質は変わらないのだと思ってしまう。 出てくる用語や人名がとっつきにくく、おぞましい情景の描写もあったりするが、そんなことは些末なこと。「人間」というものをよく描いていると思う。 これがコロナ前に書かれた小説ということにも思いを巡らせてしまう。
0255文字
maririn
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天平時代の天然痘パンデミック小説。 凄惨な疫病と状況、人間の深層心理が凄まじい筆力で描かれ圧倒される。 妄信、悪知恵、暴力、憎悪などパニックによって人々の負の感情が増幅され、制御不能に陥るさまは衝撃的。 物語の展開も鮮やかで、最初から最後まで没頭出来る傑作。
0255文字
のんちゃん
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時は聖武天皇の世、天平9年、寧楽(奈良)の都の施薬院(庶民用の慈善病院)に勤める21歳の名代は、下級役人で出世の道のないこの院の勤めに嫌気がさしていた。が、そんな中、後に人口の30%が死亡したと言われる天平のパンデミック裳瘡(天然痘)が蔓延する。溢れる患者、庶民の間のデマ、イカサマなお札の出現等を通し名代は人、生、死の意味を深考する様になる。いわれなき罪で医師を免じられた諸男と共に医師の在り方にも名代の思いは至る。火定の意味を知らなかったが、本書全体に流れる作者の情熱から、この題名は最適であったと分かる。
0255文字
tsunemi
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ネタバレ権勢を誇る藤原四兄弟始め、畿内だけで人口の1/3を死に至らしたという天平の天然痘。そこで孤軍奮闘する里中医の助手、羨まれ嵌められ獄に繋がれ復讐に燃える天皇のお抱え医。21人の子のために命を捨てる隆栄、しかし現実は…。澤田さん3作目だが圧倒的No.1、澤田作品外れなし。地獄と化した都での悲劇の嵐と一筋の光明。名言「医者とは病人の死に意味を与え後の世に語り継ぐために存在する」「医者は命を救うのが最大の復讐」今年1.2を争う読後感。本当によくも作品にしました。
0255文字
四男の母
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天然痘のパンデミックの話。施薬院や街中でどんどん死者が増えていく様子は恐ろしい。医療の現場で戦っている人たちがコロナ禍のようだった。冤罪で獄囚となった諸男は、恨みや復讐のため生きお札を売る悪事にまで手を染めて暴動に参加してしまいあまりにも愚かだった。
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ハル
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奈良時代の天平6年に起きた天然痘によるエピデミックを題材とした作品で、施薬院(民衆向けの医療施設)の役人と、理由なき罪で立場を追われた医師の二人が主人公となる。人口の25~35%が亡くなったという、なすすべもない状況でどう立ち向かっていくかというところに興味があったが、とにかく天然痘についての筆致がすさまじい。新型コロナの時期に買ったのだが、当時の状況だと読む気にならずずっと「積読」だった。直木賞候補になったというのも納得の作品であった。
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gushwell
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奈良に住む人々の3割が亡くなったと伝えられる天平9年(737年)の天然痘パンデミックを描いた小説。これが新型コロナが流行る前に書かれたものだというのが凄い。貧しい民のために、疫病と闘った施薬院の人々を中心に、医師とは何か、人々はなぜ生きるのかを描いている。目を覆いたくなる様な悲惨な描写もあるが、それがより真実味を出していると感じる。この作家さんの他の作品も読んでみたくなった。
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鈴子
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奈良時代の天然痘パンデミック。新型ウィルスのコロナ禍を体験してきたので、リアルに迫るものがあった。特に医療従事者においては、昔も今も変わらず、仕事とはいえ目の前の感染者に向かう姿にはあっぱれ。多くの感染者や亡くなった者たちの先に現代医学、医療の道が開かれ、またこれから先も医療の進歩が繋がっていくのだなと感慨深く読みました。
0255文字
香織
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記憶にまだあるあのパンデミック。何が正しくて正常なのか、わからなくなったあの3年を思い出した。
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yoshida
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ネタバレ澤田作品10冊目。 奈良時代の天然痘パンデミックの話。コロナ前執筆という巡り合せが素晴らしい。安定の筆力で3晩で読了してしまう。 施薬院の名代と冤罪で医師の地位を失った諸男の視点から都の混乱と地獄絵図、そして懸命に人々を救おうとする人々を描いていく傑作です。    ついつい痘瘡・裳瘡を画像でググってしまった。   ....(+_+)
