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古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々 (中公新書 2636)

感想・レビュー
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穀雨
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古代律令国家の官僚制度に関する概説書ではなく、当時の官僚たちがいかに怠惰な人々であったかを、さまざまな実例を取り上げて明らかにした一冊。史料が少ないのがやはりネックで、やや拡大解釈ではないかと思える箇所も散見されるが、「天皇を中心とした国づくり」ということばから連想されるような峻厳な朝廷といったイメージからは縁遠いすがたに拍子抜けする思いで読んだ。しかし、考えてみれば朝廷の歴史も浅く、人口も少なかっただろうから、当時の天皇に中国皇帝のようなカリスマ性があったと考えるほうが無理があるのかもしれない。
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kuroma831
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主に奈良時代の律令国家における官人の実態を見て、怠慢な律令官人の姿を描く。儒教が根付くのは江戸時代であり、古代日本に勤勉や忠誠を美徳とする文化はまだ存在しない。律令国家が中国をモデルとした官僚制を輸入するも、なかなか根付かない実態が面白い。貴族制の再生産対象である五位以上の官位を持つ官人と、六位以下の下級官人の間には強烈な断絶がある。下級官人は母数に対してポストが少なく、官職に給与が紐付くため官位が上がっても処遇は変わらない。官人としての免税特権などがあれば出世も不要で、職務に励む必要もない。
kuroma831

年始に天皇の前で臨席する厳かな儀式でさえ多くの官吏がサボタージュするも罰則すらなく、儀式を成立させるために他の官僚による代返を認めるというルールさえ制定されるほど。専制君主である天皇の前に整然と官吏が並んで君臣関係を確認する、という儀式自体が中国の礼制や儒教意識のものであり、古代中小豪族の末裔や富農層からの叩き上げである下級官人にはその必要性や概念自体が理解できなかった。王朝側もそれを分かっていたのか、まともに処分しようとする気も薄く、上も下も非常にいい加減で緩い。

01/19 23:46
kuroma831

儀式をサボるだけならまだしも職務を仮病で休む等も横行しているが、高官である公卿や人事官庁たる式部省もそれを咎める意欲は薄い。よくいえば現実的、悪くいえば現状追認的に、怠慢な官僚が一定の割合で出ることを前提に制度化をしており、罰則も寛容な方向に流れるのが古代日本の風潮を感じられて面白かった。律令国家が崩壊することで荘園制が……などというイメージもあったが、そもそも中華風の律令国家というもの自体が古代日本の実態にそぐわず、まともに運用できない上からのルールでしかなく、換骨奪胎される運命のものだったのかな。

01/19 23:47
0255文字
guanben
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7世紀末から9世紀にかけての文献を読み込むと、天皇親政の律令体制を支える官僚達の怠慢さが見えてくるという。サボり、命令無視は日常茶飯事、経費のちょろまかし、税の横領も当たり前。天皇の謁見式にも欠席を繰り返す。それを処罰しなければいけない政府も緩い対応に終始。いい加減さに苦笑。儒教道徳や価値観が日本人に染み込む以前は、こんな世界が広がっていたことに驚かされる。
0255文字
Toska
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律令国家で天皇に仕えた官僚たちは忠良でも勤勉でもない勝手気ままな連中でした→本当に?知らなかった!という反応を前提に話が進められる。「え?そんなもんでしょ?」だと完全に置いていかれてしまう。実際のところ、前近代の官僚の規律なんて我々の目から見ればどこもツッコミどころ満載だし、まして統一国家として出発したばかりの古代日本で優秀なお役人の存在を想定する方がおかしい。意外性で煽るのは読者サービスの一環なのだろうが、ちょっとくどいかな。
Toska

とは言え、「そんなもんでしょ?」派が楽しめないわけでは決してない。当時の官人たちの人事や給与制度が分かりやすく説明され、彼らのライフサイクルに迫ることができる。サボりや怠慢なんて明るみに出したくないだろうに、それらを残された史料の中から暴き出していく著者の手腕。「奏上に使われる紙があまりに臭くて桓武天皇を怒らせた」など、愉快なエピソードにも事欠かない。そんなに臭かったのか。

