読書メーター KADOKAWA Group

感想・レビュー
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はなこ
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とても良かった。祖国の独立、解放を目指す過激派組織、その被害者を描いているけど、その割にそこまで重苦しくないのは、登場人物たちが人としてあたりまえの感情を持って自分を語っているからかも。ふたつの引き裂かれた家族のメンバー9人それぞれの人生が語られる。ひとつの章は短く、時系列も行ったり来たりだけど読みやすいし、パズルのピースがはまっていくみたいに、少しずつ全体が見えてくる。一見素っ気ないようなラストが感動的。祖国、愛国心についても考えさせられる。
0255文字
ori
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力強く圧倒的。素晴らしかった。強行テロを繰り返すETAに対し反対意見を述べたり寄付を拒否すればテロのターゲットに狙われてしまうため村民が精神的に支配され閉塞的な村。バスクを愛するという思いは同じはずなのに。愛国とは?暴力と正義とは?考えてしまう。家族それぞれにも様々な意見と思いがある。壊れたかけらを拾うように少しずつ前に進む。昔と同じには戻れない。謝罪とは?贖罪とは?許しとは? 「時間を戻すことができるなら、そうしたい。だけど、できません」 この言葉の強さ。
0255文字
けい
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そもそも、民族としての固有の文化を守るための運動が、なぜ政治運動になってしまうのか。 大きな声の過激な思想に若者の熱情はたやすく呑み込まれてしまう。 気づいたときには戻れなくなっている。 自分は正しいことを行っている、と思いこむために、誤ったことを重ねていく。 知らないということは恥ではない。間違えを認めることは負けではない。 どうか、立ち止まる勇気を持てますように。
0255文字
Haru
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訳者あとがきによると、15年の年月を経て2018年5月に終止符を打ったスペイン・バスク地方の独立紛争(テロ組織ETA)による犠牲者は854人。しかし、本書はこうした教科書や新聞には載らない市井の人々の眼差しで、それぞれの『祖国』への思いを描いた長編小説だ。
Haru

舞台はバスクの小さな町。父親がETAによって殺害された会社経営の一家と、長男がテロ活動に走る町工場の労働者一家、かつては家族ぐるみの付き合いをしていた二家族が主な登場人物。一度は引き裂かれた彼らが、もがき苦しみながらも“謝罪と許し”という一筋の光へ向け、長い時間をかけて歩んでいく様を、数々の心に残るシーンや言葉とともに味わう事が出来る。その構成も素晴らしい。 この本を薦めてくれた友人に感謝!!

01/06 21:37
0255文字
中海
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テロ組織に旦那を殺された一家。テロ組織に所属し、服役中の人間のいる一家。普通に見たら、最初の家族は気の毒に。後の家族は村八分。しかしこの物語は逆。先の家族は引越しののち、妻が旦那の墓参りに通うことすら糾弾する。後の家族は英雄扱いで、買い物に行って倍の値段の品物を渡される。スペイン人の気質。ワールドワイドな視点を持たず、自分の目で物事を見ずに、周りの洪水に巻き込まれても何とも思わない。リアルな事実に気付いたら、変人扱い。そういう風潮をディスった作品なのかな?とても閉鎖的なお国。しかしサッカーは強いな。
0255文字
K.C.
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ETA(バスク祖国と自由)をめぐる物語。細かい章立てで時間を行き来しながらそれぞれの視点で描く。時空を飛び交う展開はちょっと苦痛ではあるものの、バスクという民族が背負った歴史と悲哀を感じる。海外に興味はないものの、行くならば選ぶであろう場所。
0255文字
アン
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ETAが武装闘争の完全停止宣言をした2011年10月にはじまる物語の語り手は2つの家族9人。それぞれのバスクにおける人生の歩み、自身の家族ともう一つの家族へ向けた心情が精緻な構成によって紡がれ、確執から生じる痛みや葛藤が胸に迫ります。愛する祖国の誇りと母国語、抑圧や自己犠牲、愛憎や悲哀。テロ事件を通し家族の在り方を見つめ、一筋の光を求め謝罪を望むビジョリの揺るぎない信念、障碍を抱えたアランチャの努力や寛容さも強く心に残ります。赦しと未来への祈り。眩い陽光が降り注ぐラストシーン…静かな深い余韻に包まれて。
0255文字
かげろふ
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こういう本にじっくり落ち着いて向き合えた幸せを今噛みしめ、深い余韻に浸っています。上巻の感想でも書きましたが、やはりこの短い断片の組み合わせでビジョリたち2家族の人生を想わせる作りが良くて、その中で語り手になる各人物の造形と描写の巧さに感心しました。ミレンにしてもホシェマリにしても、彼女らなりの理屈というか、しがみついてる物に理解が及ぶので、没入して読めたことが高評価に繋がっています。訳者あとがきの「客観的語り手であり、主観的語り手でもある」の評が本書の魅力をよく言い表している思います。今年のベスト候補。
0255文字
のりまき
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ネタバレ文体が苦手で読みづらかったのだが、内容は素晴らしかった。時系列も視点もバラバラでくるくる変わる。そのおかげでその時彼が彼女がどう感じたか、より鮮明になった。チャトはその運命からどうやったら逃れられたのだろう。資金を得るために恐喝、嫌がらせ、果てに殺人まで犯すETAは大義を掲げてはいるが、まるで犯罪組織だ。仲の良かった2つの家族は引き裂かれ、苦しむ。失われた物はどうやっても戻らないと思ったら、ラストで泣かされた。
0255文字
白玉あずき
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良い作品を読みました。バスクの独立闘争を背景に、テロリストとその犠牲者、分断される国民と家族を描きじっくりと読ませてくれます。フランコ時代以降、抑圧からの解放バスクの独立という大義でテロ行為に走る青年たち。ホシェマリの視野の狭さ、思い込みの激しさ。自らが恐怖の抑圧者となってしまったETA。大義を信じて行動したテロリスト達は、どのようなきっかけで変心し犠牲者家族に謝罪するのか。謝罪は家族にどう受け取られ、少しは彼らの心の癒しにつながるのか。また社会のみならず家庭内にも抑圧が存在することは、
白玉あずき