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碧
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2014年に連載開始した天平時代の疫病流行を描いた物語とのことだが、まるでこのコロナ禍を予言するかのような…人間の業を描き出す怪作であった
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ぐちちち
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ネタバレ感染病と闘う医師、混乱の中で抗う都の人々の話だと思ってましたが、少し違って叙情的な流れで終了しました。 暴徒の中に飛び込むぐらいなら、悲田院の子ども達にもう少し踏み込めたのではと疑問ですし、治療法が実際にここまで劇的に効いたのか等疑問が尽きず。一歩手前でのめり込めないままでした。 お偉方の都合で左右されるのと、諸兄一人の屈託で左右されるのと、どう違うのか。持てる者の個人的事情で振り回される分には同じに見えました。
0255文字
もちこ
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「書店員は見た!」で紹介されていて読みました。澤田瞳子さんの作品は初めてでしたが、コロナ禍を体験した今、恐ろしさとリアリティと、立ち向かう人たちの迷いや強さが心に迫ってきました。迫力ある小説でした。著者の他の作品も読んでみようと思います。
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ぼっちゃん
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文庫で再読。天平の天然痘のパンデミックを描いた作品。この作品は2017年に刊行された本であるが、新型コロナのパンデミックを予見していたかのように医療逼迫、デマなどどの時代も同じで、治療にあたる医師たちの何とか助けたいとの強い思いに救われたのだと思える作品。再読でも非常に面白く、この作品で直木賞をとっても良かったのではと思ってしまった。【サイン本】
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たつや
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2024年149冊目。奈良時代、天然痘パンデミックと闘う医官たち。医学が発達していない時代の人間の生、業を通して、人生とは、人として生き抜くこととはどういうことかを深く考えさせられる
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武藤吐夢
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パワフルな筆致で描かれたのは、あの平成のパンデミックを想起される奈良時代の天然痘パンデミック。施療院という国家の医療施設の医師や助手たちの奮闘が熱い。感染した子供たちを倉に閉じ込めて殺すしかなかったエピソードや、冤罪で御典医を失脚された男が国家や民を恨み、民間信仰で民を騙し護符を売ったり騒動を先導したりとパンデミックの恐慌を煽る展開は熱い。医師とは何かという問いが、この物語には込められていて、この施設の長のカッコよさは、山本周五郎の赤ひげに出てくる新出去定のようでありました。おすすめの歴史小説です。
0255文字
駄目男
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先ず、この名前からして読めなかった。ひとみこでは可笑しいと思いつつ調べてみるに「とうこ」と読むんだね、知らなかった。次に劈頭からして難しいのでどんな経歴の持ち主かと思いきや、同志社大学大学院文学研究科博士課程前期修了だってさ。このぐらいの学歴がないとダメなのか。数々の受賞歴を経て本作を含め何度も直木賞候補になり、ようやく『星落ちて、なお』で受賞。なかなかの実力者だね、最近思うに女性の時代小説における躍進は目覚ましいものがある。併し、天平時代を扱った本は初めて読んだ。何から何まで現代とは用語が違うので
駄目男

かなり苦慮した。話は天平7年から同9年にかけて大流行した疫病(天然痘)を扱ったもので、史実に基いたものらしい。我が身を顧みず、治療に当たる医師たちと、混乱に乗じて、病に効くというお札を民に売りつける者「天平のパンデミック」を舞台に人間の業を描き切った長編でなかなか面白い。彼女の作品は歴史小説ばかりなので、まだ他の本が読みたくなった。

04/04 16:46
0255文字
halow
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あまりに現代に近い登場人物の価値観だとか、生活の描写を見るに、一応奈良時代とされてはいるものの、一種のファンタジー日本として見た方が良いように思えた。 作中で起きる出来事自体には迫力があり、構成もまとまっているものの、どの場面も説明的すぎるせいで、かえって作り物くささを露呈させているように感じられた。混沌とした時代を描くわりに勢いがなく、文章も丁寧すぎるように思える。
0255文字
源義
