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中国の歴史5 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝 (講談社学術文庫 2655)

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赤白黒
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秦漢帝国の崩壊から隋唐帝国の統一に至るまで、約400年間の動乱の時代を描く。天災、飢饉、異民族の流入。既存の価値観が瓦解する中、新たな秩序を模索しながら、現れては消えていった数多の皇帝たちの苦悩の跡が見える。中原に進出した五胡すなわち元来「夷狄」であった者が、自ら「中華」を自認するという流れは、半島諸国や日本における「中華」観の浸透と重なるという議論が面白い。北方民族の動向だけでなく、南朝における山越討伐に代表されるような、南方への中華世界拡大にも紙幅が割かれている。
赤白黒

奈良朝や平安期に日本でもよく見られる「蠱毒」が、南方の少数民族に淵源をもつとは知らなかった。やはりこの時代、我が国のルーツを知る上でも重要。

01/30 05:45
0255文字
coolflat
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340頁。夷狄であった五胡の中から出現した北魏が北朝として中国の士大夫からも認知され、北朝を受けた隋唐が中国の正統王朝となるという逆転現象、隋唐の文化、国制に見出される胡族文化の影響などに注目すると、秦漢から魏晋へと受け継がれてきた中国史の流れはここに至って一転し、従来非正統であったものが正統になるというきわめて興味深い展開をこの時代の中国史は示している。また古代日本における歴史展開をその中華意識の形成という観点から、その軌跡を五胡・北朝・隋唐に至る中国史の展開を比較するとき、
coolflat

353頁。北鎮の乱。北魏末の内乱。六鎮の乱ともいう。北魏はモンゴル高原に依る勅勒を討伐したあと、陰山山脈南嶺一帯に軍鎮を置いて北方防衛に当たらせた。その主な六つの鎮(沃野・懐朔・武川・撫冥・柔玄・懐荒)を六鎮といい、鮮卑旧族長層出身者などを定住させて鎮の中核としたが、北魏の門閥化が深まると時代から取り残されて冷遇を受け、鎮内には不満が高まった。523年、沃野鎮民の暴動を契機に六鎮全体に反乱がひろがった。北魏の国威を地に落とした反乱であり、これに続く軍閥抗争によって北魏王朝は瓦解した。

08/27 19:00
coolflat

267頁。北周とのちの隋・唐の建国者の全てが武川鎮と関わりがある。すなわち、隋の建国者である楊堅は、武川鎮に移住したその五世祖である楊元寿の子孫であるとされ、その父の楊忠は宇文泰に従って活躍した人物である。唐の建国者である李淵は武川鎮に移住したその四世祖李きの子孫であるとされ、その父の李虎もまた宇文泰に従って活躍した人物である。すなわち、北鎮の乱は北魏の次の時代の到来を告げる戦乱であり、その諸鎮からは懐朔鎮出身の高歓をも含めて多くの英雄が出現するが、のちの隋唐の王家がいずれも宇文泰の勢力から生まれている。

