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自由意志の向こう側 決定論をめぐる哲学史 (講談社選書メチエ 737)

感想・レビュー
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coco
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決定論をめぐる諸議論を古代ギリシアから現在までたどる哲学史。分量が多く全体の趣旨がまとまってない感もあるが、決定論・自由意志についての基本的な議論を押さえていくには好適。本書でなされている「決定論」と「運命論」の区別はなかなか興味深いと思った。
0255文字
Andy
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近年、「親ガチャ」という言葉がその論理的強固性もあって市民権を得つつあり、努力するモチベーションを維持することに努力が必要になってきいている感がある。この本にそのモヤモヤを打ち破る力を感じた。まず、決定論にも様々なものがあること自体目から鱗であった。因果的決定論は疑いようがないということについては、個人的に著者と同意見であり、自身の密かな思想を肯定してくれるようで舞い上がった。しかし、著者はその理論が独り歩きすると人間の尊厳のようなものが脅かされるとし、これから先の決定論の考え方を提示する。
0255文字
古本屋
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運命論、目的論、決定論の区別が重要。組み合わさることもあるが、科学的な決定論が何を言っていて、何を言っていない(解釈者が読み込んでしまいがちな論点)のかを細かく見た本。スピノザの見立てを詳細に展開したと言って良いのか、スピノザをあんまり理解していないからわからないが、面白かった。ただ後半出てきた動機の推定みたいな話は、わかるんだけど納得するのが難しかった。つまり、発言の動機を人間の機能に見ることは出来るけど、直観と哲学理論のあいだにはもう少し間があると。本でも同じ指摘をしているがフロイトみというか
古本屋

後半何を言いたかったのか、今ではわからん。読み直せばわかるのかな

07/24 07:48
0255文字
tm
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2周目
0255文字
田蛙澄
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運命論が目的論的必然性なのに対して、因果決定論は目的論的には偶然性をもつという区別は非常に議論をクリアにしてくれてよかった。 7章までは非常に納得できたが、8章は仮に設計的な決定論ではその範囲で自由が再設定的な目的によってあるように見えても、それを制約してる因果的決定論によって、設定の範囲内での自由とも決定されており、誤作動や故障といったブレの余地に見えるものも因果的な決定の結果なのだから、それは自由の感覚を与えてはいても自由を与えないのではと思う。 だが同時にその感覚があれば両立論的には十分とも思う。
0255文字
そういちろう
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自由意志と目的論的自然観という先入見、それが産み出した超越的人格神という迷信、その迷信を支える難解な神学体系、これらは相互に支え合って巨大な「構築物」をなしている。スピノザの見立てでは、ほとんどの学問は、目的ー手段関係にもとづいて組織されているので、この構築物を支え続ける役割しかもたない。しかし数学はこれとは違う「真理の規範」を示し、スピノザの見出した真理への道を開いてくれる。(32)
そういちろう

これは自由意志という概念そのものの出自にかかわる、重要な歴史的事実である。つまり自由意志概念は、人に責めと罪を負わせるためにこそ要求されてきた、という一面がある。現代、いわゆる「自己責任論」が弱者切り捨ての口実として横行するとき、そこには自由意志概念の後ろ暗い出自がかえってわかりやすくあわれているのかもしれないのだ。(135-136)

11/04 22:13
そういちろう

ウェグナーは、リベットの実験や自分自身の実験から「意識的な意志」というものは人間の行為の原因そのものではなく、真の無意識的な原因に(少し遅れて)伴う随伴現象である、という考察を行っている。(268)