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よくぞ書ききったなと思えるほど、奈良時代の天然痘の猛威を正面から描いている。何気ない日常の光景から、じわりじわりと天然痘が広まり、絶望的な状況の中で、二人の主人公の二つのストーリーが絡み合う。解説でも書かれているが、パニック映画のような怒涛の展開。 ただ、この作品の映像化は無理だろう。
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はっせー
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歴史小説が好きな人や2020年のパンデミックを忘れたくない人に読んで欲しい本になっている!天然痘。歴史の教科書で習ったことがある病気であり現代では根絶されたものである。しかし過去の日本ではこの天然痘で多くの方が命を落とした。本書は奈良時代におきたパンデミック(天然痘の流行)を描いた作品になっている。ここで描かれるパンデミックのようすはまるで2020年と酷似している。私たちはこのような小説を読むことによって何を得れるか。そして次のパンデミックにどう備えるのか。そんなことを考えさせられる話であった。
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とんちん。
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美しすぎる…言葉遣い、息遣い、ストーリー展開、伏線回収。 パンデミックの世の中の混乱や闇、人々の心理を描きながら、複数の登場人物が最後にきちんとつながる展開。生きることの意味や、医療の意義について考えさせられる。数々の名文がある。途中、涙なしには読めない悲哀を感じる作品だが、最後が希望を持てる終わり方であるのは、さすが。圧巻。
0255文字
朗読者
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天平時代、奈良で発生した天然痘パンデミックを描いた作品。破船や熱源でも、絶叫し、白目を剥き、手指が変形するほど悶え苦しみながら死んでいく人々が描かれていたが、本作では積み重なった遺体の肉が溶け合いどの個体のものが判別できない、といった描写が度々あり壮絶であった。パンデミック下で命懸けで治療に当たる医者たち、ペテンを働く不届き者たち、不都合なことを隠蔽する役人たち、流言飛語に翻弄され暴走をしてしまう大衆。コロナ禍を思い出しましたね。人間は愚か。だけど七転び八起き。失敗は取り戻せる。やり直せる。
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spica
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ネタバレ奈良時代、天然痘パンデミックの話。古代までいくと遠すぎて、神話みたいなイメージがあるが、人間の根底にある思考や感情は現代と変わらないのだろう。しかし科学的知見に乏しい時代の病気は、どれだけ恐ろしかったことだろう。子どもたちが犠牲になるのが非常に悲しかった。
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鬼山とんぼ
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全巻読破を志す現役女流作家5人に入るが、ユニークな題材を取上げそれを軸にエピソード配置を優先する余り登場人物の設定が乱暴で、本作の名代や諸男のようにそりゃないわ、嘘だろーと口走ってしまうことも多々あり、読み進むのに抵抗を感じて時間が掛ってしまった。タイトルの火定の言葉はラスト間際で登場するが筋立てに宗教性が強いわけでもなく、題名は素直に『疫神』とした方がよかったのでは。疫神との苦闘の後にフニャフニャの名代の心が定まった。既作『仏師定朝』『夢も定かに』などにあやかり編集者と相談のうえ定の字を採ったのかなと。
yoshida

タイトル洞察深いですね。 あわや世界観破壊寸前のキャラがいてひやひやしますが、 私も澤田さん全巻読破途上です。

11/19 09:28
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キジ猫ハナ
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2023/74
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スキヤキ
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奈良時代に天然痘と戦う医師達のお話。凄まじい惨状で、実際に現場にいたら発狂しそう。
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chuji
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久喜市立中央図書館の本2017年11月初版。初出「文蔵」2015年10月号~16年10月号。加筆・修正。藤原氏が設立した施薬院の医師らが疫神(天然痘)の流行に奔走する姿を描く「天平パンデミック」譚。新型コロナウイルスパンデミックとオーバーラップする。タイトルの「火定」とは、仏道修行者が火中に身を投じて死ぬこととのことで、「水定」「土定」という言葉もある。