09/27 20:48
Toska

官人たちのバックボーンにもっと踏み込んでほしかった、という不満はある。彼らは豪族出身で、官人となった後も自立するに充分な資産を持っていたのであれば、減給や馘首による制裁も怖くはなかったはず。また、後任となるべき人材のプールがなければ、怠慢な官人を罷免したくともできなかったかもしれない。こうした構造的な問題を素通りしてモラル面だけに注目するのは、やはり片手落ちではないか(話としては面白いが)。

09/27 21:03
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インテリ金ちゃん
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平城宮の立派な復元建築物からは想像もつかない古代官僚の実態。当時の民間企業たる貴族の家来や神社仏閣の使用人も同じレベルだったのだろうか?興味が広がる。 現代のサラリーマンと同様、防人や租庸調を納める庶民だけが...
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ソルト佐藤
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官僚というときっかりとしている感があるけれど、そうでもなく、古代のサボる人々の話。下級役人だけではなく、上級でも、あんまりやる気がないのが面白く。律令などシステムは輸入できても、それを運用する人を作るのは難しい。専制君主と思われる古代天皇ですら、サボる人間をどうにかするのが難しいのが面白い。
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マッピー
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『天皇に仕えた怠惰な面々』というサブタイトルに惹かれました。常々、日本の公務員の堅苦しいまでの生真面目さがどこから来るのだろうと思っていました。露骨な賄賂要求のようなことはもちろん、業務をサボタージュするのが当たり前になってはいない生真面目さ。次巻に厳しいとか、書式にうるさいとか、まあ生真面目でしょ?いーよいーよ、適当で、なんて絶対言わない。古代日本は全然緩かったですな。地方豪族が律令国家に簡単に取り込まれたわけではなく、自分優先でのびのびやっていたというのは、初めて知ったことなので、大変面白かったです。
0255文字
エボシペンギン
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 天皇出席の念頭訓示をサボる、人事評価面談をサボる、出張も当日朝にサボる。サボっても人事は代返認めるし、罰則も軽くするし、過料の納付だってろくに催促しない、どころかある程度のサボりを想定して給与制度を作る。羨ましい。こんな働き方がしたい…そもそも勤勉に働くというのが外来思想であって古代の日本にはそんな発想はなかったというのが衝撃だった。
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史縁
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六位以下の律令官人が儀礼を無断欠席する理由(位階より役職により禄が決まる、五位以上には昇進できない家柄の壁、律令制以前から続く古代豪族の家職制の名残、位階があれば免税特権)とその実態について紹介。 天武朝のときに律令制を推進するために律令官人を大量採用したため、質より量に走らざるを得なかった。天武天皇というと壬申の乱の勝利を背景に中央集権政策を推し進めた強力なリーダーというイメージが強いが、中の人はそうすぐには変わらない。
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me23
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すこぶる面白かった。古代の君臣関係のイメージがガラッとかわった。▼古代の官僚は、中国の法をそのまま輸入していなかった。きっと中国に行った高官も、「これはちょっとねぇ…」と思っていたのだろう。翻って、「先進事例!素晴らしい!取り入れます!」みたいな無批判な姿勢は考えものだなぁ。世の中にはたくさんあるわ。▼「こんなきまりがあるということは、こんな実態があったということだ」と考える歴史学的視点が、随所に生かされている。▼あとがきを読んで、うんうん、ですよね!と思った。学者が本気で楽しんで、本気で書いてる書。
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星乃
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勤勉な日本人像とはかけ離れた、知られざる日本人がここに。舐めきった態度の官僚たちと、それにひたすら耐える天皇。しかし、そんな官僚たちを許さなければならない裏事情もあった。律令を国に定着させるには、それなりに時間もかかれば、人も必要。首にするより上手くやり過ごすしかないとする天皇の高度な政治上の判断でもあった。大変面白い本だったけど、私が読んだ初版本には誤記(156頁)があった。その後、改定されたのかしら。
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Tom
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帯の通りであるが、古代日本の官僚は遅刻、無断欠席、代返その他サボりの常習者であった。特に下位(六位以下)の貴族が中心だが、五位以上や長官クラスのサボりも少なくない。面白かったのは、天皇の宴会の終盤だけ参加して褒美だけ持ち帰るやつが結構いたこと。こんなんだから、いわんや日常の職務は。現代のバイトのほうがまだ勤勉や。でも、著者も言ってるけど、こういう緩い官僚たちには一種の親しみをおぼえてしまう。なんかギャグ漫画みたい。それも新聞連載の4コマ漫画ののほほんとしたノリ。
Tom