11/04 22:13
0255文字
ミッツデラックス
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ネタバレ再読。決定論と自由意志の関係に真正面から取り組んだ本ではないかもしれないが、哲学史に沿ってそれらの概念の扱いが論じられており勉強になった。
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YASU
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自己決定―自由意志論をめぐってこの書にたどり着いたのだが,古代ギリシャ以降の西欧哲学史全般がまとめられていて,それとしても勉強になった.その上で後半はダーウィニズム以降の論争に多くが割かれ,現在の自然主義的決定論へと至る.著者はデネットなどに依拠し,科学の発展とともに今後ますます自然主義は進展するだろうが,自由意志は両立するとの主張.まずまず共感できた.
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Yoshi
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自由意志は直感的に存在すると感じる。決定論や自然主義による哲学的な整理は、哲学の自己満足なのではないだろうか?私は、最近、心身相互作用原理の提案と二元論を支持する書籍をKDPで出版し、自由意志は存在するという立場です。哲学者が、どうして決定論の立場で満足するのか疑問に感じてしまいます。ListのWhy Free Will Is Real?のように自由意志を守ろうとする態度のほうが健全なのではないでしょうか?
0255文字
brzbb
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「はじめに」を読んでこれこそ僕が読みたかった本だ! と思い、運命論とはどういうものかとか偶然の種類とかライプニッツとニュートンの対立とか、興味深いところは多々あったんだけど、ハード決定論(非両立論)の話がすぐにソフト決定論(両立論)に接続されてしまうので隔靴掻痒感、不満を感じてしまった。でも最終章をよく読むとそれはハード決定論を支持しつつ既存の価値観も(ある程度)保護しようとする著者の試みなのだとわかる。
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イキュア
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私達の人生を決めているものは一体なにか?定められたレールに沿って進んでいるだけ?それとも遺伝子が情報を残すための手順の一部なのか?そうした一面的な見方では不十分であり、生物学的、環境的にとてつもない情報の蓄積の上に私の意思というものが生み出されている。それで何をするのかということが私達の人生の課題だろう。
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テツ
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大抵の人は自身の今までの全てを自由意志で決定している(してきた)と信じている。でも本当にそうだろうか。自由意志の根底にあるあなたの内側の諸々はどう構築されてきたのか。もしも己が関与しない部分でそれが創り上げられたのだとしたら、その上に成り立っている自由意志だってまやかしに過ぎないじゃないか的なことは誰もが一度は考えるだろう。意思決定の自由を尊んだり、それに伴う自己責任に基本的には賛成なのだけれど、意志というものが本当はどのようなシステムなのかということについてすらわりとおぼろげだよなと再確認。
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天婦羅★三杯酢
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某所での課題図書であったので。我々は自由意志を持っているのか?それは全くのまやかしであって、過去から未来まで続く一本の決定にただなぞっているのか?哲学上の大問題は、一見無関係と思われていた生物学の、ダーウィンとドゥオーキンから挑戦を受け、色々変容していったのだなぁと。最終的には「じわじわと浸透してくる自然主義」という話になっていくという。概念が沢山出てきたので、こんな雑なまとめではアレであるから、しばらくしたら要再読
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あいうえう(ё)
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哲学の授業の教科書だった 語り口はやさしいけどむずかしい! でも、決定論や自由意志に対しての漠然なイメージがちょっとクリアになった気がする 宗教や運命論がなんで起こったかの話は納得した
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七井
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再読候補
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ミッツデラックス
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ネタバレ勉強になった。古代ギリシャ、ストア派、エピクロス派、スピノザ、デカルト、ライプニッツなどの自由意志論と決定論を追いながら現代的な議論にもっていく本。歴史的にみても、自由意志の存在は人間生活の基礎になっている概念だ。現在の法体系では自由意志における犯行こそが処罰の対象になっているし、精神病の人間は免罪になることからも分かる。理屈で言えば自由意志はなさそうだが、実際はどうなんだろうか。それが分からないうちは予定説を信じて生きるのが良さそうだ。因果関係は逆でも前向きに生きるには最適な信仰だと思う。
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LM
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【読書会】
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やまやま
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自分の意思と認識していることは、実は自分が自由に操れるものではないという科学的事実はモノをまじめに考える人ほどショッキングなことに受けとめられるであろうが、生きた人間の複雑な動きに比べ、認識できることはごくわずかであるという立場に立てば極々自然な流れである。それを自然主義という表現でまとめている。因果的決定論(ほぼ自然主義と同じと言えるでしょうか?)と運命論との違いは、後者は因果律を設定できる存在が(主体のかかわりの外に)あるのだ、と考えていると理解しましたが、正確に議論を把握できておらず大変恐縮です。
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うね
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自己責任が幅きかしてる世の中だけど、個人的には真逆のこと、つまり「実は人の性格も行動も才覚も社会性もその他全ての事がその人の意思とは関係なく(物理的な因果性、脳機能、遺伝、選択不可な環境なんかで)決まってるのでは」という疑念というかほぼ確信があって、だからどうするということもないけど、ただ深くぼんやり悲しい気持ちでいたので、ぴったりの本だった。 自分がふんわり考えてたことをもっと幅広い視点で精密に解説してもらってとても参考になったし、面白かった。 最後は宥められながら「向こう側」へ背中を押された感じ。
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孤独な読書人
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ネタバレ哲学の中で自由意志問題がどのように捉えられてきたかという哲学史から、現代における自由意志問題を取り扱う。
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ケー
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大学の必修で少しだけ学んでいた「決定論」。割と面白く学んでいた覚えがあるので、手に取る。きれいに哲学史としてまとまっていて、かつ最後の主張も一貫している。ただ、個人的には、哲学研究者がこの結論に至るのはどうなんだろうと少し思ったり。
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玲希
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ネタバレ自由意志や「責任」を壊しかねないとして(哲学的)リバタリアンから激しく反発を受ける決定論を、(因果論的)決定論と(目的論的)運命論を区別する重要性を説きながら思想史・哲学史というかたちで追っていく。 視程を長く持ち先人の議論を追いながら決定論や運命論、自由意志を考えるうえで必要な視座を提供してくれる本書ではあるが、これを読めば決定論や非決定論、自由意志と人間の主体性といった問題に解答が得られるというわけではない(問題の性質上当然のことではあるが)。
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ころこ
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哲学の問題だと思われている自由意志、しかし決定論は哲学にもあり、その場合は意志と責任が成り立たなくなる。とすると、決定論も自由意志も科学に委ねられるのか。この問題を古代哲学史から現代の科学史までを辿り、文理融合を試みています。広大な射程があり、何が論じられているのか見失います。何かが明快になるというよりも、全体を通じてこの問題設定の見方が変わることに発見を見出す本です。①近代哲学の決定論を運命論と区別して論じています。引かれると確かに全体の見通しが良くなる補助線で、スピノザの思想が明確化されます。②一転し
やまやま

