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赤い風 (文春文庫 か 54-4)

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昼行燈
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二年の期限で赤土の混じる原野を開墾させるために入植者にタダで土地を与え、やる気にさせる。その発案者は川越藩領主の柳沢吉保である。彼自身、完成の暁にはそれを出世の足掛かりにと目論む。また、それに応える側近(家老:曽根権太夫と息子の啓太郎)たち。武士たる者が百姓と一緒に土地を耕す行為などもっての外の時代になりふり構わずの目的意識の高さにはフィクションとは言えその筋書きを思いついた作者には驚きを禁じ得ない。そして、幾多の苦労の末、五十年後には甘藷の栽培が盛んになり、現在でも有名な川越芋に繋がる物語である。
0255文字
ぱふぱふ
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最近ちょっと川越に興味があって,いろいろと検索してみて見つけた本。この本は将軍綱吉の時代の川越藩の様子をかいた歴史小説だ。この時代,川越藩を治めていたのは,柳沢吉保。私は今までこの人にはあまり良いイメージを持っていなかったのだが,この本を読んで見方を変えた。利用できるものは何でも(たとえ上様でも)利用してしまう要領の良さ。そうやって,荒れ果てた川越の地に井戸を掘り,三富新田を開墾する。おいしいサツマイモが食べられるのはこの本に登場するような逞しいお百姓さんたちと役人たちのおかげ。
0255文字
優希
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川越藩から2年の期限で命じられた開拓。しかし啓太郎と正蔵のぶつかり合いで計画が進まないのは困りますよね。大地に生きるからこその物語。面白かったです。
0255文字
ES335
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凄いね。Googleで見ると集落の形が残ってるよ。多少は住宅街や工場になってるけどね。是非、300年後の三富を自分の足で散策したい。今も「むさし野農法」は健在だし、非常に学ばせられた傑作だった。
0255文字
オールド・ボリシェビク
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水源に乏しく、新田開発ができない川越藩の領地に、藩主である柳沢吉保は開墾を命じる。百姓と武士は対立と協力を繰りかえしながら、2年という期限の中で、開墾に汗を流していく。栗より美味い十三里、サツマイモで有名な川越だが、その背景にはかくも苛酷な土地があったのだな。犬公方・綱吉の側用人として悪名も高い柳沢吉保だが、なかなか魅力的な人物に描かれているのが面白い。
0255文字
yoko
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川越の不毛の地を開拓して川越いもが名産になるサクセスストーリーですが、柳沢吉保や綱吉、荻生徂徠が出てきて面白かったです。武士と百姓の立ち位置の違いと自分自身の中にある立ち位置の違いとを考えさせられました。
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ぴさるく
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江戸時代元禄年間の武蔵野の原野開拓の物語。川越近郊の立野の地は、水源が遠く痩せて耕作に不向きな土地。秣や薪を採るための入会地だったが、境が入り組み領民の争いが絶えない。将軍綱吉のお気に入りで川越藩主の柳沢吉保は立野を全て自領とし、その開発に乗り出す。屋敷地・畑・雑木林をセットにした短冊型の土地を均等に入植者に分配する試みが興味深い。侍を憎む百姓正蔵と家老の息子啓太郎が反発しあいながら開拓に挑む様子を主軸に描かれる。政治的な思惑の描写も悪くないが、開拓の様子が表面的な印象を受けてしまい残念。
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