渡辺京二『粋し世の面影』とも併せて、日本人って結構テキトーでサボりたがりな民族だったんだなあ。現代の「勤勉な日本人」像のほうが、歴史という俎上に乗せて見ると異端じゃないかと。ほんでそのターニングポイントってやっぱ明治維新だろうなあ、と思ってる。本書は古代の官僚機構も学べて、読み物としても途中、著者の嘆きがちょいちょい入ってて面白かった。飛鳥・奈良が主だったので、平安期以降ついても知りたい。また、武家政治における官僚の職務態度はどうだったのだろうか。

06/30 02:50
Tom

でも読みながら現在の政治状況と照らすと何度もため息がでた。昔の官僚はかわいかったけど、現代の政治家は薄汚い。テメーらの利権だとかくだらない差別意識やナショナリズムで暴れまくって市民の生活を滅茶苦茶にするよりは、自分が楽したいからってサボるだけの昔の官僚のほうが百倍マシだもんなあ。

06/30 02:59
3件のコメントを全て見る
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takao
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下級官僚は日常の職務をしばしば放棄。
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えぬ氏もわるよのぉ
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律令制度下における官僚制度の勉強になった。遅刻、欠席、職務怠慢等々、これでもかというぐらいに示される実例の数々が面白かった。
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k sato
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奈良から平安初期の古代日本。天皇を頂点とする専制君主時代、朝廷に勤務する官僚が怠慢だったという学説!欠勤・遅刻、規律違反、衣冠の乱れ、詐病癖など。現代日本は勤勉を美徳とするが、古代は忠勤を美徳としなかった。一体なぜ?古代には、儒教的規範がなかったからだ。律令制や礼法を唐から輸入したが根付かなかった。天皇や式部省が緩和政策を打ち出し、官僚を擁護したのだ。それでも回る律令国家。不思議な国だ。私は、現代日本人の気質は明治以降に形成されたのだと思う。古代と現代の官僚の違いは、天皇制や国民感情にも起因するに違いない
k sato

現代の官僚(公務員)は働きすぎ!年に一度3か月くらい地方で働かせてあげたら?