0255文字
しさあ
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奈良時代が舞台だが、「生と死」という現在に至るまで不変のテーマが作品を貫いているので読みにくさは薄い。主人公や医師たちの鬱屈、人間的な脆さを持ちながらも「生と死」に向き合う様子に胸が震える。きっと現代の医療従事者の抱えるものとそう変わりはないのではと思う。ただ、死の描写が凄惨すぎて…苦手な方はご注意。
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ranako
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すさまじい本だった
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moko-ta2
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GWに奈良へ旅行に行ったので手に取った本。天平時代、天然痘による寧楽パンデミック。その治療に懸命にあたる施薬院の人達。現代のコロナパンデミックを経験した身としては身近に感じられる話でもあり、医者として真摯に立ち向かう綱手と名代に心揺さぶられまくりでした。未知の病への恐れからくる人々の業や、医術とは何ぞや?という問題が丁寧に描かれていて最後まで飽きさせない、歴史エンタメ。フワッとした性格だった名代と憎悪の塊の諸男、2人の主人公も魅力的でした。面白かった!
0255文字
権之助
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人は生まれたからにはヵならず死にます。死ぬ時までにないをするべきか?どうせ死ぬのだから好き勝手にやりたい。あるいは自分の生きた証を残したい。人それぞれに考え方は違う。自分はどう生きるべきか、考えさせられる作品である
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大阪魂
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澤田さんの歴史本!さすが一気読み!奈良時代、藤原四兄弟が疫病で死亡って日本史でみたけど、その疫病「天然痘」が8万人の奈良人口の3割死なすほど猛威ふるった地獄絵を2人の主人公、施薬院の新米職員・名代と冤罪で侍医から追われた諸男を軸に描かはったお話!ちょっとええなあっておもた登場人物は次々、天然痘とかで退場してくから読んでてつらい💦一方、まじない札売って儲けまくろって悪いやつはなかなか退場せえへんしねー💦そんな中、施薬院の医師・綱手の矜持には医者ってやっぱすごいなって思わせてもろた!コロナ対応も感謝です!
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Baro
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時は天平。舞台は市井の病院である施薬院。奈良の都を襲った裳瘡(疱瘡・天然痘)の流行に向き合う人々の物語。主人公、名代の成長と、もう一人の主人公、諸男の心の動きが興味深い。「火定」とは、「修行僧が火に入って無我の境地に至ること」だそう。いざとなったとき、人はどんな行動をとるか、ということが突きつけられているように感じた。自分は綱手や絹代のように生きられるだろうか。
0255文字
dokusyozuki
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奈良時代、天然痘流行に立ち向かう人々の姿を描きます。主人公は施薬院ではたらく若者と、無実の罪を着せられた医師の二人。読んでいるとカミュの『ペスト』を思い出しました。ですが、天然痘という病気のせいか、はたまた蒸し暑い日本の夏が舞台だからか、こちらの作品の方がより凄惨で、しかも熱い印象です。この作品がコロナ禍前に書かれたという事実にも、驚いています。
0255文字
makko
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再掲
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じぇーぼーい
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コロナの巣ごもりの中で読んだので、一段と身に迫るものがあった。まさに大陸から伝染した天然痘との戦いが現在とまったく同じ状況なので驚かせる。医療従事者の崇高な姿に感動し、低頭いたします。読むべき本。
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マサ
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天平の天然痘疫禍を扱った作品。十分な医療環境になかった当時、この疫病の広がりは大きな被害と混乱を巻き起こしたことが想像される。本書では身近に死が横溢する様子が克明に執拗に描かれていて読んでいて腐臭を感じるほどリアルに感じた。また、現場で医療に携わる人々の苦悩も理解できる。綱手の毅然とした姿が印象的だった。
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