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蔓延する東京: 都市底辺作品集

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フリウリ
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東京に来てからの武田麟太郎の小説、ルポなどを集めています。武田麟太郎が若かりし頃、なおプロレタリア文学が全盛であったことは、作家としての武田にとっては、一面で不幸であったと思います(プロレタリア文学はテーマが絞られ、作品の幅や奥行きが狭くなる傾向がある)。そのようななかでも、ちょっとした風景の描写などで、ああこれはただ者でない、と読み手を驚かせるような表現、文体があると思いました。1946年に武田は早逝したことが残念で、戦後に書かれるはずであった小説を読みたかったです。7
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Hiroki  Nishizumi
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ちょっと馴染めなかった
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Hisashi Tokunaga
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「大田文学ってどう」;昭和東京市が大阪市に人口で負けまいとする拡張政策で新たな東京を生み出した。新東京の周辺部が「蔓延する東京」だ。プロレタリア作家としての自負から生まれた周辺東京の惨状を紙上に描いたのが本作品だ。大森区、蒲田区(現大田区)の市井の人々が行楽地とする羽田、洗足池などに薄汚い貧しい人心と風景がルポとして描写された。大田区が左翼性や宗教性に彩られる地霊だと知る。
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ソニックゆうすけ
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あまり知られていないと思われる作家ですが、東京の市井の人々の暮らしぶりや都市そのものの顔、底辺を映し出している作品集。これ、地図、途中に数ページ写真もあったけど、更に詳しい資料があれば、もっと楽しめるかもしれない。今も東京の格差は凄いし、街の様子は表面的に変わっただけで、そんなに豊かではないな、東京も人の心も。
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パトラッシュ
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貧困と猥雑と悪臭に満ちた1930年代東京の吹き溜まり。下層労働者に組合争議、娼婦や浮浪者、腐りかけた「不良住宅」か木賃宿に住むしかない貧民らのリアルが、写真や挿絵と共に生々しく描かれる。中国との戦争を続け対米戦にも突入しようとする大日本帝国の首都が、これほど絶望的な悲惨さを抱えていたとは。セーフティーネットの概念がない時代とはいえ、貧しさをなくそうとする政治がなかった事実を突きつける。武田麟太郎は名前しか知らなかったが、簡潔な文体で底辺に押し込められた民衆の閉塞状況を摘出する文学的力量には瞠目させられた。
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考えるなす
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昭和の戦前戦中を生きた作家・武田麟太郎による、東京の"底辺"の人々を描いた小説を集めたアンソロジー。町田康がインスタで「げっさおもろい」と言うので読んでみたら、とてもおもしろかった。今やタワマンが林立する江東区エリアは、バラックがひしめき合う溝泥の臭いが漂う帝都の底だった。美観を損ねるとして後にその場を追いやられた生活の数々。東京五輪の幻想が消えかかる今、地べたに生きた人間の声をこそ聞きたい。
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