02/15 16:25
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サプリママ
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ネタバレ⭐⭐⭐⭐♥2021年3月初版。新聞の書にあったので読んでみた。中国の律令制度を取り入れたものの、実際は職務怠慢、代返で済ましてやってる感で終わっていることが木簡などから明らかになっている。下層役人の質の悪さや上級役人の無能さと冷めた感じが伝わってくる。天皇を知ってる人は少なく、カリスマ性も強権的でもなく蔑ろにされていた。役人が都落ちしても利権はあり、残念ながら今の日本とよく似ている。礼のし方すら中々徹底しないのもキャッシュレス化や電柱の地中化が進まないのも同じで日本人はあまり変わっていない。
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南北
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読友さん本。隋唐帝国の成立を受けて、古代日本では中央集権国家を目指したが、そのために必要な優秀な官僚をそろえることができなかったとしている。中下級官人は世襲制の官職につき、出世も望めないので、「怠惰」なのはわかるが、国がそうした勤務態度に妥協してしまう理由がよくわからなかった。確かに漢文の知識がないと官人として仕事にならないので、採用できる人が限定されてしまうのはわかるが、中下級官人向けの「学校」を作ろうとか、勤務態度を向上させる「研修」をしようとした形跡が見られない理由を解明してほしかった。
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左近
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律令制度が整備されるはるか以前より、職務怠慢を続けてきた官人達。中には、天皇に提出する書類が臭いという、もはや冗談のような事例も登場。「おやおや」と思っているうちに最終ページへ到達。アリのコロニーで2割はサボっているという、有名な学説を思い出す。とはいえ、これで行政が成り立つのか心配になってくるが、今と違って国家の支配領域が限られているし、諸制度も網の目が緩いので、何とかやれたんでしょう。そもそも、役所=役人の集合体であるからして、自分で自分を厳しく処罰出来るわけがない。迷惑を被る方はたまらないけれど…
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ちあき120809
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物語文学を読んでいると"いいかげん"な官僚がよく出てくる。だから、筆者が度々漏らすような"忠義と勤勉"といったイメージを古代の官僚に対して私は最初から持っていなかった。ただ、一つ驚いたことは、官僚の多くが天皇を敬っていなかったという点である。文中には"天皇に対する敬慕の思いは、実は近代以降のものだ。~中略~近代以降はそれまでとは違い、国家の教育やメディアの宣伝によって崇敬すべき天皇像が広く浸透している"とあり、なるほど、古代の官僚にとっての天皇とは会社の社長のような存在だったのかと妙に腑に落ちたのである。
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紫の煙
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飛鳥時代から奈良時代の、律令制の古代日本の怠惰な官僚をめった斬りする。天皇が出席する行事さえも、ずる休みする面々。彼らには、天皇を崇拝する意識などなかった。様々な糾弾をしつつも、その人間臭いところを愛すると言う著者。今の日本には無い、緩い国家組織であった。
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香菜子(かなこ・Kanako)
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古代日本の官僚-天皇に仕えた怠惰な面々。虎尾 達哉先生の著書。古代日本の中下級官僚たちの「怠惰な」勤務実態を検証したとても個性的な一冊。怠惰な中下級官僚たちはいつの時代にもいるということ。怠惰な中下級官僚たちは古代でも現代でもきっと将来でも存在している。怠惰な中下級官僚を上から目線で批判したり非難したり罵ったりするのは簡単なこと。でも人間はもともと怠惰な生き物というあきらめも必要なのかも。自分は怠惰でないと思うこと自体が自信過剰の思い上がり。
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akiakki
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「律令制に基づく専制君主国家」と言っても古代の官僚は遅刻、欠勤、詐病を戒める法令が作られるほど繰り返していた。面白い話だが事例の列挙のみで学びは少ない。なぜ隋の律令制を元にしたのに罰則は緩いのか?罰則することによって下級官僚が足りなくなることを恐れたのか?下級官僚もなぜ悪びれることなく遅刻、欠勤を行ったのか?
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Eri
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目次からもう面白い。儀式に出ない、無断欠勤、遅刻…などなど古代の官人たちはこんなに怠慢な態度であり、それを国家として許容していたことが現代とはあまりに違い、笑いながら読んだ。だが後半で不正を働く官人の様子が語られるようになると、この怠慢の陰で当時国民とも見なされていない市井の人々がいかに苦しんだのかに思いをよせてしまい、もう笑えなくなった。特権を許されると、職務を果たさずに特権だけを享受しようとする、現代にもいる人間や組織の姿と重なった。
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(*^^*)
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みんな賢い
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KJ
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専制君主国家の官僚という響きから想像されるものとは一線を画す、怠惰な官僚たちの実態を様々な資料から読み解いていく一冊。発想が斬新で面白い。官僚は怠惰で、それを管理する側も緩いということが繰り返し述べられるが、まあそんなもんじゃないと思うあたり、自分も大概怠惰なのかもしれないw おそらくというか、本質的には、官僚の数に対して国家として絶対にやらなければならないことが圧倒的に少なかったんじゃないかなという気がする。あてがう仕事のない官僚が持て余していたからそんなに厳しく咎めなかったというのはありそう
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺

