形式:単行本
出版社:文藝春秋
形式:Kindle版
実際に公判で、"自白を強要された"とか、"取調室で暴力を振るわれた"と申し立てられているが、自身の子供が通う中学校の学級崩壊ぶりを知り、すぐさま乗り込んで不良にパンチをくれる様も描かれ、さもありなんと思った。失踪事件が典型だが、目星をつけた容疑者を任意で呼んで自供させ、遺棄した死体や殺害を示す物証が後から出てくるというパターンがズバズバと決まっていくのは、事件全体が近親者や顔見知りなど密接なつながりがあったためで、最後に紹介される未解決事件のような行きずりの犯行で目撃者もいないとなると壁にぶち当たる。
迷宮入りしている世田谷一課殺人事件も大峯の担当だったが、捜査が暗礁に乗り上げた後から任されたため、それまでの捜査の拙さを挽回できずに終わっている。現場が容疑者の指紋だけだったのですぐに解決されると悠長に構えていたのか、周辺の聞き取りもおざなりで、肝心の指紋採取も捏造が見つかる始末。類書では知り得なかったDNA鑑定による犯人像の情報は驚きだった。謎とされた侵入ルート、なぜ現場で長居したのかなど大峯なりの見立ても明かされ、流しの物取りによる犯行という推理だが果たして。解せないのは、任期を待たず退任した理由。
⑥別件逮捕のときは罪を申告する上申書を書かせ改めて逮捕状をとる。⑦良心の呵責を利用する。悪いことをしたという気持ちがあれば、日常動作と違い忘れない。「覚えてないって殺しを毎日やったのか?違うだろ?状況を思い出したろ?」⑧犯行現場の共通性。選んだ利己的計画的理由があるはず。ばれにくい、ターゲットを見つけやすい等。⑨逮捕状なく任意同行を見破られないために「後で見せてやるよ」とカマ。観念した表情なら「現金はどうした」と畳み掛け。⑩洗脳された人には信仰や恋愛心を否定せず尊重、利用し聞く。「教祖、恋人を助けるため」
⑪普通の人の過ちには一喝せず話の辻褄が合わないことを諭して聞く。「やったことは仕方ない。でも嘘を押し通して隠して生き続けることはできない」⑫世田谷一家殺人事件では指紋多数が災いして目撃証言収集が疎かになり指紋収集ばかりに。しかも自分の家族の指紋ででっち上げ報告した警察官がいた。⑬生まれながらの犯罪者はいない。生育歴を聞く。
Wikiなどで検索しながら読み進めたのだが、裁判所や拘置所での土屋正実元受刑者の壊れっぷりが憐れであった。あと名指しで腰巾着と揶揄された上司の名は仮名なのかしら?
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