こんにちは。評を拝見して読ませてもらいました。コメントされているように、自由意志は人間が「自然」を十分に理解できない(あるいは感じられない?)ために生まれる恐怖に対する錯覚、あるいは信念、という整理は大変説得力があるように思いました。

07/22 14:01
ころこ

読了お疲れ様です。

07/22 20:42
3件のコメントを全て見る
0255文字
inu
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面白かった。決定論と運命論の峻別というのは目から鱗だった。これで決定論にまつわる議論の見通しがぐっとよくなった。しかし本書を読んで興味を持った、スタノヴィッチ『心は遺伝子の論理で決まるのか』もボイヤー『神はなぜいるのか』も品切高値高騰中というのは困ったものだ。
0255文字
hakootoko
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現代哲学で論争になっている「決定論と自由」。現代のことは冒頭にコンパクトにまとめ、テーマに沿って、哲学史を振り返る。哲学史から定跡が見えてくる。例えば、「原子の逸れ」によってストア派の目的論的自然観に反論するエピクロスに量子力学を利用する現代の哲学的リバタリアンと似た手が見出される。ダーウィンの自然選択やドーキンスの利己的な遺伝子の意義もわかる。決定論に不安を抱くのは、運命論が混入しているから。たしかに因果に決定されるが、何ものかが主体的に決めたのではないのだ。スピノザやカントが気になる人は8章の注から。
亀太郎

充足理由律の呪いか

03/28 12:38
0255文字
Votoms
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自由意思と決定論を巡る議論が勉強になって良かった。あんまりこの手の議論については詳しくないのだが、文体が平易だったのと、結構読ませる文章だったので集中して読むことができた。結構興味がわいてきたので、今後もこの分野について勉強していきたいと思う。
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荏苒 byn
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読売新聞の書評の、スピノザの文字に引かれて手に取る。各所にスピノザは出てくる。人間の自由意志が有るのか、無いのか(決定論) について語る論文調の本。メインは哲学からのアプローチであるが、参照する研究者連が初耳というような世界。大部な本にまとめる学識・研究が並大抵でない。あちこち ゴシック文字もあって、読解はできるが理解は微妙(個人的意志薄弱のせいか)。何日か掛けたが、学校でこの学科 を選択したら単位は取れなさそう。 browsed
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buuupuuu
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スピノザを導きの糸にして、定められた未来の出来事を実現していく過程として世界を捉える目的論的世界観から、前の出来事が次の出来事を順繰りに決定していくとする因果的世界観へと移り変わってきた思想的経緯を、古代ギリシアからダーウィンまで辿る。その上で、ダーウィン後の自然化された運命論とでもいうべき遺伝決定論等を扱い、なぜ僕等が(いまだに)運命論にとらわれるのかについて心理学的な説明がなされる。最後に運命論的要素を取り除いた純粋な決定論に関する問題が扱われる。伝統的な哲学と現代の議論を繋ぐ壮大な本。
0255文字
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