『御堂関白記(藤原道長の日記)』と『権記(ごんき、道長の側近行成の日記)』を読んだ限り、官僚は超多忙で泊り込みの仕事も度々ありました。聖徳太子の十七条の憲法にも「朝早く出仕して夜遅く退勤しろ」ってありますし、飛鳥時代から宮仕えはブラックでした。要するに仕事をする官僚が一部の能吏に偏っていただけで、しかも仕事しなくても怒られない特権階級の家柄の人が名誉職として名前だけ在籍している感じでしょうか。出世とは厳しいものですね。

02/01 20:57
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もえたく
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天武天皇以降の日本は、律令に基づく専制君主国家のため、忠誠心と勤勉な官僚らが手足となって天皇を支えていたと思われがちだが、サボったり無断欠勤したりする官僚も大勢いたよ、と教授してくれる新書。天皇臨席の晴れがましい儀式をサボタージュし、詐病によってズル休みする例が具体例を示しながら描かれていて興味深かったです。
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でね
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「律令制」というと上の者が厳しく管理しているイメージが持たれがちだけど、実は欠勤者多数で、なおかつ管理職も厳しく管理するつもりがなさそうだった、という姿を描き出す本。逆説的に「勤勉な日本人」というイメージがわりかし最近作られた「伝統」というようにも感じられるところ。ただ、この本では描かれないところとして「当時の官僚の生活背景」があり、たとえば交通機関の欠如とか自分の私有地の管理とかまで含めて生活全体を吟味しないと欠勤の理由を斟酌できないかな、とも思ったところ。そこまでしたら新書ではないけども。
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ゆずこまめ
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日本、よく大丈夫だったな。今の日本人が死ぬまで働いてしまうのは生来真面目で勤勉な民族だからというわけではないことがわかった。
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ごん
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古代の怠け者官僚とホワイト律令国家についてまとめた一冊です。古代日本では早急に国家体制を整える為にモデルとして中国の律令制を導入したのですが、中国で何百年の歴史の蓄積があって可能だった律令制度を必要な人的資源を欠く日本に導入しても上手くいくわけがなく粗製乱造された官僚は必然的に怠け者になるのでしょうね。やはり国家体制を整えるには100年単位で時間が必要ということでしょうか。本の著者も古代の怠け者官僚達に腹を立てていますが何故かこの古代の怠け者たちが憎めないような気がするは私だけなのでしょうか。
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塾長やってる安村俊毅
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ネタバレ古代の下級官吏の怠惰ぷりが尋常ではなく、イメージを突き崩すものがあります。天皇への畏敬の念すらなく、朝賀儀どころか任官儀すらまともに出席すらせず、代返すら制度としてしまう辺りがすごいですね。派閥争いに儀式をサボタージュとか、現在より激しい様がみえます。
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転天堂
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大化の改新、壬申の乱を経て豪族連合政権から律令制の中央集権国家になった、というのが習った日本史での認識。これに対して本書は、古代の官僚が忠誠心や勤務態度でまったく勤勉でなかったこと、またそれを天皇を中心とする支配層がとがめることもなかったことを明かしている。律令国家のモデルとした唐朝とは大きく異なるが、このあたりのなあなあさが日本人の心性なのかもしれない。
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in medio tutissimus ibis.
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著者は専制国家の官僚に親でも救われたのか? 妙に現代の官僚の勤勉さに比べて古代の官僚の怠慢や不良っぷりを非難するが、正直官僚である以上の共通点が全くない。交通や通信が未発達だったら人が一挙に集まるのは簡単じゃないし期待もできない。下級役人なんか年二回の給与でやってけるわけないんだから別に食ってく為の生業があるはずで、免税特権さえ確保したらそっち優先になるのは当然のことだと思うのだが、一応面子のある当時の文書はともかくどうして現代人がそこに目くじらを立てるのかこれがわからない。誠意というのは言葉ではなく金額