偏狭な愛情に囚われたミレンらを通して描き出されます。長い思索の末にこの作品を書いたであろうアラムブル氏は、作者の分身ともいえる作家を登場させることで、この作品を書くにあたっての姿勢を説明しています。「文学的フィクションを介してテロ集団の犯した残虐行為の証を構築しようプランは、わたしの場合、二重のモティベーションから生まれています。ひとつはテロの犠牲者に寄せる気持ちから。もうひとつは、法治国家にむけられた犯罪と、あらゆる侵害にたいする断固たる拒絶の意味でです。」

07/21 21:52
白玉あずき

余計な事だが、どうしても最後までアランチャの病名が急発症と訳されているのが気になって仕方なかった。翻訳者はなぜ敢えてそのような造語を作ったのだろう。なにか特別な意図が?

07/21 21:55
0255文字
かもめ通信
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物語は125の章に細かく区切られ、各章ごとに語り手が代わり、時系列に並んでもいない。2家族9人の語り手がそれぞれの視点から「祖国バスク」と自らの人生、そして自分と分かちがたい自らの家族と、もう一つの家族について断片的に語っていくのだが、そうした「かけら」を集め、積み上げていくことによって、様々な事柄が明らかになっていく。ぐいぐい読めるが、読み終えた今も、あれこれと考えずにはいられない。そんな作品でもあった。
かもめ通信

上下巻合わせた長文レビューはこちらにも。 https://hatekamome.hatenablog.com/entry/2021/07/19/045204

07/19 05:06
0255文字
ハルト
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ネタバレ読了:◎ 武装集団のチャト殺害という出来事における、九人の人生の交錯。紛争によって分断されたふたつの家族の歴史と戦い。祖国とは家族とは正義とはについてを、深く考えさせられる。母親という存在の強さについても。最後、母親同士が紛争の勝者や敗者ではなく、ただ人間としての和解がわずかにでも生まれた場面にはぐっときた。そして戦いに翻弄されて生きねばならないというのは、こういうことかと実感させられた。バスクという国についても知ることができてよかったと思う。心に、静かに響く余韻にひたれる読書体験だった。読めてよかった。
ことり

かれこれ1ヶ月以上手元にあります(๑>◡<๑) 図書館本なのに延長and延長…。レビュー、ネタバレになっていたので薄目でさらっと読ませていただきましたが、さいごの「読めてよかった」のひと言に背中押されました♡ これから読みま〜す❀.(*´◡`*)❀.

07/05 18:59
ハルト

こんにちは、ことりさん!ぜひぜひ読まれてください~。私もこれ図書館で延長して読んだので仲間です(*^O^*)上下巻で厚めですが、読んだ後、達成感があると思います。

07/05 21:53
0255文字
クロモジ
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最後の解説で補足できたのが良かった。バスクについてもっと知りたい。
0255文字
桃蛙
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ネタバレ9人のそれぞれのストーリー。誰が正しいとか間違っているとか、簡単に言い切れない想いがあって時代に翻弄されながら秘やかな歩み寄り(否、さりげない接触)にたどり着く。バスクの話は時々読んできたが誇り高き民族だと改めて感じ入る。これぞ読書の愉悦を味わい尽くす一冊。
0255文字
ヘラジカ
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後半も時間の流れは行きつ戻りつ、過去も現在も”あの日”の周辺を巡りながら人々の生は進む。厳しく辛い物語ではあるが、二つの家族の行く末に目が離せないまま没頭する読書だった。緻密にして丁寧な人物描写、ナショナリズムと個々人の欲求や不満、愛憎が結びつく様を巧みに描きながら、決して最期には嫌な気持ちにならないと信じられる優しさに満ちている。国同士の戦争や民族に対する迫害とはまた違った世界や時代が存在したことを知る貴重な読書でもあった。ラストの美しさ、ホシュマリの手紙には思わず涙が……。傑作。
ヘラジカ

2021年4月の新刊。感想書くのだいぶ遅れてしまったけれど、今年のベスト確定の傑作だったと思う。『アコーディオン弾きの息子』と併せてお勧めしたい。これはHBOのドラマも絶対に見たいな。スペイン語だから日本語字幕があると良いのだけれど。

05/11 21:39
0255文字
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祖国 (下)評価68感想・レビュー15