08/27 19:01
3件のコメントを全て見る
0255文字
榊原 香織
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シリーズ5 五胡十六国、国名多すぎて覚えられず。やたら、武帝が多いのも困りますw 均田制はこの時代、北魏にて。 王義之もこの時代、東晋の人なんですね
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おはぎ
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「カオス」としか言いようがないと考えていたこの時代のことが少し整理できた。 タイトルにある「中華」の拡大が、大陸だけでなく朝鮮や日本(倭国)にも思想などの点で拡大していたという点が興味深かった。
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かずー
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①蜀の地には様々な異民族が生活していたが、その一つに、「獠(ろう)」と呼ばれた人々がいたんだという。どこかで見た字だと思ったら「冴羽獠」の「獠」じゃん。②漢化政策で有名な北魏の孝文帝。実は彼は、お父さんとお祖父ちゃんの妻(もちろん、お父さんの生母ではない)との間に生まれた子なんじゃないかという。北方の遊牧民にはよくある話なんだそうだが…なんか『源氏物語』みたいな話だな。そういえば日本の「源氏」も、北魏の故事に由来があるって話じゃん。
0255文字
aki
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およそ400年にわたる大分裂の時代を描く通史。乱世的様相と文化的絢爛の様相の両立の問題、「民族」史という視点から見た胡族と漢族の対立と融合という問題、中国を取り巻く東アジア各地域への華夷秩序の普及と東アジアの国際関係の 成立の問題、これらの問題を中心にすえ、当該時代の中国の実相を描く概説史。中国南部の経済的発展、中国北部の政治状況が初学者にも分かりやすく論じられている。現在にも繋がる政治の北と経済の南の成立過程のダイナミズムが門外漢にも面白い。ユーラシア史における北方の「蛮族」の重要性も再確認できる好著。
0255文字
IysKG213
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魏晋南北朝とのタイトル通り、通史として追っているので、先日読んだ中公新書の南北朝時代よりも分かりやすく、書きっぷりもこちらの方が好み。 古来蛮族と蔑んできた五胡に支配された漢民族が、徐々に彼らを受け入れ、その支配を正当化し、同じ漢民族が建てた国を島夷と蔑む。 何故そうなっていったのか、通史で追うことで何となく分かる様になってきた気がする。 ついでになぜ五胡の民族が各自の故地に戻らず、中華の枠内に留まり国を建てる様になったのかも。 この時代は本当にややこしく面倒臭いが、興味深い。
0255文字
Tomoichi
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先日読んだ中公新書の「南北朝時代」は、各王朝の流れを分かり易く説明していたが(それでも複雑)、こちらはより総合的なので合わせて読むのをお勧めします。支那文明は西晋による中華統一を持ってピークなのかな?それ以降は民族的にも混血による新漢族になっていく訳で。いや漢族ってナンジャラホイ?
0255文字
AS
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著者の経歴から類推するに、9,10章の内容が恐らく一番書きたかった事なのだろう。 しかし本書は中国の歴史を題材としたシリーズであり、その分のページを隋建国までの詳細記事に充てても良かったのではないかと感じる。少なくとも巻末の締めにあたる部分に書く事だったのか疑問が残る。 参考文献の解説について、タイトルを並べるだけではなく簡単な説明・紹介されているのはとても見易い。ここから他の文献へと読み進む為の大きな助けとなる。
0255文字
じょあん
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魏晋南北朝期を概観しながら、従来あまり顧みられることがなかった「蛮」側の視点からの江南の状況、中国の分裂が周辺に与えた影響をもとりあげる。古代日本にも注目している。「胡」や「北魏」の自己認識とその変容なども興味深い。
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chang_ume
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魏晋南北朝を通観しながら、「漢民族」誕生前夜の社会動向を描く。画期として北魏・孝文帝の諸改革。積極的な漢化政策によって、後の隋唐帝国に至る北朝系譜の「中華帝国」への道筋が拓かれた。また大きな時代背景として、南北朝期における「天」概念の東アジア規模での伝播が挙げられて、そのなかで倭王権の「治天下」も検討される。改めて、この時代は非常にダイナミックな社会変動があったんだなと。一方で南朝による「蛮」掃討は、現代のウイグル問題に通ずるジェノサイドも想起させて、「中華」という文化多元的な概念の暴力性もうかがえた。
chang_ume

“このようにこの時代の民族問題を考えるとき、現代の漢民族が出現するに至る前段階としての、広範な融合過程にある蛮漢の実態に注目することが必要なのである”(p234)

07/07 22:58
0255文字
すいか
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華北における胡漢体制の成立だけではなく、長江流域の山越との対立と制圧、同化の過程が詳細に述べられているのが興味深かった。「漢民族」「中華」という名で括られるものは、考えられているほど単純ではなく、多様で奥の深いものであることが歴史的に語られている。4巻の内容と重複している記述がやや目立ち、そこはくどさを感じてしまった。
0255文字
さとうしん
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「民族の時代」としての魏晋南北朝史を描き出す。「漢」に反発していたかに見えた「胡」が「中華」であると自認しはじめ、たとえば五胡から出たはずの北魏が自らを五胡から弁別しようとするといった動きをおこしていく。そして「中華」としての意識は「中国」の外の朝鮮半島諸国や倭国も持つようになっていくということで、古代の日本史も「中華」の歴史の中にうまく取り込んでいる。
0255文字
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