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れうしあ
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推古朝以降官僚制が志向され、専制君主天武朝において律令官人が生まれた。だが五位以上の貴族と六位以下の非貴族には断絶があった。朝賀儀を無断欠席する官人について、五位以上、次いで六位以下に対しても制裁が科された。すなわち、無断欠席が横行していたということであろう。彼らに天皇に天皇を崇敬する念はない。任官儀においても同様で、代返による儀式の進行が常態化していた。国司は遣使拒否し、小納言や公卿は遅刻し、郡司は職務放棄した。官人たちは礼も儀式も学ばない。それでも式部省は官僚への不利益処分には慎重な態度を取った。
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koji
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古代の下級官僚は、朝廷の重要な儀式すら無断欠席し、日常の職務もしばしば放棄、しかも政府は寛大な措置に徹しているようです。本書は、その古代官僚制を文献と先行研究から読みといていきます。著者の主張は、今の官僚が志半ばで離職するオーバーワークの状況が健全かという点を憂れうる中から、一定の怠慢を織り込みながら、無駄なく効率的なランニングコストで官僚機構を維持する古代官僚制を合理的と評価するものです。怠慢という言葉が強すぎて共感しにくい面はありますが、「時間に縛られ過ぎの」現代日本への警鐘と考えれば得心がいきました
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テツ
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日本人は基本的に時間を厳守し(効率はさておき)真面目にコツコツと積み上げていく勤勉な民族性みたいなことをぼくもぼんやりと信じていたが、古代の天皇に仕えた役人たちの自由奔放でアグレッシブなサボりっぷりを知り、この民族性とやらはもしかしたら近代になってからこさえられた幻想なのではないかという疑いを抱いた笑 現代日本で霞ヶ関に勤務する官僚の方々はこの時代からは考えられないくらいに働いているなあ……。どちらも行き過ぎたらろくなことはない。優秀で国の為に働く方々は古の諸先輩方を見習ってほどほどに。
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siomin
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古代は、律令制度のもと、天皇に従って仕事を行う官僚組織にとなっているのかと思いきや、官僚は仕事をサボったり、時間に遅れるなど、実に怠惰であったことを示す新書。「日本人は時間厳守で勤勉」と言われますが、その常識は古代では通用しないことを資料から読み解きます。官僚を過重な業務や刑罰で縛ることなく、少々のサボりは織り込み済みという古代のシステムのほうが人間味があるとはいえますが、とはいえサボりが横行しても古代官僚組織がなぜ維持できたのかの説明まで踏み込んでほしかった。専門的ですが、文章は読みやすいです。
0255文字
つまみ食い
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現代の尺度からでは考えられないほど自由に仕事を休む官僚たち(仕事の当日にサボる天皇の使者など)とそうした官僚にやはり現代の尺度からでは考えられないほどユルく対処する人事部と天皇たち。最後に触れられている日本の官僚制の手本となった唐や隋の律との刑罰の大きな違い(皇帝/天皇の乗る船の設計不手際で技師が処刑されるか懲役刑だけで済むか)の理由についての研究もあるのか気になった。
0255文字
Tsuyoshi
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古代日本の官僚は「あなたたちが思うほど」勤勉ではなかった…という例が繰り返し語られるんだけど、そもそも彼らについてそれほど明瞭なイメージを持ってない人が多いだろうからあまり新鮮味がないのよね。
0255文字
鐵太郎
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古代の日本は天皇を頂点とする「専制君主国家」である。 ──という言葉で始まります。古代史研究者にとって常識であり、まさにその形態をしていた、にもかかわらず、とお話は展開し、いかに古代の官僚層(五位以上の貴族たちと、六位以下の吏僚たち)が責任感もなくなすべき仕事をさぼり、集まるべき大事な行事に出席せず、代返させ罰金を滞納してのほほんとしていたか、をえんえん新書一冊分書き連ねます。面白い。 ──ただね、だけど、なぜそんな大きすぎる無駄を何百年も「維持」したのかの説明が納得しづらいな。
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